鹿島《少将》の航海日誌

改めてブログ作り直しました。
ヤマト関係を中心に、興味あるもの等をお届け。

space.battleship.yamatoー新たなる戦士たちー第十五話

2019-06-22 20:18:08 | space.battleship.yamato二次創作



space.battleship.yamato
ー新たなる戦士たちー

第十五話





「……やる気マンマンで間合いを詰めて来やがる。」
薫子はポロリと落ちかけたサバイバルナイフを右手でしっかりと握り、姿勢を低く構え、左手を腰に回し、常日頃から護身用として持ち歩いている自家製クナイ二本に指を引っ掛けた。

「格好からして、格闘戦には手慣れているようね……。」
「先手必勝かしらねっ!!」
そう呟く薫子は、まず左手の指に引っ掛けたクナイ二本を素早く下手投げ、間合いをジリジリと詰めて来る見張りの兵二人に投げ、右手のにぎるサバイバルナイフを軽く宙に投げ、逆手でキャッチ、下から救い上げよいに振り上げた。

「ジャキン!!」
「ギギギギィ!」
軽く火花が散った。

剣道、合気道と黒帯(だん)を持つ薫子ではあるものの、伊達に近衛兵として代を重ねて来た者たちではなかった。
薫子と同等、いや、それ以上な腕を持つ者たちだ。
短剣どうしの闘い、薫子は得意の長剣があればと心に思う。

「これ以上、闘いを長引かせては私が殺られる……。」
そう思う薫子は、殺るか殺られるか、一か八かの賭けに出た。

薫子は一度、二人の近衛兵らと距離を開ける為、二人とは逆の方向へ走り、二人が追いかけて来たタイミングで、壁を目掛けジャンプ、壁を二歩、三歩と駆け登り体を捻り、二人を目掛け落下、ナイフの峰を右手で支え斬りかかると見せかけ合気道技を持ち要り、相手の顎を打ち上げた。
そのまま二人は床に叩きつけられ、一瞬、脳震盪(のうしんとう)を起こし、その場に倒れた。



「…くっ。殺せ!」

「お前たちを殺すのは簡単だ。」
「だが、殺しはしない。」
「お前たちの知っている事を話して貰う!」
「何故に私たち、地球を狙う?」
薫子は倒した二人の内、片方の上に馬乗りに成り、サバイバルナイフを喉元に突きつけ、更にその横に倒れたもう片方の眉間に、クナイを何時でも刺せるようにピタリと突き刺すような当てた。

「お前たちは、地球は地球人は餌で有り、新たな巣だ。」
「新女王サーダ様の、そしてデザリアム人の餌で、我らのように僅かながら兵として生き残れる者も居るかも知れんが基本、"餌"だ。」

「我らはジレルの民。」
「お前も観たであろう?アケーリアス星を。」
「デザリアムの仕業で我らのジレル星は、この有り様だ。」

「この有り様?」

「そうだ。この有り様だ。」
「この星は、我らジレルの星。」

緑、豊かな惑星(ほし)ジレル。
悲劇は突然に訪れた__。

今から百年前__。

緑、豊かな惑星(ほし)ジレルは突如、暗黒星団帝国デザリアムを名乗る種族によって、侵略された。

一方的に武力によって侵略が始まったのだ。
元々、ジレルには近衛兵的な組織はあったが、軍と呼べるような組織は存在しなかった。
24時間という僅かな時間で惑星全土が制圧された。

そして、伝説の惑星(ほし)命の水の惑星アケーリアスが突如、姿を現した。

「このままでは、あのアケーリアスの海水(みず)が、この星を水没させるであろう。」
「死を急ぐ事もあるまい。」
「我々、デザリアムが救済してやろう!」

「こう告げたデザリアムに従うしかなかった我らジレルの民は、脱出船だと云われた船へ赴いた。」
「我らはそこで、ふるい分けされ、我ら近衛兵のように能力のある者たちは、サーダ様の近衛兵とされ、他の優秀と判断された者たちは、サーダ様の世継ぎ為の交尾の相手をさせられた。"餌"である。」

「最も最悪の結果を得た者たちは、デザリアムの手足として、資源採掘の奴隷とされた。」
「資源採掘に目処が立つと、アケーリアス星を急接近させ、水没させた。」
「水が引けると同時に"新女王"は新たな巣を目指し、優秀な民を引き連れ旅立つ。」
「そして、新たな"巣"として目を付けたのが、お前たちの地球だ。」

「……って。じゃあ聖総統は何なんだ?」



「聖総統か。聖総統は、別名"スカルダート"と云って、我らジレルの王だ。」
「今では只のお飾りに過ぎないが。」
「お飾りと云うより、傀儡だ。」
「サーダ様が操る、操り人形だ。」

「王であるスカルダート様が告げたことには、我らは逆らえない。その習性を利用して我らを従わせたのだ。」



「なるほど。」
「最後にもう一つ質問がある。」

「お前たちのこの惑星(ほし)を取り返したいとは思わぬか?」
「一度、死んだと思えば恐い者は無いだろう!?」
「生き残った者たちで、また緑豊かな惑星(ほし)にしたいとは、思わぬか?」
「地球人も、協力を惜しまないだろう。」
「あなた方に救われた恩を返す為に。私が説得する!」
薫子に倒され、喉元にサバイバルナイフを突きつけられたジレルの近衛兵が少し、薫子を見つめ感応波による読心術を試みた。

「……貴女に偽りは無いようね。」
「貴女の仲間を助ける協力はするわ。だけど、貴女方の協力は求めない。」


第十六話へ
つづく。


この物語は、もし私がspace.battleship.yamato(実写版)の続編を作るとしたら的に、二次創作したspace.battleship.yamatoの物語です。
私的設定が混ざっています。

使用している画像はイメージです。
また一部、過去に集めた拾い画を使用しています。