第七節 風俗
觀察要項 第五章に風俗の一部は述べてある。兎に角教化の現象に直接関係を持って居るのはこの風俗習慣等であるから児童には相當の觀察をせしめねばならぬ。
1 村に於ける厭うべき風俗及び其の改良法
2 善い風俗堅保持しなければならぬ處。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)193頁~194頁
第七節 風俗
觀察要項 第五章に風俗の一部は述べてある。兎に角教化の現象に直接関係を持って居るのはこの風俗習慣等であるから児童には相當の觀察をせしめねばならぬ。
1 村に於ける厭うべき風俗及び其の改良法
2 善い風俗堅保持しなければならぬ處。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)193頁~194頁
第六節 宗教
觀察要項
1 宗教上の設備にどんなものがあるか。そしてどんな効果を表してゐるか。わが村の宗教には、佛教が主で他には殆どないといふてよい。第五章に述べたやうに曹洞宗に属する寺が多くて(六寺)天台宗が僅か二つ、真言宗一あるのである。
2 宗教の自由なること これは帝国憲法の規定する所で猥に干渉しない事になってゐること。
3 佛教以外の宗教 天理教信者は幾人かあるを見る。その他の基督教などは殆どないだらう。
埼玉縣下の寺院總数は二千二百六十七寺にして平均一町村に六箇寺院を有する割合なれば、吾が村の九箇寺は少し多すぎる觀がある。其の中無住二あり。縣下に於ても其の四割強は無住なり。本縣に於て最も多い宗派は新義真言宗(八九〇)で次は曹洞宗(五七五)、天台宗(一七六)、浄土宗(一六五)、真言宗(各派共一八四)、臨済宗(各派共一三〇)等である。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)192頁~193頁
第五節 娯楽機関
觀察要項 芝居、寄席等の娯楽機関は、吾々が日々營々として物質的活動のために身心の疲勞をなす時に一種の慰安となる自然的必要から生じた物でありますのであるから一般に有害とのみ云ふ事は出来ぬ。悪い部分に對しては反感を懐くことなしに善い部分のみを善用利導しなければならぬ。
1 我が村に於ける娯楽機関の觀察
常設の芝居や寄席はないが、神社の祭典等には毎年芝居がある。亦、文殊寺【現・熊谷市野原の文珠寺】の開帳などには寄席などもある。これらに対しの児童の心得即ち善用して教化の手段となすべくすること。児童によい部分を取るだけの鑑識力を養成することが必要であります。
2 俳句和歌
平民的文学として害なくして益のあるものである。現今俳句が青年間及び老年に至るまで盛んに行なはれてゐるから賀すべきことである。
3 将棋、碁、などの遊びも多少はあるがこれはあまり盛んになるやうでないが一部には常に行なはるるから全然すたってしまうと云ふ事はあるまい。
4 青年の娯楽、老年の娯楽、壮年の娯楽としても読書に及ぶものはなからう。これを奨励するは、読書の趣味を持たしむるより外に方法はあるまい。休日、祝日などには學校などへ来て遊ぶやうになれば自然この趣味も涵養さるるであらう。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)190頁~192頁
第四節 神社等
觀察要項
1 この村には如何なる神社をもってゐるかと云ふこと。これは第五章の第十節宗教の時にあげてあるから茲に略す。
2 村民は夫れに対し如何なる信仰を以てゐるか。其の信仰の元は何に原因するか。村民は各自の氏神や村社等に対しては祝ふ事の起りし度毎に参詣す。而して平素に於ても常に念じて不敬ならぬやうに注意してゐる。この信仰心は自然に備ったもののやうに思はるる。
3 神社は吾々郷土の人民に対してどれほどの教化の力を持ってゐるか。これは前にも述べた如くに神を敬ふことは天性といってもよいやうに備ってゐる。■に神に對して悪い行為が出来ぬと云ふに至れる者少しとせず。多くの信仰者を多方面より受くるものは、吉田の村社手白神社、越畑の薬師等であらう。
4 其の他郷土に於ける石碑或は何かの記念碑などの教化の力を直観せしむること。わが村には石碑或は記念碑等にして教化の上に大なる力を有しつつあるもの未だあらざれば茲に略しぬ。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)189頁~190頁
4 掲示板 本村十箇所に掲示板を設け、重要の出来事、及び村役場よりの報告、達し、並びに告示等を貼布して以て村民の智識増進に努めてゐる。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)188頁
3 新聞雑誌
本村にて講読し居る新聞は、國民新聞を最多とし、埼玉新報、報知新報、毎日新聞、朝日新聞、東京日々新聞、二六新聞、萬朝報等であって、雑誌に於ては、實業之埼玉、扶桑、實業之日本等、其他寄贈雑誌新聞甚だ多し。
七郷尋常高等小学校(板倉禎吉編)『郷土研究』(嵐山町立七郷小学校藏)188頁