朱禪-brog

自己観照や心象風景、読書の感想
を書いてます。たまに映画も。

零式戦闘機

2021-10-28 04:13:14 | 日記
「零式戦闘機」
吉村昭氏著を読みました。

大阪駅前第3ビルの古書店で偶然
夏の盛りに見つけたものです。

ぼくにとっての読書は啓発書や
ハウツー書はどちらかというと
苦手な部類に属します。

それよりか、知らない世界(物語)を
そっと囁いてくれる小説が好みかな。

恥ずかしながら氏の小説を初めて
読んだのですが、、

戦艦武蔵とか破獄の名前は知っていましたが、この歳になるまでついぞ手にとる
機会がなかったんです。

それが、その夏の頃、「魚影の群れ」という氏の原作をもとにした映画を観て
関心が高まったのもあったんですね。

前職で機械加工の営業をやってたことも
ひとつの幸いだったのかもしれません。

これは記録小説です。
戦争そのものを論じる小説ではなく
技術者の試行錯誤とものづくりへの
執念と当時航空後進国として世界に
遅れをとっていた日本が世界最強と
呼ばれた零戦(ゼロ戦)をどのような
苦心、改良を経て完成に至ったかを
前半に集中してページを割いています。

超超ジュラルミンを開発し、軽量化を
図るために、可能な限り素材に穴を
空けたり、高速性と航続力に軍から
とても実現不可能な数値を提示された
が故に、防御性能がほとんどない
飛行機になります。

この当たりは、少し冗長と感じる方は
いらっしゃるかもしれませんね。

先程、戦争そのものを論じた小説では
ないと言いましたが
当然ながら、中国戦線→太平洋戦争
が舞台なので全編に渡り戦争は
背景にあります。

ぼくは在日コリアン三世で
日本語によるものでしか微細な感情や
行間を読むといったことができません。

また、戦争も知りません。
が、メンタリティは日本人と変わらないと思っています。

右派でも左派でもなく
正直もんは馬鹿をみるで何んか
問題あるんか?というのがモットーです。

そして、可能な限りニュートラルな
思考で何かに偏重しないこと、
バランスが大事とも思っています。

そういう視点でこの作品をみると
当時の日本人のメンタリティが
工業力、技術研鑽の探求と
無謀ともいえる純粋性
攻撃は最大の防御
牛馬の登場で知らされる気がしました。

そして、
この令和の時代になっても
航空機のエンジンが
英国ロールスロイス
米国ゼネラルモーターズ(GM)でしか
生産されないのかの一端がわかるよう
な気がしましたね。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿