11番と言うと、それぞれの趣味で、いろんな人や物を浮かべることでしょう。
関吟の詩吟を習っている人は、譜№ 11番を浮かべることでしょう。
譜№11 譜名「二段上げ」の数字を音階に置き換えると、
「ミ ファ ミ ファ ラ 」となります。
その音の長さは、「タァァン
タン タ タ たーあーぁん」と表したらよいのかな?
それぞれの、間や伸ばし方は、それぞれの好みが反映されて、個性的に吟じられます。
この11番が好きなのは、三’三 三’(ファミファ)のところを柔らかく、たゆとうようにぎんじられたら、ティン シャオ カンや森下洋子が、ハクチョウを踊るときのような、肩先から指の先の先までの、なめらかな動きが想像されて、指の先が上を向いて止まったとき、それは、その指の先から永遠へと向かう軌跡が生じる思いがする。
そして、その永遠には、五(ラ)の音が載せられて、心まで持っていってしまう。
だから、三’三 三’は、滑らかに大きく揺らねばならない。
だから、五の音が限りなく飛んで行ける。
だから、三 三’三を単純に三’だけの音にまとめてしまって「三’五」と単純に上がっていては困るのです。
そして、追加音階に表示された波のような音の表現では、小刻みすぎて、好きじゃないのです。
ここは、優雅に大きく豊かに吟じたい、吟じてほしい。
此の処の追加音階や、新しいテキストの11線譜の上に表れた音階の連なりは、すべてが、好きじゃないわけではありません。
11番と、それとつながっていると感じる、20番もゆったりと吟じたい、吟じてほしい。
と、これは、私の個人的な願いであります。