エメラルドの瑕疵

旧 『楽母の人見知り日記』です。 最近、ご朱印集めがマイブーム

塞王の楯

2024-08-07 07:58:02 | 


戦乱の世を無くすために、一方はどんな攻撃をも跳ね返す鉄壁の楯(石垣)を積もうとし、他方は、反撃する気すら起こらないような圧倒的な矛(武器)を作り出そうとする。

石垣職人の穴太衆(あのうしゅう)と、鉄砲鍛冶の国友衆。

時は関ケ原。天下分け目の闘いのころ。
琵琶湖畔に建つ大津城を舞台に、この楯と矛とがぶつかり合う。

湖国が近いので、穴太衆のことは知っていたし、彼らが積んだ野面済みの石垣もまだ現存している箇所も観に行ったことがある。

京極高次と、初の住む大津城はいまはもう、大津城址、という石碑だけになってしまっているが、琵琶湖畔に建っている。

大津城がかつて、こんな激戦の地だったとは知らなかった。

著者の今村翔吾さんの本は、羽州ぼろ鳶組シリーズにドはまりして、スピンオフ?のも含めて全巻一気読みしたことがある。
ぼろ鳶組も矜持を持った江戸の火消しの物語で、この塞王の楯の石工同様、侍ではなく江戸の庶民、働く者たちの物語。

ストーリーに無駄がなく命がけで自分の仕事を愛す誇り高き男たちの奮闘ぶりが心地よい。
劇画、というかアニメみたいに絵が見える(笑)

時代物の歴史小説って、あんまり好きじゃないんだよね。 でもこれは史実に沿ったところもありつつのエンタメ戦国小説になっていてとても面白かった。

楯と矛、あの有名な矛盾(韓非子)が下敷きになっているのかもしれない。
それにしても、戦は現代もまだ続いている。 

原爆記念日に、被爆者の女性がどうしたら戦争を無くすことができるかの問いに、世界各国に友達をつくること、と答えていた。
すごく納得の言葉でした。
今村さん、好きだわ~



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2 コメント

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Unknown (やす子)
2024-08-07 12:30:35
こんにちは!
まさしく大作ですよね。
歴史物は好きだけど、どうしてもエッセイとかに
行きがちで、、、
湖国といえば、有名な彦根城に目が行きます(家紋が同じだからかな?)
最近、買ったハードカバー物は、『ジュリーがいた』  
と『もしも徳川家康が総理大臣になったら』です(笑)
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こんにちは (楽母)
2024-08-07 14:21:43
やす子さん
直木賞を取った時から、文庫化されるのを待っていました。 待った甲斐がありました。
寝落ちしなければもっと早く読み終えていたと思います(笑) ほんとに、あの数日間の凄まじい眠気ってなんだったんだろう(笑)
もし徳は映画に行きたかったのに夏休みに入ってしまって行けそうもありません。
ジュリーがいたでは、当時の事をずい分忘れていることに気づきました。 
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