こういう「胎児を使った研究」に対して、最も反対の意見を主張し続けているのが、中絶に反対しているカトリックの方々で、ワクチンに対しても、胎児の組織が使われているワクチンが多すぎると非難を続けている組織があります。
たとえば、カトリック系の「チルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフ 」(Children of God for Life)のサイトは、「中絶された胎児を使用するワクチンへの反対記事」を掲載し続けていますが、最近そのサイトを見ていて、ふと、
「妙なリスト」
を目にしたのでした。
食品添加物のダークサイド
現在は新型コロナウイルスのワクチンについての話題も多いですが、チルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフの 11月16日の記事では、
「モデルナ社のコロナワクチンに胎児細胞が使用されている証拠」
とした長い記事が掲載されていました。
ただ、コロナワクチンの mRNA ワクチンというものは、従来のワクチンと異なるものですので、細胞を使用する必要がないとは思うのですが、ウイルスの「スパイクタンパク質」という部分が、ヒト胎児培養細胞の HEK-293 細胞を使用している証拠がある、というようなことが書かれています。
まあしかし、なにしろ、ファイザーにしても、モデルナ社にしても「ワクチンの詳細な成分構成」を公表していないのですから、そのあたりは憶測にしかならないとは思います。
それより「へえ」と思ったのは、このチルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフというカトリック系組織は「ヒト胎児組織を使用している製品リスト」を更新し続けているのですが、そこに、
「食品添加物」
があったのです。
カトリック系組織が発表している胎児組織を使用しているとされる商品名
・cogforlife.org
遡りますと、かなり古い報道ですが、他のカトリック系ウェブサイトの 2011年3月の報道に以下のようなものがありました。
米国企業は、中絶された胎児細胞を使用して人工食品フレーバーをテストしている
中絶された子どもたちの組織を使って製品をテストしているカリフォルニアの企業は、アメリカの主要な食品メーカーに人工フレーバーを供給していると、フロリダのカトリック系グループが明らかにした。
チルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフは、バイオテクノロジー企業であるセノミクス社 (Senomyx)が、中絶された胎児の腎臓細胞を使用して、その香料成分の味をテストしていることを発見した。
同じ機能は、ハムスター、サル、または昆虫から採取された細胞によって、あるいは中絶を伴わずに採取されたヒト細胞によって実現された可能性がある、とチルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフは主張している。
セノミクス社のフレーバーの香料成分は、ペプシコ、キャンベルスープ、ネスレ、クラフトフーズなどの主要なアメリカの食品会社で使用されている。 (catholicculture.org 2011/03/29)
具体的には「胎児細胞株 HEK-293 」というものだそうで、香料として有効なものらしいです。
どこまで事実かはわからない部分がありますが、ただ、この 2011年のチルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフの調査の発表の後、
・クラフト社がセノミクス社のフレーバーの使用を停止
・キャンベル社がセノミクス社のフレーバーの使用を停止
・ペプシコがセノミクス社にその使用をやめるように提言
などの動きがあったようで、それほどフェイクの話でもないのかもしれません。
胎児培養細胞が、食品の香料としてどれだけ効果的なのかは私にはわからないですが、「そのようなものを使わなくとも何とかなるのでは」という気もしないでもないです。
そして、私たちは知らず知らずのうちに「ヒトの組織を食べている」という日常。
人類の歴史でも、特に禁忌とされてきた部分があるカニバリズムを「知らない間」におこなっているというようなことがあったのかもしれないですね。
真偽は何ともいえないですが、チルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフが、いい加減な陰謀論的団体ではないことは確かで、いろいろと考えさせられます。
なお、先ほど画像を挙げました、このチルドレン・オブ・ゴッド・フォー・ライフの「中絶された胎児が使われている製品」というリストには、日本でも日常的に使われているものもありますが、具体名を挙げるのはあまり良いことではないと思いますので、各自でご覧になってみてください。「ほんだし」なんて項目もあります。
・U.S. Aborted Fetal Products - Updated July 2020
https://indeep.jp/human-fetal-tissues-may-be-used-as-food-additive/