サイコロジスト101

旧J&PホットラインSIG101opMr.髭が運営。
健康心理学、生理心理学、ストマネを学びましょう!

心理学研究法9:性格を調べる方法

2010-11-29 20:41:11 | Weblog
2010年11月29日開講の心理学研究法でつかった資料です。

十人十色、百人百様などという表現がありますが、ほんとに同じ人は世の中におりません。

みんな違うんです。肌の色や姿形はもちろん、知情意の3面で大きく異なります。

そんな個性について今日と来週は考えます。

草枕から知情意を言い出すなんて、古いと思われるでしょうが私達の世代にとっては、漱石のこの文章は必須の教養だったんです。

また、江戸から明治へと大きく世の中が変わったときの感動を、漱石のこの一文は言い表しております。

で、いろいろと違う違うというけれど、心理学としての違うといえるポイントをどこにおくかが大切。

アセスメントという観点から、このような性格を測定する方法や考え方を学びました。

標準化された性格検査は10章4節にもあるように、必須の教養です。

よく勉強しておくように。来週は知能11章です。


2010/11/29・記


生理心理学8まばたき

2010-11-28 23:36:17 | Weblog
2010年11月26日開講の生理心理学で使った資料です。

チャーミングの演出:まばたきと称するテーマでお話ししました。

今年の春に他界されたJ.A.Stern先生の話をしましたね。

まばたき研究の第一人者であったスターン先生とお近づきになれたおかげで、私たち日本のまばたき研究者は世界の先頭にたつことができました。

人間は移動することによって生命を継続させてきました。移動するためにもっとも重要なことは、周りをよく見ることです。

身体を動かすとともに、首=頭を動かし、さらには眼球を動かして周りを観察します。

細かな眼球の運動は、まさに見たいものに焦点を合わせるための行動です。

明るさ調整のために、瞳孔を調節します。

そして、瞼の開閉によって、みたくないものに蓋をします。

そういうわけで、まばたきは私達人間の行動と深く関わっているはず。

目は口ほどにモノを言いといいますからね。

目を守るための反射性まばたき、意図的にまばたきする随意性まばたき、そして反射を誘発する外的刺激が明瞭でなくかつ意図も不明なまばたき(自発性まばたき)の3種類があります。

これら3種のまばたきは、生理的要求、視覚器官としての要求、そして心理的な要求に応じて発生すると考えましょう。

ならば、疲れやストレス、緊張などはまばたきに影響するはずですよね。

また逆に、まばたきの多い人は緊張している、といえるかもしれません。

最後のスライドは時間がなくて言い及びませんでした。ジョー・テッツのまばたき2要因説の話です。

来週はじめにお話することとします。

では。

2010/11/28・記

心理学研究法8:調査法3サンプリング

2010-11-23 01:09:10 | Weblog
2010年11月22日開講の心理学研究法で使った資料です。

調査対象をどう決めるかについてお話ししました。

国民の意見を聞きたいというので、1億2700万人全員から聞き取る・調査するとなるとたいへんです。

日本人=母集団

なんですが、できたらサンプルを抽出して調査したいですね。

標本=サンプルを抜き取り、母集団を推計したいという考えです。

今年収穫したお米の出来具合を評価しようと、すべてのお米を調査していたんでは商品がなくなってしまいます。

商品には手をつけたくないわけです。そこで、一部を抜き取って調査使用という考えがわきます。

どのようにサンプルを抜き取るといいか。これが今回最大の問題でした。

倉庫いっぱいの米俵を全部調査するのじゃなく、倉庫の奧に積んだ山形産の山から1俵、手前に積んだ秋田産の山から1俵、・・・と言う具合に、環境条件や産地別にランダムサンプリングするのがいいですよというお話でした。

ランダム=無作為 について実際に乱数発生テストを実施しましたがどうでしたか?ランダムに数字を選んだつもりでも、意外や意外、好みの違いなのか、へんなこだわりなのか、偏りましたね。

乱数を引くには、乱数表というのがあります。

また、コンピュータで(エクセル関数つかって)乱数を発生させることもでします。トライしてみてください。

コイントスかさいころにたよるのもいいようですよ。

では来週からは、テキストの順に研究法を学びます。

来週は性格を研究する方法。テキスト10章を下調べしておいてください。もちろんテキスト持参!

2010/11/23・記


心理学研究法7:調査法2「調査用紙の設計」

2010-11-15 16:58:57 | Weblog
2010年11月15日開講の心理学研究法で使用した資料です。

調査法といっても、いろんな調査があります。

今回は、心理学、なかでも健康心理学の領域でよく使う質問票を使った調査の設計を学びました。

まず調査の目的を欲張らず、1つか2つに絞り込む作業が大切。

目的が決まれば、その目的に従った質問紙の設計となります。

質問項目、回答様式について詳しくお話しました。

そして、具体的な調査用紙の設計を課題としました。

問題は、みなさんが作った調査用紙を何百例かの人々に配布して回収したあと、どのように集計し、統計解析をおこなうのでしょうか。

今回は、クロス票を作って、2つの変数かんの関連を検討するような話になりましたが、作れましたか?

カイ2乗検定も使えるような集計ができるといいですね。

来週は、サンプリングについて学びます。

2010/11/15記

生理心理学7:感情の生理心理学

2010-11-12 22:37:14 | Weblog
11月12日開講の生理心理学「感情の心理学」で使った資料です。

1年次配当の心理学概論7章でも使った資料を前半に入れました。

感情の認知説でシャクターが使った「生理的覚醒」は実は自律神経系の交感神経の興奮状態のことです。

キャノンの逃走ー闘争説を頭において、交感神経と副交感神経が内臓にどう影響するかを学びましょう。

ただしこれは、高校までの知識。大学生理心理学では、ホメオスタシスという概念も重要。

生理心理学固有の感情との関わりについては、ストレスの生理学的背景を学びましょう。これは前期開校ストレスマネジメントでもお話ししました。

大脳の損傷部位と感情認知、表情認知との関係についての神経心理学からの知見も紹介しました。3年次後期開講の神経心理学では更に詳細を学ぶことでしょう。

感情の障害=精神病の生理心理学は、まさに生物学的精神医学、向精神薬開発の経緯とからみます。

統合失調症はドーパミン、うつ病はセロトニン、不安性障害や恐怖症はノルアドレナリンなどの神経伝達物質として働く脳内ホルモンの代謝異常が原因とみます。

臨床現場で働こうとする健康心理士なら、薬理学の基本知識も知っておかなくては。これは前期開講の行動薬理学でより詳細が学べます。

最後に、感情の根源「驚愕反応」について学びました。驚愕反応は大きな音刺激に対する全身の屈筋の収縮=クラウチング(すくみこみ反応)で特徴づけられます。

刺激後40ミリ秒で出現するまばたき反射が最も早い驚愕反射です。生理心理学では驚愕性瞬目反射とよび、私の修士論文の研究はこの先行刺激抑制効果(PPI)の基礎研究でした。途中で時間がなくなりました。次回に継続します。

ちなみに来週11月19日はすでにお伝えしているとおり休講です。
 
11月26日はPPFの話の続きをしたあと、「チャーミングの演出:まばたき」の話になります。楽しみに、テキスト8章を読んでおいてください。

2010/11/12・記

相対リスク計算

2010-11-08 21:51:19 | Weblog
同じく11月8日の心理学研究法冒頭で説明した相対リスクの計算法について述べておきます。

疫学調査でしばしば出くわす用語ですからしっかり覚えておきましょう。


喫煙者と非喫煙者でどのていど癌に罹るリスクが違うのでしょう?

多くの疫学調査で知られた真実ですが、資料の説明をみれば計算法の意味がわかりますよね。

そう、非喫煙者の発ガン率を1としたときの、喫煙者の発ガン率なんですよ。

覚えておきましょう。いつでも計算ができるようにしましょう。

2010/11/8・記


2010年11月8日開講心理学研究法

2010-11-08 21:20:37 | Weblog
2010年11月8日開講の心理学研究法で使った資料です。

今日の授業では、冒頭、某大学から依頼の調査を実施してもらいました。

実はこの調査をしてもらったことが、授業の内容を理解してもらう上で非常に重要でした。

調査法を学ぶ第一歩は、調査を体験することです。

フェースシートといって、調査の目的や回答のしかたを説明する表紙がありましたね。

ここにはまた、性別や年齢などを記入する欄もありました。

そして調査冊子の中身。

なにやら文章があって、はいとかいいえなどの強制選択式の回答があって、数字に○をつけたりしましたね。

これから学ぶ調査では、こうした回答から、クロス表を作って仮説を検証したり、いろいろな関係を実証していくわけです。

まず横断的方法と縦断的方法について学びました。

多くの調査は横断的方法。

で、ふたつの要因の関係を、クロス表をつかって分析することを学びました。

2×2のクロス表をつかって、χ(カイ)自乗(2乗)検定を行いました。

計算式どおり、クロス表の数字を入れて計算してみましょう。

でましたか?


自由度は1です。自由度はdf(degree of freedom)といいます。


2×2のクロス表は、周辺度数が固定なら4つあるマスのうち1マスしか自由度がありません。

1つのマスの数字を決めれば、他の3つのマスに入る数字が自動的に決まります。

1つのマスにしか自由度がないというので自由度1というわけです。

ちなみにクロス表は、

 要因1の水準1について要因2の水準1が出現する割合(比)と、
 要因1の水準2について要因2の水準1が出現する割合(比)

が同じかどうかをみるために使いますよね。」

2つの比率が同じといっていいか、違うかを判断するためにχ2値を用います。

p<0.05 というのは、5%以下の意味。

二つの比率が同じじゃない(比率が異なる)と言い切ってミスする割合が5%以下なので、かなり強く差があると言い切れますよね。

心理学ではこのように、5%水準で差があるというとき、「有意な差がある」(=「差に意味がある」)といいます。

ちなみに英語で「有意な差」は、significant differenceというんですよ。

調査報告や論文を読むときがいずれやてきます。そのとき、今日ならったカイ自乗検定や有意差があるてな表現に出くわすでしょうが、おどろかないでください。

では来週は調査用紙の作り方です。

2010/11/8記

心理学研究法5:集団の心理をしらべる研究法

2010-11-01 19:48:23 | Weblog
2010年11月1日開講の心理学研究法で使用した資料です。

集団の心をどのようにしたら知ることができるのでしょう。

選挙における有権者の心がわかれば、立候補した人は当選する可能性を高めるための工夫ができます。

一人ひとり有権者に聞いて回るのがいいのでしょうか。それとも、立ち会い演説会での人の集まり方から類推するのがいいのでしょうか。

選挙結果次第で、政治情勢が大きく変わることもあります。

政治情勢が変われば、経済も変わります。景気もそれによって変わります。

事前に結果を予測できれば、早い目に手を打つこともできます。

民主主義の世界では、定期的に民意に沿った候補を立て、選挙を行います。

その都度、大掛かりな「有権者の心理」を計る調査が実施されています。

集団の心理を知ることは、とっても大切なことなのです。

さて、集団の心理を知るための研究法について学びましょう。

今日は、いろいろなアプローチがあることを学んでもらいました。

面接法、行動観察法、調査用紙をもちいた調査法。質的アプローチに量的アプローチ。

来週から3週にわたって、調査用紙をつかった研究法を学びます。

2010/11/1・記