ふたばようちえん日記 2 (園長の雑記帳)

このブログでは、幼稚園で子どもたちとかかわる中で、園長が日頃考えていることや大切にしていることを不定期に綴っていきます。

体の中でほかよりも弱く見える部分が、かえって必要なのです。

2015-02-13 13:48:01 | Weblog
「体の中でほかよりも弱く見える部分が、かえって必要なのです。」 
 (コリントの信徒への手紙一12章22節)

世の中は競争社会?

 冬休み中、娘が塾の弱点克服のための個別指導クラスを受講してきました。早い話が、冬休み中の時間があるときに苦手科目をみっちり指導しますよというものでした。その効果のほどはさておき、現代社会は人に弱点がない強さを要求します。受験勉強だけでなく、仕事でも子育てでも、できないことや苦手なことがあると肩身の狭い思いをさせられることが多々あります。

 この世の中には競争があり、それによって経済が回っていますので仕方がないのかもしれません。ですが、そのような価値観だけで生きていこうとすれば、とても生きにくい世の中になってしまうのではないかと思います。では、どのように折り合いをつけていけばいいのでしょうか。

強い人が中心か弱い人が中心か

 ある会社では、営業成績がトップの社員がとても評価され、彼を中心に組織が回るようになり、営業成績の振るわない社員は肩身の狭い思いをしています。つまり強い人が中心の組織と言うことができます。このような組織は、この先どうなっていくでしょう。きっと、頑張っていても結果になかなかつながらない人はやる気を失い、営業成績と関係ない管理部門の人たちも白けてモチベーションを失っていくでしょう。また、営業成績がトップの社員も、成績が落ちることへの心配やストレスから、次第に心身をすり減らすことになっていくでしょう。

 では、営業成績がトップの社員が、頑張っていても結果につながらない仲間たちのために今は自分が頑張らなきゃという気持ちを持ったり、今の自分の働きを支えてくれている管理部門の人たちに対して感謝の気持ちを持って働いていたとしたらどうでしょう。つまり、弱い人を中心に物事を考えると言うことになります。きっと人々のモチベーションは高くなり、組織の結束は固いものになっていくでしょう。

 つまり、強い人を中心に考えるか、弱い人を中心に考えるかで、組織の在り方が全く変わってしまうということになります。

家庭は弱い人が中心

 私たちの最も身近な組織は「家庭」です。家庭は言うまでもなく、最も弱い「子ども」のことを中心に考えることで成り立っています。しかも、そのことが家庭内では全く当たり前のことです。だから温かく、尊いのです。短期的に見れば、その組織から生み出されるものは何もありません。でも、次に新たに家庭を作る担い手が、着実に育っていきます。弱い人が中心の組織が、そのように力強く社会を支えているのです。

 私たちには、こんな風に弱い人を中心に物事を考える力を持っています。しかし、その力がいつでも発揮されるかといえば、周りの状況に左右されてしまい、とても不安定です。そんな私たちだからこそ、今日の聖句が与えられているのだと思います。

 私の中には、弱いところがあります。あなたの中にも、弱いところがあります。それを見つめ守り合えるような関係を、家庭だけでなく身近なところから広げていくことができたら、きっと素敵な社会になっていくのでしょうね。
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