地形学とGIS / Geomorphology & GIS

ある研究者の活動と思考の記録

文献リストでの論文の並べ順

2013-12-16 | 論文や雑誌

英文学術雑誌の編集を担当しているので、毎日のように誰かが作成した英語の文献リストを見ている。フォーマットの不統一が気になることが多いが、別のよくある問題は、著者が3名以上の論文の並べ順。英文論文では Smith et al. (2013) のような形で引用するが、主著者が同じ Smith et al. (2011) も引用している場合、 文献リストでどちらを先に書くかについて、しばしば混乱がみられる。文献リスト全体としては、第一著者の家族名のアルファベット順が原則だが、この場合、それは同一である。

雑誌のポリシーによって異なるかもしれないが、常識的には出版の年代順に並べる。つまり、Smith et al. (2011) を先にする。しかし、そうなっておらず、第二著者の家族名のアルファベットを考慮した順番にしている人が時々いる。これは、著者が2名の場合に、Smith and Davis (2013) を Smith and Jones (2011) よりも先にするというルールを、著者が3名以上の場合にも適用したためである。

なぜ著者が2名の場合には第二著者の家族名を考慮し、3名以上の場合には考慮しないのか? それは読者が本文中での引用を見て文献表と対応させる際に、第二著者の名前を知っているかに依存する。2名の場合には、本文中では Smith and Jones (2011) のように引用されるが、3名の場合には Smith et al. (2011) のように引用される。後者の場合、読者は第二著者の名前を文献表を見るまで知らない。よって、読者が当初持っている第一著者の名前と出版年代という情報のみから探しやすいように、文献を並べるべきである。

これに限らず、論文を書くという作業の際には、いかに読者の立場に立って考えられるかが試される。著者は研究の内容を熟知しているため、内容をラフに書いても理解できる。しかし研究を初めて知る読者には、ラフな書き方では内容が伝わらない。論文を査読雑誌に早く出版するためには、研究の内容が良いだけではなく、読者の側に立つという気配りが必要である。これは経験とともに習得可能なものだが、習得しようと意識していないと、なかなか身につかないかもしれない。


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