安倍改造内閣の「地方創生」 カギを握るのは移民制度と新しい思想
http://the-liberty.com/article.php?item_id=8379
改造内閣を始動させた安倍晋三首相は、「地方創生」を「アベノミクス第2弾の大きな柱」と位置づけている。「地方創生」は急速な人口減少や、地方の衰退に取り組むという課題だ。
出生率1.4前後という状態が続けば、日本の人口は現在の約3分の2にあたる、8700万人にまで減少する。そうなれば、地方自治体の中には、「限界集落」となって消滅するところも出てくる。国全体の消費人口・生産人口は激減し、衰退・消滅する産業も出てくる。まさに、"国家そのものの衰退"だ。
今回、安倍首相は「2060年に人口を1億人に維持する」「地方からの人口流出を防ぐ」などの目標に、国を挙げて取り組むため、「地方創生担当大臣」を新設し、自民党幹事長の石破茂氏を起用。内閣初会合では地方創生に向けた具体策を練る「まち・ひと・しごと創生本部」の設置も決定した。
しかし、中途半端な取り組みでは「2060年に人口1億人維持」は難しいだろう。本当にこの目標を達成するには、2030年までに出生率を「2」以上にまで上げなければいけない。それを不可能と断定することはできないが、「出生率頼み」ではあまりに心もとない。
日本は人口崩壊を防ぐため、真剣に「移民の本格導入」を考えるべき時期に来ている。
もちろん、「移民導入は怖い」という声は根強い。ドイツなど欧州では、労働力の不足を補うために移民を導入した結果、職に就けずに生活保護を受ける外国人や、社会に溶け込めず問題を起こす犯罪者が増えた、という前例がある。
だが、移民を受け入れないまま人口が減少している日本社会、日本経済の悲惨な姿をこそ恐れるべきではないか。日本人は、欧州の失敗例から教訓を学べばいい。欧州における移民政策の失敗には、「外国人に十分な言語習得支援や、職業訓練の場が提供されなかった」という背景がある。そのため、移民の2世や3世が社会への不満を溜め込んでしまった。
同じ轍を踏まぬよう、日本の移民政策は「教育制度」とセットで構築されるべきだ。日本語を十分に使えるレベルまで教え、日本の基本的な文化や考え方も知ってもらう。立派な日本人に"生まれ変わって"もらい、国籍を与える。単なる「外国人労働者」ではなく、同じ「日本国民」として迎えるのだ。そのためには、まず日本人自身が、日本に対する誇りを取り戻す必要がある。
そうかといって、排他的になってもいけない。日本について学んでも、移民自身が変えられないカルチャーはあるはず。そうした常識の異なる人々と理解し合い、信じ合わなければいけない。そのためには、「いかなる人間にも仏と同じ性質がある」という仏教の「仏性」の思想や、「あらゆる人間は神の子だ」というキリスト教思想のような宗教的人間観が必要だ。
ただそれは、単なる既存仏教の煤けた思想や、一神教の不寛容なものではなく、新しい時代を開く、新しい思想であるべきだろう。
人口減少の危機は、日本人に「日本人とは何か」「人間とは何か」を問いかけ、新たな国家モデルを創る機会を与えてくれているように思えてならない。(光)
【関連書籍】
2014年7月号記事 釈量子の志士奮迅 新しい「日本人創り」で「自由の大国」を目指せ
http://the-liberty.com/article.php?item_id=7868
2010年6月号記事 移民国家を目指せ!
http://the-liberty.com/article.php?item_id=58
2010年5月号記事 【日本を創ろう】人口は増やせる!
http://the-liberty.com/article.php?item_id=920
2008年7月号記事 求む!外国人
http://the-liberty.com/article.php?item_id=796