「仏教が好き！」 河合隼雄×中沢新一（朝日新聞社）

皆様こんにちは。
少し早い夏休みをいただいておりまして、３日ほどブログの更新が滞ってしまいました。
旅行記は後日アップさせていただくとして、今日は旅行中に読んだ本のご紹介です。




心理学者でかつて文化庁長官も務めた故・河合隼雄氏が、仏教に関して思想家中沢新一氏に教えを請うという体裁の対談集で、仏教の範疇にとどまらない広範な知見を持つお二人による言葉のやり取りはまさに圧巻。
１０年以上前に刊行された本ですが、今読んでも全く色褪せることのない刺激的な内容に、目から鱗が数百枚は落ちたでしょうか。
もともと知識人の対談集というのが好きで、良くもまあこんなに頭が回るものだといつも感心しながら読んでいるのですが、本書もそうした書物のひとつですね。

難しくて理解できない箇所も多々ありましたが、興味深いと思った箇所のごく一部を要約してみました。


様々な宗教の行き着く先にある神秘主義の段階では、「神-人間」という非対称性が消滅する。
それは各宗教の教義を超えた普遍的な「メタ宗教」とでも呼ぶべきものであり、そこに最も近いのが仏教である。

「幸福」とは西洋（キリスト教世界）から輸入されたものであり、そもそも仏教に「幸福」なる概念は存在しない。
西洋的幸福は良くも悪しくも我執の中にあり、東洋的「幸福」は本来我執を捨てたところにある「安楽」「安心」のようなものである。
背後にあるキリスト教を抜きにして西洋的文明のみを輸入した日本人ゆえに、根底には東洋的（仏教的）な「幸福」を無意識に求めているようなところがある。


その他にも話題は多岐にわたり、僕の能力では到底上手く説明できません。
まずは手に取って読んでみてください。
仏教に興味がある人もない人も、きっと同じように楽しめる一冊だと思います。



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