風のこたろう

'05年4月6日~'07年4月7日 ウランバートル生活日記
'09年8月~  詩吟三昧の徒然日記

「ようこそ 素読と詩吟の会へ」

2017年11月16日 | 論語と
平成29年11月16日(木) 野田市 古民家レストラン たるふじ に於いて

「ようこそ 素読と詩吟の会へ」が、開かれました。

かねてより、須藤明実先生の念願の会です。
8月に体調を崩されて療養中でしたが、この日を目標に、順調に回復されて、予定通り開催することができました。

暖房が十分でない古民家なので、11月のこの時期の気温には、ハラハラしましたが、お天道様も味方をしてくれて、天気予報を裏切って、明るい日差し風もない暖かい日となりました。

大幅に遅れたバスを降りて、しばらく行くと、先に行っていた方が、通りで手を振って待っていてくれました。「通り過ぎそうだったから」と。

古民家らしく、少々荒れた趣の庭にむかえられます。
良寛の話をするにはうってつけの、場所です。
きれいに整えられたいかにもの茶寮ではなく、須藤先生の好みのたたずまいです。
そうでなかったら、わざわざこんな遠くまで来て、須藤先生理想のお話の会を開こうとは思わないでしょうねぇ。


3か月振りの須藤先生の語りはじめは、嬉しいのが一番でした。
そして、いつものように、先生の言葉に引き込まれていくのです。

私は、午後からの詩吟の練習が、気になって、不甲斐なくも気もそぞろでした。



先生の今回の選択は、漢詩を4題です。
漢文を良くするためには、漢詩に親しみましょう。
漢詩の奥深さを知ると、中国文学や思想を身近に感じることができるでしょう。

「春望」「偶成」「勧学」と読み解いて、最後に、「仁」の文字のある論語を巻紙にしたためて、常に懐に持ち歩いていらっしゃったという良寛のお話と良寛作の「可意」。

詩吟で詠われる可意の前には、とんびとスズメのくだりがあります。

鳶は、雀に雛の世話をさせて、雀は、鳶にカラスから身を守ってもらう。鳥でさえ、お互いに守りあっているというのに、人間はどうだろう。と、人の世を観察する。

そして、「可意」へとつながっていく。

良寛は、清流に耳を洗い、要らない言葉は洗い流して、日々を穏やかに過ごしています。

仁を大事にしている良寛と、「里仁」を主宰する須藤先生の共通点を見付けました。


良寛の「てまりとこども」のイメージは、だからこそ「仁の人」だったのです。

オーガニックの材料で作ってくださるお昼ごはんは、人数の関係で、お弁当形式になっていましたが、これで三度目の食事も、おいしく、期待通りでした。
絵的には素朴を絵に描いた盛り付けですから、私のカメラの腕では、その良さは、写しきれませんでした。
けれど、みなさんの満足な様子が、本当の力を物語っています。

ここにも、良寛に通ずる須藤先生の思いが実現されていると感じます。


午後からの吟詠をいたしましょうが始まるとすぐに、その場にいる30人余りの人たちが、とても良い笑顔を私に向けてくださいました。

心から湧き上がる笑顔は、須藤マジックです。
その、マジックにかかった人たちが、体操で調整した体から、声を伸びやかに出しているのですから、その30余りの笑顔を、見ているのは、相対している私だけというもったいない状況でした。

その笑顔から発する声は、なかなかのもので、超初心者が半分以上のものとは思えない、爽やかな声でした。

そして、最後に、4つの漢詩を、芦孝会会員のいつもの須藤論語素読教室メンバーそれぞれが吟じて、みなさんにお聞きいただきました。

みなさんがあまりに気持ちよく声を出してくださっているので、1時間みっちり「偶成」のお稽古ができました。
バスが1時間に1本と言うまばらな運転のおかげで、予定時刻を30分オーバーしての、吟詠の時間でした。

四題の独吟は、それぞれが個性たっぷりで、初めての方にも、楽しんで聞いていただけたと思います。

やはり、練習の後で、吟詠をお聞きいただいたのが良かったと思います。

30人余りの大人数のお客に慣れてなかったのか、それとも、どんな時も変わらないもてなしをなさるのか、きっと後者でしょうが、おかみさんの淡々とした様子が、近所のおばちゃんにもてなされたという感じで、押しつけがましくないので、好感を持ちました。

今日の先生のお話とのギャップの無い会場でした。


帰りのバス停までの道すがらの、おしゃべりも楽しみながら、渋滞で時間通りに来ないバスにも、腹を立てること無く、さらに、遅れた来たバスの到着を待ちました。

誰一人、異を唱えること無く、終始和やかに、時が過ぎました。

第1回の、「素読と詩吟の世界」は、須藤先生の病からの復帰を心から喜びました。
そして、第2回へとつながっていくようでした。


先生、そしてみなさん、お疲れ様でした。

この人数で、トイレが一つ、この時代に、お座敷で正座という会場は、この先、どのような感想をもって、迎え入れられるか、入れられないのか、興味が尽きません。

須藤先生のお話は、数字とは無縁の世界にあり、頭で考えるより、感性で、受け止めるものと思います。
この会場で良いんだろうねぇ。


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