ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

甘えることができますか?

2013-12-07 10:23:34 | Weblog
 あなたは、誰か甘えることができる人がいますか?配偶者でも、親でも友人でもお世話になっている人でも誰でもいいのですが、何の気兼ねもなく自分自身をさらけ出し、それを快く受けとめてくれる人がいるでしょうか。

 気兼ねをしたり、本当の自分を見せられなかったりする人ばかりに囲まれて生きているとしたら、きっと人生は窮屈で、自分らしさを発揮できずにいることになってしまうと思います。

 世の中の大人の中には、そうなってしまっていることに耐えつつ、あきらめている人が多いのも事実です。しかし、そういう状態を長く続けることはできません。また、子どもはそういう状態に耐えたり、あきらめたりすることはできません。

 子どもは、甘える人がいなければ、その気持ちが別の人に向かいます。自分が求める甘え方が受け入れられなければ、別の形を求めようとします。しかし、別の人に対して、別の形を求めたとしても、気持ちが満たされることはありません。そして、その満たされない気持ちから生じるこころの弱さを、色々な形で無意識に自分で守ろうとします。それを、精神分析の世界では、「防衛機制」と呼びます。

 子どもたちの中でよく見られる「防衛機制」には、「退行」や「反動形成」があります。「退行」とは、文字通り現在の自分よりも幼い発達段階に戻るということです。具体的には、指をしゃぶったりおもらしをしたりすぐに泣いたりなどです。「反動形成」とは、本心と裏腹なことを言ったり、思いと正反対の行動をとるなどです。

 子どもたちの中に、思い当たるような行動が見られるとしたら、それは甘えが足りない証拠です。しっかり甘えさせてあげましょう。

 甘えさせる方法は簡単ですが、労力や時間という意味ではちょっと大変です。子どもが好きなことにとことん付き合うこと。抱っこでもおんぶでも、ブランコを押すことでも追いかけっこでも、疲れて眠くなるまでいっしょに過ごしましょう。眠くなる直前にはぐずり始めますが、それも受けとめてあげましょう。

 いやな顔や迷惑そうな表情を見せてはいけません。敏感なお子さんは、それを察知して我慢してしまいます。そしてまた、やり場のない思いをため込んでしまいます。

 甘えたい気持ちは、満たされて求める必要がなくなれば、勝手に求めなくなります。しかし、満たされないまま大きくなると、もっと複雑化した別の形で出てくることになり、場合によっては、人格のゆがみにつながります。子どもが自分らしさを十分に発揮して育っていくためにも、しっかり受けとめてあげたいですね。
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