忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

自民・茂木幹事長「対中非難決議は今国会で成立できる」…参院選へ向けた自公の関係は

2022年01月21日 | 忘憂之物




私は遭難したことはない、というか登山をしないからだが、もし、山で道に迷ったら「頂上を目指す」のがいいという。間違っても「沢に降りてはいけない」とのことだ。念のため肝に銘じておくが、正確に言うと「尾根に出る」ということだ。「沢」とは「谷」のこと。要するに山には尾根と沢しかないから、沢を下らないなら上るしかない、ということだ。

言うまでもなく、沢を下るのは危険だと素人でもわかる。視野は狭くなるし、日照は遮られるし、発見も遅れるし、急斜面やら落石もあるかもしれない。しかしながら、遭難者が出ると「沢で発見されました」みたいなニュースも少なくない。何度も登山経験のあるベテランでも危ういとのことだ。

たぶん、パニックになる。冷静な判断ができなくなって正常化バイアスがかかる。「登ったから危険→降れば安全」みたいなシンプルな思考経路になる。もちろん、安全なのは「来た道を戻る」だが、そこで「迷った」という判断ができるかどうか。なんとかなるだろうとか、ボクは山に詳しいんだ、とかやってると取り返しがつかなくなる。

何故にこんなことを書くかというと「シェイシェイ」とか、パンダみたいに呼ばれてる自民党幹事長がテレビで「山頂が見えている」とかやったからだ。山頂にはもちろん自民党総裁、日本国首相が見えているのだろうが、それをいま、テレビで言うから驚いた。参院選は今年の夏である。定型文の「いまは総理をしっかり支えていく」くらいのことも言えないセンスに呆れるほかない。

先月は「タイミング」がどうのと対中非難決議を採択しなかったのに、始まったばかりの岸田政権、それも代わったばかりの党幹事長の立場で「ポスト岸田」を言うタイミングの悪さに違和感はないか。

まあ、いずれにせよ「頂上が見えてきた」なら結構なことだが、間違っても途中で「沢を下らない」ことだ。先の総選挙でも頂上を目指しながら、あるいはそれ以前から「頂上を目指して」いた何人か、例えば小石河連合の「小石」などは沢を下りてしまって遭難している。誰も探していないが、ある意味、行方不明のままだ。「河」の人は頂上が見えたどころではなく、登ったつもりになっていたら滑落事故を起こしてしまった。恐ろしいことだが、要すれば「山を舐めるな」ということか。あと有権者とか世論なども舐めないほうがいい。


そして対中非難決議である。昨年末、これを公明党がいじくり「骨抜きにした」と長尾敬氏も怒っている。なにをどう骨抜きにしたのか、と思って見てみれば「対中非難決議」から「対中」と「非難」が取れて、人権侵害が「人権状況」に代えられた、とのことだ。「炭火焼肉定食」から「炭火」と「焼肉」を取り除いて「定食」だけが残った阿呆みたいな感じだ。骨抜き、というか間抜け極まる恥ずかしい話である。これなら採択もしないほうがいい。

悪夢の民主党政権時代、自民党の新藤議員からの竹島関連の質問で、口が裂けても「不法占拠」を言わなかった当時の岡田副総理などを思い出す。不法に占拠されていなくて「韓国が実効支配している竹島」としか言わぬなら、それはもう、竹島は韓国の領土と認めていることになる。

ナチスのユダヤ人虐殺と比類する、あるいはそれを超える可能性もある前代未聞、人類史上最悪の人権蹂躙をして「加害国」の名を伏せ、更には「非難」を取り除き、蹂躙でも侵害でもなく「状況」を案ずるだけなら、それはもう「なにもしないこと」の決議に他ならない。問題はもう「親中」とか「弱腰」ですらなく、日本という国の存在自体が問われる大問題に発展している。

遅きに失するという最悪のタイミングで、なにかよくわからん決議を採択することを「今国会で成立できる」と半笑いだ。コロナのバカ騒ぎもまだ続いているし、ウクライナにカザフスタン、台湾問題に北のミサイルに南の反日と日本もいろいろ大変だ。このまま夏に自民が大幅に負けて岸田退陣、そのあとが「シェイシェイ総理」なら、日本は立ち直れるのだろうか。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。