朱禪-brog

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本感想 上海の長い夜 鄭念

2022-03-12 07:47:18 | 日記
上海の長い夜 上下巻
鄭念 1988年作


著者の回顧録いや真実の記録と
言っていいと思う。

今から55年前、著者は
突然暴風雨のような近衛兵の
来襲に会い、略奪、迫害、拘禁される。

今、世界の強大国となった中国で
起こった文化大革命が真実の場
であり記録は進んでいく。

資本家というだけで
党に対する逆賊とみなし
ありもしない事を「告白」という
見世物の場で公開し逆賊の烙印を押す。

文中、彼女はあるゆる非人道的
な行為、拷問、死の寸前にまで
至る独房生活を送る。
たったひとつの希望は
会えないひとり娘だ…

「生きざま」
もし一言で感想を述べるなら
これに尽きる。

腎臓がひとつなく
健康状態もよくない著者は
「してないことにはしてないとしか
言えません。
それが私の真実です。」
と言う。

精神が崩壊する
いや、死んでも不思議ではない
環境で
「真実」にのみ「忠実」であらん
とした。

決して折れる事のない
「生きざま」
よくぞここまで…
また、よくぞこの著作を書き上げて
くれたと感謝する。

そして、中国という国に対して
ひと言も論じてない。

陳腐な言い回ししかできないが
著者は愛国者であったと思う。

祖国から離れて眠る著者は
いまも中国を見つめているだろう。
そして、どう真実を見つめているだろう。





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