ある朝、テニススクールの受付で会員カードを出した時、何かにつけ無頓着な私はカード入れの中の“パン屋さんのチラシ”に気が付き「あれ? こんなものが… いつの間に入って…???」と言った。そのパン屋さんとテニススクールは元が同じようで…
すると、受付のおば… 否、お姉さんが「あぁ、今月末まで割引になるので、先週だったか… 入れておきました。ランチもやっているし、行かれたらどうですか?」と教えてくれたけれど、私は「いや、オッサン一人じゃ行かないですよ。パンを買いに行くことはあっても…」と言った。
すかさずお姉さんが「美味しいので、ぜひ買って来て下さい」と言ったので、私は「えっ!? 買って来て? ここへ来いと?? お姉さんに買って来いと???」と笑いながら言った。それを横で聞いていた“校長”と呼ばれている某コーチが「そういうことを言っちゃいけません!」と、お姉さんに注意した。
そこで、すぐに私は「コーチの好みは何ですか? 買って来ますよ!」と言ったのだが、校長もお姉さんも「いいから、いいから…」と遠慮していた。そのうちにレッスンが始まる時間になり、私は「では、行って来ます! あ、パン屋さんじゃなくて、テニスコートへ…」と“パン屋さんの話は、あくまでも冗談である”という含みを持たせて、受付のある事務室を出た。
80分後… レッスンを終えて、受付で「また来週~」と挨拶をして… その十数分後、私は“新製品のパン”を持って受付に戻って来た。すると、校長とお姉さんは「えっ!? ホントに買って来た!」と、目を丸くして、口を大きく開けて驚くと同時に大笑いしていた。
それを見て満足した私は「まさかホントに買って来るとは思わなかったでしょ?」と言いながら、“こういう場合、長居は無用”と、カウンターの上にパンの入った袋を置いて、逃げるように帰ったのであった… このように「相手の意表を突くこと」が好きな私である。