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旧★キャバリアのふく★ブログ

スウィングボーイズ!その2

2006年02月08日 | スタッフコラム
★愛犬写真募集中!★

興奮さめやらず。
スウィングボーイズについて
もうちょっと書きます。

前日のブログで「一番好き」と行った戦場シーンの話。
スウィングボーイズのメンバー達は、
海軍、熱帯のジャングル、極寒の地へと赴きます。
それから、
大浦みずきが演じるレビュースターの彼として登場する脚本家の若者は、
南の島で任務にあたります。
戦場シーンは、この4つの場面が同時進行で展開されます。

海軍の若者は、船上から敵機を撃墜しなくてはならない。
彼らは敵機に対し、
「もし敬愛するジャズマン達があの戦闘機に乗っていたら・・・」と思うと
銃を発射することに躊躇いを感じるのです。
しかし容赦なく攻撃してくる敵機に対して、
やむなく自分の命を守るために、
「どうかあの戦闘機に、ルイ・アームストロングが乗っていませんように!」
「どうかあの戦闘機に、デューク・エディントンが乗っていませんように!」
と、願いながら銃弾を放ちます。

熱帯のジャングルには、
”虫”や”蛇”が大の苦手なメンバーが派遣されます。
彼にはジャングルに潜む敵の襲撃よりも、
今目の前にいる虫や蛇こそが恐怖なのです。
「こんな所よりシベリアの方がまだましだ!」と叫びます。

一方極寒の地では、慰問団として派遣されたメンバーが
凍るような寒さの中、震えながら道に迷い
宿泊場所を探しています。
「寒い!いつホテルに着くのよ!」と詰め寄る女性陣に、
「俺に聞くなよ!俺だって初めて来たんだから」と答えます。

南の島で任務にあたるレビューの脚本家は、彼女に手紙を書いています。
「ここへ来ても、少しもレビューへの情熱は冷めることはない。
もう何本も新しい脚本を書き上げました。」と。
この場面では一度も武器が登場しません。
彼は空襲の中ただ空を見上げ、立ち尽くしたまま、命を落とします。


今まで私は戦争について、いろんな話を聞いたり、
本を読んだりしてきた。
その悲惨としか言いようのない事実を、
自分自身に置き換えて考えることは無理だと思っていたし、
受け止めきれるものだとは到底思えなかった。
戦争に対して、怒り、悲しみ、そしてなによりも「恐れ」を抱いてきた。
そんな状況になってしまったら、
果たして自分はヒトとして生きて行けるだろうかと。

しかしこの芝居を見て、私は希望を感じた。
このシーンのエピソードは、「人間そのもの」だ。
どんな過酷な状況下にあっても登場人物達は、誰もが確実にヒトとして生きていた。
プロパガンダに押し潰されようとも、ヒトはヒトでいられる。
それは戦争というテーマを扱った作品において、私が初めて目にする光景だった。
今までに感じたことのない、血の沸き立つような経験だった。

私がこんなリアルさと臨場感を持って
このシーンに向き合えたのは、
圧倒的な演出力によるものだと確信する。
プロの演奏家が奏でる寸分の隙もない生のビートが、
最小限のセットの中でうだる様な暑さや凍てつく寒さを完璧に表現した照明が、
抑制の効いた演技のひとつひとつが、
まさにドンピシャのタイミングで一体となって迫ってきた。
時空なんて感じなかった。


もちろん。
歌も踊りも素晴らしかったんだけど
私の心に深く深く刻まれた感動と、新しい価値感を生んだのは、
この戦争シーンだった。

本当に観て良かった。
ありがとう!涙、出ました!



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