鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

火龍ー宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフ【後編】

2019-06-06 14:37:14 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝



火龍
宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフ
ー朱い惑星(ほし)のドラコンー

【後編】①


「物質転送波最大射程!」
「月軌道上!送射!」僚河は軽く念を送るように瞳を閉じた。

ルシファー艦首波動砲両舷に装備された物質転送波システム基が、せり上がり、碧白い直径2メートルの円が連射されてゆく。
十五機の武装コスモシーガルと直径300メートルぐらいの大きくがある小惑星が消えてゆく。
そして、転送を終えたルシファーもまた、後追うようにワープした。

それをまじまじと見せられた山南の顔が青ざめてゆく・・・

「遊星爆弾……これは遊星爆弾と変わらない………。」
「あの大きさの小惑星が地球に墜ちれば………。」
「極東管区……いや、東アジア全土が壊滅する………。」



「艦長!地球防衛本部とダイレクトコールを繋げ!」
「東アジア管区全土の避難を呼び掛ける!」

「奴らは超えてはいけない一線を超えた!」

追い打ちを掛けるように鹿嶋大佐率いる残存艦隊は怯み、隙を見せる山南率いる残存艦隊に猛攻を仕掛けた。

「くっ!」
「だが、我々はここで引き下がる訳には行かん!」
「マーズフリートを殲滅する!」

「航空隊控室!山本、聞こえるか?」
「揚羽と発艦準備に入れ!」
「両舷側カタパルトより射出する!」
「発艦後、マーズ駐留軍司令部へ突入せよ!」

「ラジャー!」

「艦長!残存艦艇に通達!」
「全艦!艦首に波動防壁最大展開!」
「マーズ艦隊を正面突破する!」

「艦長。我アンドロメダは、そのまま火星へ突入、駐留軍司令部へ揚陸する!」

「………。」躊躇う艦長に激を飛ばす山南。

「復唱はどうした!」

「ハッ!駐留軍司令部へ揚陸します!」



「全艦!突撃!我につづけッ!!」


ー月軌道上ー


転送波システム最大射程で転送された小惑星と十五機の武装コスモシーガル隊は、月軌道上にワープアウト、地球へと加速する。
その僅か数キロ先にワープアウトしたルシファー。

たかが火星に配属された一部隊と胡座をかき、第二、第三の艦隊を出撃させる準備すら怠っていた地球連邦防衛軍司令部は、言葉を失い「ぐうの音」も出なかった。

「せっ!戦闘衛星はどうなっている?」
「迎撃に回せ!」

月軌道に展開する20基の戦闘衛星が、獲物を狙うハイエナのように群を成して、襲い掛かるが、ルシファーの戦闘力の前に秒殺、宇宙の藻屑と消えた。





「戦闘衛星壊滅!」
「月軌道上を突破されましたッ!!」

「……月面航空隊を向かわせろ!」

「局長!お言葉ですが、スクランブルしても、間に合いません!!」
「地下都市へ避難を!!」
「極東、東アジア管区全土に避難命令を!!」

けたたましい警報が極東、東アジア管区全土に響き渡る。
遅すぎる避難命令であった。

「目標物体、地球軌道上まであと一分!!」
「局長!我々も地下都市へ避難を_。」と、その時であった地球上空にワープアウトする物体があった。



「セーフティロック解除!」
「波動砲薬室内、エネルギー充填120パーセント!!」

「電影クロスゲージ明度20!」
「総員、対ショック、対閃光防御!」
「波動砲発射10秒前!」
「・・・5.4.3.2.1波動砲発射ッ!!」







「ワープ!」
「やるわね。ヤマト。」固定座標でワープするルシファー。

間一髪のところで、地球への小惑星落としは、阻止された。
芹沢軍務局長の"胡座をかく姿を見かねて、山南艦隊が出撃して直ぐに、藤堂長官は宇宙戦艦ヤマトに出撃命令を出していたのだ。


◆◆◆◆


艦隊対艦隊の打撃戦、砲火が飛び交う中を山南が座乗するアンドロメダのみが、火星へと降下して行く。

「山本、揚羽両機は直ちに発艦せよ!」
「残りの者は、衝撃に備えよ!!」
「砲台と成り、山本、揚羽機の援護を!!」

火星駐留軍司令部の真正面に強制揚陸したアンドロメダ。
後部カタパルトより山本、揚羽の両機がスクランブル発艦、司令部屋上に垂直着陸させ、二人は内部へと突入した。
同時に航空隊隊員たちも陽動の為、突入した。
地上から突入した航空隊隊員たちに気を取られ、屋上から忍び寄る山本、揚羽は上手い具合に中枢部に潜入する事に成功した。

「図面が見当たらない。」
「長居は出来ない。」
「揚羽少尉。君の機体のアナライザーアルファにこの端末機からダイレクトに送るぞ。」

「このメインホストコンピュータの全データですか?」
「無理ですよ。容量が足らないですよ。」
「それでしたらアナライザーアルファに探させた方が早い。」

「分かった。コンピュータは任せる。」

メインホストコンピュータから揚羽少尉のコスモタイガーⅡに搭載された音声対応A.Iアナライザーアルファに送信、アマテラス級改・ルシファーの図面を探させた。
五分後、アナライザーアルファから意外な返事が返って来たのだ。

「山本隊長!」

「何だ。大声を出すな。」

「アナライザーアルファから回答が来たのですが、このコンピュータはメインホストコンピュータではなく、別だと。」

「……他のコンピュータだと!?」

「はい。アナライザーアルファが云うには……鹿嶋櫻子中将そのものが、メインホストコンピュータだと!?」

「………。」
「電脳……と云うか、ほぼサイボーグ化しているのではとの事です……。」
先ほどより声のトーンを落とした口調で答えた揚羽少尉。

「……サイボーグ化……。」
「奪取は不可能だな。土方艦長に連絡し、引き上がるぞ。」

「了解。」山本と揚羽は奪取を諦め、乗り付けたコスモタイガーⅡに戻った。


◆◆◆◆


戦闘に特化したルシファー艦。
その戦闘力にヤマトのクルーたちは、驚きを隠せなかった。

「あの距離で波動砲をワープで交わすなんて、昨日今日、実戦を経験したクルーなんかじゃない!」
「熟練の百戦錬磨だぜ!」砲雷長席に座る南部が口を開いた。

「だけど、藤堂長官から受け取った資料には、百戦錬磨のような人員は見受けられなかった。」古代が返した。

「とにかく、推進機を狙う。」
「足を止め、投降を呼び掛ける!」




後編②
つづく。


この物語は、もし私が2202ー愛の戦士たちーの続編を作るとしたら的に、二次創作した物語です。
私的設定が混ざっています。

使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。

火龍ー宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフ【中編】

2019-06-03 16:12:16 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝

火龍
宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフ
ー朱い惑星(ほし)のドラコンー

【中編】




ー火星上空ー


「鹿嶋大佐!ムーンアイより、入電!」
「我、カルガモの引っ越しを確認!と有ります!」

「うむ。」
「であるならば、タイムラグを考えれば、今頃は、月を離れたぐらいか。」

「よし。通信オペレーター。全艦艇に通達!」
「アルカディアシティ上空を背に隊列を組め!」
「それと、アステロイドベルト(小惑星帯)のコントロール艦に連絡を。」

「ラジャー!」

地球連邦防衛艦隊が地球を出撃した事を掴んだ鹿嶋大佐は、作戦開始の命令を下した。
艦隊数ではほぼ互角ではあるが、戦力的には、地球連邦防衛艦隊に軍配が上がる。
そこで、鹿嶋大佐はアルカディアシティ上空を背に隊列を組ませたのだ。
何故なら、彼ら地球連邦防衛艦隊が得意とする"波動砲"による先制攻撃を阻止する狙いからだ。

白色彗星ガトランティス戦役の時のように、波動砲による先制攻撃を仕掛ければ、今や10万人もの民間人が暮らす、アルカディアシティに甚大な被害がおよぶからである。
それを阻止する絶好のエリアポジションなのだ。

「これで地球連邦防衛艦隊(やつら)は、ご自慢の波動砲による先制攻撃は出来まい。」
「此方は、遠慮なく使う事が出来るがな。」

「まぁ。地球連邦防衛軍もバカではあるまい。」
「此方が波動砲による先制攻撃を仕掛けたと想定してのシミュレーションは、行っているだろうし、万が一に備え、第二、第三の艦隊を派遣して来るだろうな。」そう心の中で呟くように云う鹿嶋。

「そろそろ、お目に掛かれる頃だな。」
「通信オペレーター。火星エリア入り口に待機する偵察機からの報告はまだか?」

「ハッ!まだ、何も。」

と、その時であったアルカディアシティ上空に陣を敷くマーズフリート艦隊の眼前にワープアウトして来る多数の艦艇が、飛び込んで来たのだ。

「ちっ…地球連邦防衛艦隊ワープアウト!!」
「波動砲の安全距離を取れません!!」

「クッ!」
「ワープで間合いを詰めてお出ましとはッ!!」
「全艦艇は砲雷撃戦よーいッ!!」

「地球連邦防衛艦隊!艦載機隊を発艦!!」
「大佐!此方も艦載機隊を発艦させますか?」

「いや、今や遅い!」
「発艦体制を狙われ誘爆を招く!」
「空母群を更に後退させぇッ!!」

「……手際が良いな。艦隊司令は山南か!?」呟くように云った。

「後方のミサイル衛星で陽動撹乱する!」
「展開中のミサイル衛星!攻撃開始!!」

20基のミサイル衛星から計40基のミサイルが一斉に発射された。
大小、幾つもの輝かし光円が所狭しと光の華を咲かせていた。
そして、これをチャンスと捉え、鹿嶋は、第一、第二空母から無人コスモゼロ及びそれをコントロールする改・コスモゼロ重駆逐コスモ零・バイバー隊を発艦させた。

火星の大地を思わせるダルレッドと黒の迷彩カラーに塗られた無人のコスモゼロ。
同じ迷彩カラーだが、重駆逐仕様のコスモ零には機底部にぶら下がる15.5センチの陽電子衝撃波砲一門、そしてコスモタイガーⅡから流用した銃座がコックピット後方に装備されているのが特徴だ。
また、コックピット内は副座仕様でナビゲーターが搭乗する。
どちらも、主翼には高機動ブースターとミサイルポッドが装備されている。
対する地球連邦防衛艦隊から発艦したコスモタイガーⅡの部隊は全機、有人機である。
前衛を単座仕様機、後衛を三座仕様の対艦魚雷と対艦ミサイルを満載した雷撃タイプだ。
碧み掛かったグレーのカラーリングに白で描かれた地球連邦防衛軍のマークが特徴だ。

「弾幕を厚くせよ!」
「各コントロール機はドッグファイトに持って行かれるな!」
矢継ぎ早に命令を飛ばした。

地球連邦防衛艦隊から発艦した艦載機隊は、大佐らの座乗する艦艇を避け、改・ドレット・ノート級空母三番、四番艦に攻撃を集中させた。
空母から叩き、五月蝿く飛び回る戦闘機隊を駆逐する作戦のようだった。
艦対艦の砲雷撃戦でマーズフリート艦隊の足を止め、一気に畳み掛けて来る。

だが、予想をする事すら出来なかった作戦にマーズフリート艦隊は、打って出たのだ。
小惑星帯アステロイドベルトからマグネトロンウェーブを利用し、無数の小隕石を弾頭に見立て、投入して来たのだ。


小惑星帯(アステロイドベルト、英: asteroid belt)は、太陽系の中で火星と木星の間にある小惑星の軌道が集中している領域を指す言葉である。
ほかの小惑星集中地域に対して、それらが小惑星帯と呼ばれるようになるかもしれないと考えられるようになったころから、区別のためにメインベルト(英: main belt)とも呼称されている。

そして、それは艦隊戦だけに留まらなかった__。



「残念だったな。山南艦隊司令。」

「母親の七光りで大出世だな。鹿嶋大佐。」
「高価なオモチャで自由に遊べて満足か?」
映像通信に応える山南は、皮肉混じりに返答した。

鹿嶋 春奈。
24歳で元地球連邦防衛軍:中央司令部配属だった。
当時の階級は大尉。
火星に母親の櫻子(現、火星司令部司令官)と赴任後、艦長の不足を理由にゴリ押し出世で大佐に昇級。

「強気なのもそこまでだ。艦隊司令殿!」

十数機の武装型コスモシーガルに牽引される小惑星が、レーダーに捉えられたのだ。
更に追い打ちを掛けるように、アルカディアシティ上空に姿を現す物体があった__。

超重武装されたアンドロメダ・アマテラス級の改良型であった。

「どうやら間に合ったよだな。」
「クックックックッ。」不敵に笑う鹿嶋。



「切り札は取って置くものだ!」
「このアマテラス級の改良型"ルシファー"をただの改良型と思ったら、大間違いだ!」

「遼河 少尉。聞こえるか?」

【マーズフリート:特別強襲パイロット遼河 麗(少尉)】イメージ
僚河 麗。
地球連邦防衛軍士官学校を首席で卒業後、鹿嶋 櫻子(中将)の強い要望で火星に配属、パイロットとして訓練を受け、その後、月面基地にて"トップガン"の訓練を受ける。

「はい。大佐。」

「武装コスモシーガルごと小惑星を転送、貴官も地球へゆけ!」
「勝利は我々、マーズフリートにある!」
「今こそ、裁きの鉄槌を喰らわす時!!」

「ゆけ!!遼河 よ!!」


◆◆◆◆



ギュスターヴ・ドレによる『失楽園』の挿絵。地球へ向かうルシファー。

【ルシファー】

キリスト教の伝統においては、ルシファーは堕天使の長であり、サタン、悪魔と同一視される。
神学で定式化された観念においては、悪魔はサタンともルシファーとも呼ばれる単一の人格であった。

悪魔にルシファーの名を適用したのは教父たちであった。
たとえばヒエロニムスは金星を指すラテン語であったルーキフェルを、明けの明星としての輝きの喪失に悲嘆することになる、かつて大天使であった堕天使長の名とした。
この光の堕天使としてのルシファーの名がサタンの別称として普及したが、教父たちはルシファーを悪魔の固有名詞としてでなく悪魔の堕落前の状態を示す言葉として用いた。
キリスト教の伝統的解釈によれば、ルシファーは元々全天使の長であったが、神と対立し、天を追放されて神の敵対者となったとされる。
「ヨハネの黙示録」12章7節をその追放劇と同定する場合もある。

天使たちの中で最も美しい大天使であったが、創造主である神に対して謀反を起こし、自ら堕天使となったと言われる。
堕天使となった理由や経緯については様々な説がある。
神によって作られた天使が神に背いて堕天使となったという考えは、旧約偽典ないしキリスト教黙示文学の『アダムとエバの生涯(英語版)』にみられる。
その中で悪魔はアダムに向かって、自分は神の似姿として作られたアダムに拝礼せよという命令を拒み、そのために神の怒りを買って天から追放されたのだと語る。
『クルアーン』にもこれに類似した話があり、イブリースは粘土から作られたアダムに跪拝せよという神の命に背いて堕落したと数箇所で述べられている。
キリスト教では悪魔は罪によって堕落した天使であるとされ、オリゲネス、アウグスティヌス、ディオニュシオス・アレオパギテス、大グレゴリウス、ヨハネス・ダマスケヌスらは天使が罪を犯すという問題について論じた。
大グレゴリウスやセビーリャのイシドールスは、罪を犯して堕落する前のサタン(=ルシファー)はすべての天使の長であったとし、中世の神学者たちも、サタンはかつて最高位の天使である熾天使か智天使の一人であったと考えた。
※ウィキペディアより。


◆◆◆◆


【アンドロメダ・アマテラス級改・ルシファー級一番艦ルシファー】イメージ

全長:444m→500m

全幅:114m

全高:140m

主機
次元波動エンジン×1基
補機ケルビンインパルスエンジン×4基

乗員:1名(脳波感応型A.Iコントロールシステム。起動者の脳波にリンクし、A.Iがそれを最適化し、攻撃及び航行するシステムコンピュータ。尚、乗員はパイロットと呼ばれる。※瞬時の判断能力の高いパイロットを乗艦させコントロールさせる事で、より高い戦果が期待できると考えての事である。)

武装

四連装次元波動爆縮放射機(通称:拡散波動砲 十字に四門 艦首の角部分及びヒレ部分を撤去し、波動砲口を増設。)

40.6センチ三連装収束圧縮型衝撃波砲塔×10基→46.0センチ三連装陽電子衝撃波砲×16基(48門 艦底部前方に3基後方に2基追加された。)

物質転送波システム×2基(波動砲上 元々は重力子スプレッド発射機が装備されていた。)

重力子スプレッド発射機×2基(波動砲下)

四連装対艦グレネード投射基×2基(前甲板両舷)

小型亜空間魚雷発射管×8門(第一主砲塔前部両舷)

ミサイル発射管×10門(艦底)

司令塔防護ショックフィールド砲×3基(司令塔前部および基部)

近接戦闘用六連装側方パルスレーザー砲×2基(司令塔基部)

対空パルスレーザー砲塔×4基(司令塔および基部)

拡散型対空パルスレーザー砲塔×1基(司令塔基部後方)


◆◆◆◆


後編①
つづく。


この物語は、もし私が2202ー愛の戦士たちーの続編を作るとしたら的に、二次創作した物語です。
私的設定が混ざっています。

使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。

火龍ー宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフー

2019-06-02 09:37:40 | 宇宙戦艦ヤマト2202外伝

火龍
宇宙戦艦ヤマト2202スピンオフ
ー朱い惑星(ほし)のドラコンー

【前編】




西暦2203年__。

地球は"時間断層"反重力特異点という打出の小槌を失った・・・

連邦防御軍上層部では、"これを良し"とはしない者がいた。
地上の復興は望むもの以上に再開発が進み、一応のところ完了した。

連邦防衛軍にしても、時間断層を失うまでの半年間で、壊滅した基地、艦、航空機等の再建は成し遂げ、数だけは白色彗星ガトランティス戦役の戦時中並みに再建された。
人員に関しては現在、連邦政府で議論されているが、クローン人体を投入する方向で進んでいる。
また、戦時中に開発、導入された無人戦闘機及び無人戦闘艦の配備も、進められている。

だが、一部の軍上層部の人間には物足りなさを感じる者がいた。
生産するスピードの感覚が麻痺してしまったのか、満足行くものではなかった。
そこで"苦肉の策"的案件を打ち出したのだ。
生産工場を現在の十倍にし、フルオートメーション化とアンドロイドによる生産を24時間フル稼働と打ち出したのだ。

そして、その用地を再び火星に求めたのである。
火星"アルカディアシティ"の再建。

内惑星戦争終結後、資源採掘も再開される事なく、放置されたままガミラス戦役、白色彗星ガトランティス戦役と大きな戦争を二度も迎えた。
そう。火星にはまだ資源が豊富に埋蔵されているのだ。
時間断層の消失を良しとしない連邦防衛軍上層部の人間は今後、増えるであろう人口を踏まえて、アルカディアシティを五倍に拡張、資源採掘プラントと生産工場をセットで建設、再建されたアルカディアシティ都市部と軍施設を置き、「新しい火星を!」スローガンに連邦政府に持ちかけたのである。

時は流れ__。
西暦2205年。

2203年に打ち出された火星再建計画の三分のニが完成した__。

「大佐。機が熟したようだ。」
「そうは思わんか?」

「地球は二年も前に再興を果たしたにも関わらず、未だに火星から資源をむさぼり尽くしている。」
「私がこの案件を持ちかけた時は、さほど、乗る気を見せなかった高官(れんちゅう)も、今では手のひらを返したように、火星に資源を求めて来る。」

「だが、もうそれも終わりにしなければ成らない時が来たのだ。」
「火星は、我々の火星は地球から独立する時なのだ。」

「ハッ。中将殿。」

地球時間午前零時__。

火星守備隊司令部は、地球、火星の全通信網をハッキングにより掌握、地球、火星の全土に向け、地球連邦政府及び防衛軍に対し、火星独立を掲げ、宣戦を布告した。

ー艦隊戦力ー
拠点防衛戦略戦闘指揮艦:改・アンドロメダ級ネメシス(コントロール艦)を旗艦とする無人戦闘艦ドレット・ノート級20隻、重駆逐艦(コントロール艦)10隻、駆逐艦40隻、改・ドレット・ノート級空母4隻、改・コスモゼロ重駆逐戦闘機(コントロール機)36機、無人コスモゼロ300機、防衛ミサイル衛星20基。
これを前衛部隊とした。

ー防空戦力ー
無人コスモタイガーⅡ100機、武装シーガル20機、100式空間偵察機10機、防衛ミサイル衛星20基。

ー陸戦隊戦力ー
ガミラス式戦闘車両サルバー重戦車50両、ガミラス式兵員輸送装甲車メルバー100両。
そして、これを後衛部隊とし、更に24時フル稼働の工場で生産されている航空機と車両が存在する。
戦闘艦も新たに改・アマテラス級二隻建造しているがまだ、完成はしていない。

現在、保有している艦艇は全て地球で生産され、この二年間で配備されたものである。



「かっ!火星が独立戦争を仕掛けて来ただと!?」
地球連邦防衛軍軍務局長の芹沢は、非常呼集の呼び出しにイライラを募らせていた。

「今、司令部(そちら)へ向かう!」
「あとの報告は司令部に着いてから聞く!」

【地球連邦防衛軍軍務局長:芹沢 虎鉄】

15分後、防衛軍司令部に姿を現した芹沢は、山南を艦隊司令とする太陽系防衛第一艦隊を呼集、対艦隊戦に備えていた。

「此方、山南。」
「第一艦隊が出撃出来るまで、あと一時間は掛かります。」
「その間、戦闘衛星での対応を具申します。」

「山南少将。」
「火星の全戦力の資料は有るかね?」

「一応、データとして防衛本部のコンピュータとリンクした資料なら。」

「やはり、全部は持っていなかったか。」

「…と、仰いますと?」

「アマテラス級の改良型を新造している。」
「此方も、データを入手している訳ではないが、情報としては入手した。」
「そこでだ。山南少将、このアマテラス級の改良型を鹵獲して貰いたい。」
「艦の鹵獲が無理なら、データだけでも入手して貰いたい。」

「やって貰えるかな?」

「それと、今や火星には軍属を除き10万人の人間が暮らしている。」
「制圧にはくれぐれも、慎重にな。」芹沢軍務局長とのやりとに、割って入った連邦政府藤堂長官が告げた。

「了解しました。」
映像通信が切れ、山南は思う。

「…物欲の後遺症は治りが遅いのか。」と。

「さて、あと45分か。」
「パイロットの人選と行きますかな。」タブレットをパラパラとめくるが、山南の目に止まる人員は居なかった。

「時間が無いな。」
「月で乗せるとするか。」

「通信士。此方、山南だ。」
「月面鎮守府航空隊本部に繋いでくれ。」

「ラジャー。」
「月面鎮守府航空隊本部と繋がります。」

「うむ。」

「と云う訳だ。もう一人、貴官の信頼しているパイロットを頼む。」

「了解しました。」
通信が終わると出撃まであと、30分を切っていた。

「よし。全艦艇に通達。」
「各艦、出撃準備に入れ。」

「機関長。補助エンジンに火を入れろ。」

甲高いモーター音が、微かに伝わって来る。
時折、艦(ふね)の揺れが感じ取れる。

「やっぱり艦(ふね)は人間が動かすに限るな。」
「なぁ。アンドロメダよ。」

【地球連邦防衛軍第一防衛艦隊艦隊司令:山南 修(少将)】



【地球連邦防衛軍第一防空隊地球軌道パトロール機】※ネオ・マーズフリート(地球連邦防衛軍第一防空隊機に偽装した100式空間偵察機)

「おっ。地球連邦艦隊が動き出したようだ。」
「周回軌道に乗ったところで、連絡だ。」
「自然に作り出される電波障害で、通信は傍受されんからな。」

「まぁ。此方も傍受出来ませんけどね。」

「コチラ・ムーンアイ・カルガモノ・オヒッコシガ・ハジマッタ。」タイムラグが大き過ぎる為、今や使用されなくなった超空間モールス信号を送る偽装パトロール機。
タイムラグが大き過ぎると云うリスクは有るものの、傍受されにくいと云うメリットを採用したのだ。


【中編】
つづく。


この物語は、もし私が2202ー愛の戦士たちーの続編を作るとしたら的に、二次創作した物語です。
私的設定が混ざっています。

使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。

space.battleship.yamatoー新たなる戦士たちー第十一話

2019-06-01 11:47:54 | space.battleship.yamato二次創作



space.battleship.yamato
ー新たなる戦士たちー

第十一話


ヤマトに戻った坂本らは、土方に直接、状況を説明した。
薬を飲まされた神楽、橋爪の両名は勿論の事、坂本、椎名も念のため艦医:桜に診察して貰う事と成った。
精密検索後、24時間の隔離が施された。

土方は、"騙された"ふりをする為、先発隊とは別行動を取っていた薫子と大地も帰投させた。

「祭中佐。10分後に艦長室へ。」
帰投を確認した土方は、詳しく報告を聴くと同時に今後の作戦を話す為、船務長でもある薫子を呼び出した。

「祭中佐。入ります。」

艦長室に入室した薫子は、腰から上を約15度に曲げ、一礼を済ませ土方まで二歩の距離まで進んだ。

「中佐。」土方はまずヤマトの現状を教えた。
その上で、詳しく地上の様子を伺った。

「うむ。」
「やはり、この惑星(ほし)が水没した事は事実かも知れんが、地上の構造物、都市や古代遺跡は似せて作ったものと判断せざるを得ないな。」

「現時点でエース級パイロットを含め、四名が不在的な状況だ。」
「24時間後、坂本、椎名そして神楽と橋爪の4名は異常が見られなければ、そのまま隊に復帰出来るが、このまま24時間もこの場に待機する訳にも行かん。」

「そこでだ、ヤマトも偽装工作をと考えている。」

「……偽装…ですか?」

「うむ。偽装だ。」

土方の案は、こうだ。
ヤマトの機関トラブルを装い、時間を稼ぐというものだ。
時間を稼ぐと云っても、二~三時間がいいところだろう。
そこで、この時間を利用し、密かに宙雷艇(キ8宙艇)を下ろし隠す。
その上で、ヤマトを先導するこの地球の使者サーダの船に我々数名を乗船させて貰えるよう提案し、サーダを押さえ、船を奪取し、地球へと向かうふりをすると云うものである。
その間、宙雷艇に潜ませた人員を潜入させ、山本、ナジャラらと合流させ、同時にヤマトは転進、この偽りの地球へ再突入する。

「中佐には、その潜入隊の指揮を取って貰いたい。」

「山本やナジャラは、この偽りの地球の事を知り、わざと残ったのであろう。」
「おそらく第十一番惑星を強襲した艦隊の母星だと知ったと思われる。」

「……だとしら艦長!」薫子は思わず大きな声を出してしまう。

「だとしら、その勢いで地球をも。」

「そう考えるのが妥当だ。」
「この地球が偽物で我々の未来ではない。」
「我々、地球人類を地球から追い出し、乗っ取りたいのではと思われる。」
「そして、我々が観せられた水没する地球は、この偽りの地球だと儂は思う。」

「……艦長の推測が正しければ、最悪、地球は地球人類は、人質って事です!」

「ああ。中佐の云う通りだ。」
「おそらく、現時点で地球は人質だと考えるのが妥当だ。」
「だからこそ、我々をもう一度、地球へ向かわせ、地球人類を脱出させる手引きをさせよう仕向けたのだ。」

「……ですが艦長。それなら何も地球人類を人質にせず、抹殺した方が手っ取り早のでは?」

「中佐。儂も君と同じ事を考えた。」
「だが、彼らは地球人類を脱出させてこの偽りの地球へ導けとしている。」
「この事から、彼らは我々を含め、地球人類が必要。」
「何故、必要かは本当のところは解らないが、おそらく労働力ではないかと推測している。」
「最終的には切り捨てられるだろうな。」



「……。」少し、時間を開け薫子は再び口を開いた。

「だとすれば、先ずはこの偽りの地球を我々で制圧、その後、地球を地球人類を解放する。」
「艦長はそう考えているのですね!?」

「そうだ。」
「それも現在、地球を地球人類を人質にしようとしている、あるいは既にしている部隊に悟られないようにだ。」

「派手なドンパチは出来ない。」

「そういう事だ。」


◆◆◆◆


陽炎から送られて来る映像や情報からは、敵が潜んでいるようには思えないと判断した艦隊司令は、指揮を艦長である赤城に任せ、全艦艇に通達した。

「全艦!第ニ警戒体制!」
「マルチ隊形で続け!」命令を下す赤城。
艦隊は縦列からアンドロメダを中心に量産型ドレット・ノート級が、上下二段、横列に並び、その後方に駆逐艦が十文字に隊列を組んだ。
そして、その艦隊をグルリと縦に円を書くように戦闘衛星が浮遊する。

それに対し、ゴルバ級要塞戦闘艦は地球艦隊正面に二番艦、その斜め前方と後方に各々、一艦づつ時計回りに三番艦、四番艦、五番艦、六番艦と配置されていた。
一艦艦については、二番艦の対面した上空に陣を敷いていた。
地球艦隊が全てエリア内に入った後、出口を塞ぐように降下するためだ。

イメージ曲space.battleship.ヤマトより。

「グローダス総司令!地球艦隊、有効射程ラインを通過しました!」


「うむ。」
「全艦!砲撃開始!!」

十字砲火を浴びせるように、ゴルバ級要塞戦闘艦から一斉に砲撃が開始された。

「十番ドレット・ノート級!爆沈!!」
「五番ドレット・ノート級!被弾!!」
「被害甚大!!」いきなり飛び込む、爆沈、被弾の報告に度肝抜かれたように、目を丸くする赤城。

「……くっ! 」
「待ち伏せか!敵はステルス艦だ!!」

「全艦!第一級戦闘配置にシフト!!」
「陽電子照明弾を射ち上げろ!!」
「各艦!砲雷撃戦よーい!」
「戦闘衛星を散開!」
矢継ぎ早に命令を下すが、それと同等に被害報告が飛び込む。

普段、冷静沈着な赤城だが、動揺を隠せなかった。

「全艦!マルチ隊形を解除!密集…いや、散開せよ!」

「駆逐艦陽炎轟沈!!」

陽電子照明弾のプラズマ波によって浮かび上がったゴルバ級。
そのゴルバ級の大きさにど肝を抜かれるクルーたち。

「……これが、この巨大な物体が艦(ふね)だと?」

「全艦!砲撃しつつ後退!」
「駆逐艦隊及び戦闘衛星は陽動を!」
「残りの艦は後退しつつ、拡散波動砲の発射体制を取れ!」

「か、艦長!」
「後方にも巨大艦!!」

「なっ!何っ!!」




第十二話
つづく。


この物語は、もし私がspace.battleship.yamato(実写版)の続編を作るとしたら的に、二次創作したspace.battleship.yamatoの物語です。
私的設定が混ざっています。

使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。