ご無沙汰しております,管理人です。
人間長く生きていると,それなりにいろいろありますな。
とまあ,そんな余計な前置きはさておきまして,かねがね書きたいと思っていた,PC-98用のバックアップソフト,WIZARD V5 For PC-98が満を持して登場ですよ。
以前から申しておりますとおり,私,遅れてきたPC-98ユーザーでして,1stパソコンがWindows95プレインストールのPC-9821でした。バンドルソフトが一太郎6.3というあたりからして遠い目をしてしまうみなさんもいらっしゃるかと思います。
世の中が,Windows95発売を機に,パソコンを持っている人=変人,好事家という位置付けから,一家に1台パソコンくらいあるでしょという風潮に変わり,安価なPC/AT機,あるいはDOS/V機と称されるパソコンが,国民機と称されつつも所詮はほぼ単一メーカーのブランドであったPC-98シリーズをマイナーマシンへと追いやって行く,その怒濤が押し寄せていた時期です。
私がWIZARDを入手したのはそれから半年以上後のことで,1999年9月には,不正競争防止法と著作権法の改正により,WIZARDを含むバックアップツールは,市場から姿を消したのでした(WIZARDの販売終了について)。
もっとも,私がWIZARDを入手した時点でも,既にバックアップツール市場は下火になっており,どこのパソコンショップでも置いているという状態ではありませんでしたし,置いている店でもWIZARD以外を見た記憶がありません。まあパックアップツールだから下火だったというわけでなく,PC-98ソフトだから取扱いが減っていたという見方も可能ですが。
株式会社ウエストサイドの発売していたPC-98用バックアップソフトとしては,WIZARD V3シリーズが名高いですが,WIZARD V5は,その後継バージョンです。
WIZARD V3が,FD解析ソフトまたはFD解析ツールとして,国立国会図書館の調査報告にも現れていたことは,FD解析ソフトまたはFD解析ツールについてにも書いたとおりです。
私も,今回,国立国会図書館と同様に研究の目的で,WIZARD V5について整理しましたので,覚え書きの意味で記事を作成してみる次第です。
私がWIZARD V5を入手した当時には,WIZARD for Winなんてのも出てましたが,迷った末にV5を購入したので,for Winの詳細は知りません。ひょっとすると,V5がCUIだったのに対して,for WinはGUIだったのかもしれません。また,for Winは,WIZARD V5よりも古くに発売されていたようなので,Windows3.1でも使用できたのかもしれません。いずれも推測の域を出ませんが。
さて,WIZARD V5の機能ですが,まずは起動時のファイラーモード画面。
WIZARD V5は,単品でどのPCソフトのバックアップにも対応するという種類のソフトではなく,対応するPCソフトごとに,パラメータを設定するファイラーを出していました。
ただ,起動時のファイラー画面に現れている,スタンダード・バックアップモードやオート・バックアップモードは,標準ファイラーとして,WIZARD V5に内蔵されていました。
スタンダード・バックアップモードとオート・バックアップモードの違いは次のとおり(株式会社ウエストサイド・WIZARD Q&A 41頁参照)。
スタンダード・パックアップモードでは,MS-DOSのDISKCOPYよりも高速にバックアップでき,DISKCOPYでは取れないオーバートラック(1.25MBのディスクの場合,Tr.154~163)のバックアップが取れる。ただし,特殊フォーマットの有無に関わらず,標準のフォーマット形式でバックアップするため特殊フォーマットの再生はできず,またDISKCOPYと違い最後までバックアップできるが,エラー表示のされたトラックのデータについての保証はない。
これに対し,オート・バックアップモードでは,MS-DOSのDISKCOPYでは取れないオーバートラック(1.25MBのディスクの場合,Tr.154~163)のバックアップが取れる点は同じだが,DISKCOPYよりもバックアップが低速になる反面,1トラックずつ解析をしながらフォーマット再生を行うため,特殊なフォーマット部分もある程度再生できる。
これら標準ファイラーとは別売りで,発売されるソフトに対応して定期的に発行されるレポートの他,レポートで発表されたファイラーを集めたファイラー集が発売されていました。
私が購入したのは,多分,最終のファイラー集となった「WIZARD V5/V3/for Win ALL FILERS 満漢全席」というものでした。
もっともこの時点で,既にPC-98専用のパソコンソフトはあまりなく,エロゲーソフトですらWindows95を動作環境とするソフトの比率が格段に上昇し,また,ユーザー比率の低くなったPC-98においては,余分なコストのかかるプロテクト自体をかけないソフトがかなり増えていました。そのため,満漢全席もそうですが,プロテクト外しのファイラーでない,ユーティリティファイラー(プレイヤー体力が減らない等)の収録が多くなっていました。
今回は,1992年にディスカバリー・ソフトウェアから発売されていたMIRAGE('92/01/24・ディスカバリー・ソフトウェア)のバックアップを例として,プロテクト外しのファイラーを使用した作業手順を覚え書きとして残すことにします。
ちなみに,このソフト,MS-DOSのDISKCOPYモードでバックアップしたディスクから起動すると,メーカー名ロゴが出て,それっきり止まってしまいます。
WIZARD V5の起動時のファイラーモード画面から,ファイラーの所在ディレクトリを満漢全席プレミアムCD内のディレクトリに移動しました。CD-ROMですので,多数のファイラーが収録されていますが,目的のMIRAGEのファイラーに辿り着きました。
ファイラーを選んでリターンキーを押すと,WIZARD98がロードされます。
バックアップ元のドライブと,バックアップ先のドライブを指定して,バックアップを実行します。
バックアップ元のフロッピーディスクのトラックを1つずつ読んでは,バックアップ先のドライブのトラックを1つずつ書き込んでいきます。
トラック33に存在したチェックルーチンを書き換えたようです。
書き込みが終了しました。
これで,バックアップ完了です。
DISKCOPYで複製したディスクと異なり,WIZARDでバックアップしたディスクからは,問題なくゲームが開始できました。
というわけで,ファイラーバックアップ編はこれにて終了。
次回は,WIZARD V5 For PC-98 アナライザ[Freia]編を予定しています。
<<著作権に関して>>
本記事に引用している全てのソフトの名称・画像の著作権・その他権利は、制作、販売されたソフトハウス、メーカー、または作者様に帰属します。本サイトでの上記著作権物扱いは、著作権など各権利関係を侵害することが目的ではありません。問題などある場合は、メール(gekigangarあっとmail.goo.ne.jp)にてその旨お知らせください。
人間長く生きていると,それなりにいろいろありますな。
とまあ,そんな余計な前置きはさておきまして,かねがね書きたいと思っていた,PC-98用のバックアップソフト,WIZARD V5 For PC-98が満を持して登場ですよ。
以前から申しておりますとおり,私,遅れてきたPC-98ユーザーでして,1stパソコンがWindows95プレインストールのPC-9821でした。バンドルソフトが一太郎6.3というあたりからして遠い目をしてしまうみなさんもいらっしゃるかと思います。
世の中が,Windows95発売を機に,パソコンを持っている人=変人,好事家という位置付けから,一家に1台パソコンくらいあるでしょという風潮に変わり,安価なPC/AT機,あるいはDOS/V機と称されるパソコンが,国民機と称されつつも所詮はほぼ単一メーカーのブランドであったPC-98シリーズをマイナーマシンへと追いやって行く,その怒濤が押し寄せていた時期です。
私がWIZARDを入手したのはそれから半年以上後のことで,1999年9月には,不正競争防止法と著作権法の改正により,WIZARDを含むバックアップツールは,市場から姿を消したのでした(WIZARDの販売終了について)。
もっとも,私がWIZARDを入手した時点でも,既にバックアップツール市場は下火になっており,どこのパソコンショップでも置いているという状態ではありませんでしたし,置いている店でもWIZARD以外を見た記憶がありません。まあパックアップツールだから下火だったというわけでなく,PC-98ソフトだから取扱いが減っていたという見方も可能ですが。
株式会社ウエストサイドの発売していたPC-98用バックアップソフトとしては,WIZARD V3シリーズが名高いですが,WIZARD V5は,その後継バージョンです。
WIZARD V3が,FD解析ソフトまたはFD解析ツールとして,国立国会図書館の調査報告にも現れていたことは,FD解析ソフトまたはFD解析ツールについてにも書いたとおりです。
私も,今回,国立国会図書館と同様に研究の目的で,WIZARD V5について整理しましたので,覚え書きの意味で記事を作成してみる次第です。
私がWIZARD V5を入手した当時には,WIZARD for Winなんてのも出てましたが,迷った末にV5を購入したので,for Winの詳細は知りません。ひょっとすると,V5がCUIだったのに対して,for WinはGUIだったのかもしれません。また,for Winは,WIZARD V5よりも古くに発売されていたようなので,Windows3.1でも使用できたのかもしれません。いずれも推測の域を出ませんが。
さて,WIZARD V5の機能ですが,まずは起動時のファイラーモード画面。
WIZARD V5は,単品でどのPCソフトのバックアップにも対応するという種類のソフトではなく,対応するPCソフトごとに,パラメータを設定するファイラーを出していました。
ただ,起動時のファイラー画面に現れている,スタンダード・バックアップモードやオート・バックアップモードは,標準ファイラーとして,WIZARD V5に内蔵されていました。
スタンダード・バックアップモードとオート・バックアップモードの違いは次のとおり(株式会社ウエストサイド・WIZARD Q&A 41頁参照)。
スタンダード・パックアップモードでは,MS-DOSのDISKCOPYよりも高速にバックアップでき,DISKCOPYでは取れないオーバートラック(1.25MBのディスクの場合,Tr.154~163)のバックアップが取れる。ただし,特殊フォーマットの有無に関わらず,標準のフォーマット形式でバックアップするため特殊フォーマットの再生はできず,またDISKCOPYと違い最後までバックアップできるが,エラー表示のされたトラックのデータについての保証はない。
これに対し,オート・バックアップモードでは,MS-DOSのDISKCOPYでは取れないオーバートラック(1.25MBのディスクの場合,Tr.154~163)のバックアップが取れる点は同じだが,DISKCOPYよりもバックアップが低速になる反面,1トラックずつ解析をしながらフォーマット再生を行うため,特殊なフォーマット部分もある程度再生できる。
これら標準ファイラーとは別売りで,発売されるソフトに対応して定期的に発行されるレポートの他,レポートで発表されたファイラーを集めたファイラー集が発売されていました。
私が購入したのは,多分,最終のファイラー集となった「WIZARD V5/V3/for Win ALL FILERS 満漢全席」というものでした。
もっともこの時点で,既にPC-98専用のパソコンソフトはあまりなく,エロゲーソフトですらWindows95を動作環境とするソフトの比率が格段に上昇し,また,ユーザー比率の低くなったPC-98においては,余分なコストのかかるプロテクト自体をかけないソフトがかなり増えていました。そのため,満漢全席もそうですが,プロテクト外しのファイラーでない,ユーティリティファイラー(プレイヤー体力が減らない等)の収録が多くなっていました。
今回は,1992年にディスカバリー・ソフトウェアから発売されていたMIRAGE('92/01/24・ディスカバリー・ソフトウェア)のバックアップを例として,プロテクト外しのファイラーを使用した作業手順を覚え書きとして残すことにします。
ちなみに,このソフト,MS-DOSのDISKCOPYモードでバックアップしたディスクから起動すると,メーカー名ロゴが出て,それっきり止まってしまいます。
WIZARD V5の起動時のファイラーモード画面から,ファイラーの所在ディレクトリを満漢全席プレミアムCD内のディレクトリに移動しました。CD-ROMですので,多数のファイラーが収録されていますが,目的のMIRAGEのファイラーに辿り着きました。
ファイラーを選んでリターンキーを押すと,WIZARD98がロードされます。
バックアップ元のドライブと,バックアップ先のドライブを指定して,バックアップを実行します。
バックアップ元のフロッピーディスクのトラックを1つずつ読んでは,バックアップ先のドライブのトラックを1つずつ書き込んでいきます。
トラック33に存在したチェックルーチンを書き換えたようです。
書き込みが終了しました。
これで,バックアップ完了です。
DISKCOPYで複製したディスクと異なり,WIZARDでバックアップしたディスクからは,問題なくゲームが開始できました。
というわけで,ファイラーバックアップ編はこれにて終了。
次回は,WIZARD V5 For PC-98 アナライザ[Freia]編を予定しています。
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