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在日米軍再編特別措置法案と"エイプリルフール"

2007-04-01 07:40:31 | 政治・社会・経済
 日本経済新聞4月1日付「春秋」コラムによると、「在日米軍再編特別措置法案」という名称の法案が国会に提出されているとのこと。
 中身を読むと、第一条の条文が読点を含め340字以上延々と続く「官僚独特の悪文」とのこと。
官僚組織の病理学

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 大方原稿用紙1枚を使って、条文を一つの文章として表現しているわけで、一息で読み通すことができないのはもちろんのこと、一回読んで理解できない文章ということになる。
 まさに悪文である。
 筆者も、今日が4月1日エイプリルフールであることに関連させて、「何か魂胆があるため、このような法案を作成している」と指摘する。曰く、「わかりにくい法文をわざと書く官僚たちには当然ながら魂胆がある。法案を審議する国会議員を煙に巻き、自分たちが法律の解釈権を握る狙いだ」と指摘している。
 なるほどと理解できる。
霞ヶ関の掟 官僚の舞台裏―役所の常識は世間の非常識 キャリア官僚が明かすお役所の驚くべき実態

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 官僚に限らず、学者も理解しがたい言葉を使いたがる傾向がある。
 しかし、学者の教育者としての側面を見るとき、「理解されない言葉で話し、または、書くことになる」ため、「教育者としては失格者」ということになる。
 教育といえども、「理解してもらってなんぼの世界」であり、教育者としては、理解される程度が高いことにより、それが「飯の種」につながるというのが本来の姿である。

 同じ「春秋」欄で、面白いエピソードが紹介されている。
 「ドイツに留学した哲学徒は下宿の女主人が娘に、『パンをアウフヘーベンしてほしい』と頼むのを聞き、『さすがドイツだ。こんな場面でも哲学用語を使う』と感激した」とのこと。
 哲学徒は、ヘーゲルが弁証法で使った「アウフヘーベン(止揚)」を素直に「哲学専門用語」と誤解し、アウフヘーベンがごく普通の日常生活の中で使われているのに接し、「哲学用語が日常生活で使われているドイツはスゴイ国だ」と感激したことになる。

 アウフヘーベンは、まさに、「物を上げる、物を上げておく」といった意味合いで、哲学用語でもなんでもない。単に、日本の哲学者が「小難しい理解の仕方をし、『止揚』と訳しただけのこと」である。
 「ドイツの人たちに取り、日本人が思うほど、ヘーゲルは難しいものではないらしい」とも指摘しているが、当然のことかもしれない。
 日本人にとり難しくなっているのは、「単にヘーゲルの弁証法を訳した学者が、難しい言葉を使い、こねくり回して訳した」だけのことであると考える。

 日本の官僚が、仮に、「解釈権を官僚側に留保しておくために、わざわざ長文の法案を作成している」とすれば、それは論外で、いずれ官僚自身が首を絞められる結果になっていく。
 「官が民を欺く」ことにより、逆に「官が民に欺かれることになる」ことのないように願いたい。

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