昨日は、全国の商工会議所、商工会の経営指導員さん達とじっくりと話をする機会がありました。八戸商工会議所の経営指導員さんからは、今年度中小企業白書にも取り上げられている八戸前沖サバについて話をうかがいました。
八戸前沖サバは、「青森県八戸市の水産加工会社である丸竹八戸水産株式会社(従業員126名、資本金7,200万円)と八戸大学ビジネス学部の石原慎士准教授は、八戸前沖の太平洋で漁獲されるさばの旨みを科学的に明らかにするとともに、大手百貨店と連携して商品開発を進め、さらに地元商工会議所と協力して、「八戸前沖さば」という新しい地域ブランドの形成に取り組んでいる。」(白書)ものです。
まず、市場価格が周囲の産地より安かった八戸産サバの高い品質を八戸大学ビジネス学部石原慎士准教授が科学的に明らかにし、これと丸竹八戸水産の無添加しめさば製造技術の活用、さらに伊勢丹のバイヤー高橋貞男氏の指導・協力を得て、プレミアム性を明確にした商品開発に成功しました。

平成20年度中小企業白書より
ここまででは、一部企業の成功物語で終わってしまうところですが、地元商工会議所が「さばのまち八戸」のイメージ作りや、地元住民のさばの消費拡大を目指して、「さば料理コンテスト」といった様々なイベントを開催しました。特に「さば料理コンテスト」では、地元の高校生が多数応募したほか、地元飲食店の料理人が一つ一つ吟味して評価することで話題となり、多くの町中でさば料理が見られるようになっています。(白書)
八戸商工会議所の経営指導員氏は、「八戸では子どもの頃から自然に食べていたものが、こうした形で再評価されて、全国レベルで認められることはうれしい。地元が盛り上がり、地元での消費を拡大することが、全国レベルでの認知につながるとよいと思っています。」と話していました。
こうした企業連携、産学連携による地域資源発掘の成果を、一部企業のものとしていたのでは、成果は限定的なものとなってしまいます。八戸での「さば料理コンテスト」開催のように、地元社会全体を巻き込んだ活動が、「地域ブランド確立」「地域資源活用」「地域産業振興」に留まらない「地域」そのもの活性化につながるのだと私は考えます。