いのちと時間のにおい。

皆さんこんばんは、うたうたい秦千香子です。
今日、渋谷にさすらいのアクセサリー職人、隈部友哉(くまべゆうや)さんの個展を見に行ってきました。
初めて見たのは去年、都内のアートフリマで。
色んなアクセサリー屋さんが並んでいたけど、
そこだけ空気の色が違って見えたような気がした。
隈部さんのアクセサリーたちはまるで違っていた。
静かなこえで民謡を歌うおばあちゃんみたいな神々しさでアクセサリー達が座っていた。
それはキラキラしているというよりも、
なんだか、湿ったあたたかな土の匂いがするような、そんな感じ。
隈部さんが世界中を歩き回ってひとつひとつ拾い集めたり現地の人たちに分けて貰った、
例えば水牛の角とか、山犬の牙とか、蛇の骨とか、貝殻とか、手作りのビーズとか、古い家だった竹とか、
そういったもので作られています。
なんだか、いのちの匂いがする、時間が流れることを意識させてくれる、そんな気がする。
一つとして同じものがないアクセサリー達は、
もちろん装飾品としてとてもかっこいい。だけど、
それだけじゃなくて、それ自体が何かを語りだしそうな、そんな不思議な重みを持ったアクセサリーです。
ちなみに私が持ってるのは、
昔のおもちゃのレコードをカットしてビーズにしたというネックレス、
先には三日月を真ん中で割ったみたいなかたちの水牛の骨がついています。
曲作りをする時いつもお守りみたいに身につけています。
いきものが生きて、その生命を終えて、また循環していく、
自分もまた、そんなずっと続く輪っかの中にいる一つのいきものだ。
だから、いまここにある限り、精一杯このいのちをつかって生きていかなくちゃ、
そんな気持ちを忘れずにいられる。
つくりつづけること。
表現し続けること。
隈部さんはにこにこしながら話してくれた。
始めた頃に、
誰かのまねごとみたいに言われて悩んだこともあった。
でも作り続けてた。
じぶんのかたちってなんだろう、考えて、ずっと作り続けて、
やっと最近になって、「自分ぽいな」って思える、
そんなものが作れるようになってきた気がするんだ。
それに、自分が精一杯作ってるものが生み出してくれる一つずつの出会いも、
すごく、大切で。
なんだか、音楽の話みたいだと思った。
いや、大事に生きていこうとする人の、地面にあしのついた、想い。
しっかり、ある種の重みをもって、言葉はひとつひとつ心に響いてくるようでした。
真摯に何かを作り続ける人の話は、その作品は、
ちゃんと生きていかなきゃ駄目だよ、と、襟を正してくれるようです。
次は、音楽をビーズや色んなものでアクセサリーとして表現することを考えているんだって。
おもしろい、かっこいい。
帰りは少し寒い冬の空気、ぱらぱら雨が頬を湿らす。
背筋が凛と伸びるような気がした。
うちもあんなふうに大切に音楽の中にいたいな、
ずっと作り続けていたいな、と思いました。
帰って曲作り。
なんだかとてもいい刺激を貰いました。
隈部さんの "Kuuma Jewelry" 、どこかで見かけたら是非見てみて下さい。
なんだかむくむくエネルギーをくれます。
写真は照れ笑い隈部さんとそのアクセサリーをつけたうたうたい。
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