地形学とGIS / Geomorphology & GIS

ある研究者の活動と思考の記録

Your Paper, Your Way

2014-03-11 | 論文や雑誌

雑誌 Geomorphology の他のエディタおよびエルゼビア社と、Your Paper, Your Way (YPYW) という新システムを導入するかを議論しました。これは、雑誌に投稿する原稿のスタイルを、論文が出版されるときの形式に対応させなくても構わないというものです。たとえば文献リストでの記載は、Geomorphology では

Oguchi, T., 2014, A paper on Japan. Journal of Japan 35, 22-45.

のように書きますが、投稿原稿では

OGUCHI, Takashi (2014): 'A Paper on Japan'. Journal of Japan, Vol. 35, pp. 22-45.

となっていても、内容は同じなので構わないというものです。出版前のスタイルの変更と統一は、エルゼビアが責任を持って行います。

当初は僕を含むエディタは、YPYWの導入に消極的でした。理由は、形式が多様だと内容のチェックも難しくなる、それが査読者やエディタの負担を増やし、最終的な品質も下がるのではというものでした。しかし、すでにYPYWを導入した雑誌の投稿者、査読者、編集者にアンケートを行ったところ、問題点よりも利点の方が多いという結果が示されました。その結果を見たことと、導入しないことが投稿数の減少につながるような懸念もあったので、Geomorphology でも導入を決意しました。

従来は論文を投稿する際に、雑誌の形式に原稿を合わせることが大切な作法と考えられていましたが、もはや常識ではなくなったようです。思い返せば論文がオンラインの pdf で流通するようになったのも、比較的最近のことです。堅い感じがする学術出版においても、いろいろな変化が新たに生じています。


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2 コメント

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Unknown (山野博哉)
2014-03-14 13:15:21
ご無沙汰しております。最近、エルゼビアとシュプリンガーの雑誌(前者はGeomorphology誌です)で論文出版する機会があったのですが、両方とも校正をオンラインでできるようになっていて驚きました。確かに学術出版は変わりつつありますね。
変わるものと変わらぬもの (OGU)
2014-03-14 21:15:41
そうですね。オープンアクセスの台頭(といっても一気に置き換わったりはしない状況)など、いろいろありますね。しかし研究論文の書き方は、簡単には変わらないですね。「結果と議論を分けよ」とか。

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