地形学とGIS / Geomorphology & GIS

ある研究者の活動と思考の記録

被災を記録した仙台市海岸公園

2012-03-18 | おでかけ

昨年3月11日の津波で被災した後,一般の人が原則として入れなくなった仙台市の海岸公園が,今日と来週の日曜日,臨時開園されます(人数を制限して)。それに先立つ昨日,仙台市のご厚意により,僕を含む東京大学空間情報科学研究センターのメンバーが海岸公園を視察することを許されました。被災を記録した公園の状況を写真でお伝えします。

 

公園の入口の看板。震災以前からあるものだと思います。

 

公園の近くの海辺。この堤防を越えて津波が入りました。

 

津波により,多くの木がほとんど水平に倒されています。しかし,運河に沿った木はあまり倒れませんでした。

 

運河と倒れなかった木です。運河の左側の遠方に丘が見えます。このあたりが海岸公園です。

 

運河の近くから海岸公園の丘を見たものです。津波によって木の樹皮が大きくはがされています。丘は人工の盛り土で,丘の上部は浸水を免れ,木製の展望台が残っています。

 

丘の上にある展望台。底部の標高は約14m。ここに逃げた5名と犬2匹は津波の難を逃れました。

 

展望台に貼られた写真。3月11日に避難した人が当日撮影したものです。丘の上は無事ですが,背後の低地は完全に湛水して湖のようになっています。

 

震災の後,丘の上の遊具の説明板に津波からの避難の手引きが貼られました。背後の低地は,がれきの集積場になっています。

 

丘の上に避難した人を救助したヘリコプターの着陸地点と被害を免れた遊具です。

 

丘のふもとにある管理事務所。ここは津波にのまれてしまいました。

 

事務所の内部。時計が津波到達後の数分後で止まっています。水の高さは,上側の白い壁と下側の木の壁の境とほぼ同じです。壁には解説の写真や文が新たに貼られていますが,はがれかけたものは,被災以前からあったものです。

 

止まった時計。水が達した高さが汚れでわかります。

 

流し。浸水の位置が示されています。シンクには泥がたまっていました。

 

管理事務所の近くのトイレ。ここも浸水しました。

 

トイレの中は津波の後,全く手をつけていないとのこと。ここはこの状態で保存するそうです。

この公園の周囲の平野では,多くの方が亡くなっています。一方,この公園は丘に逃げた人が助かった場でもあるので,被害を受けた建物も含めて,震災の記録として公開することになったのではと思います。3.11の記憶を風化させず,より良い防災について長期的に考える場になればと思いました。

Say a prayer, say a prayer, save the souls that have gone.
(Inori / Eric Martin)


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