陳 満咲杜の「為替の真実」

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「無秩序的」の理由

2008年09月02日 11時24分10秒 | FXの真実
「ドルは相変わらず無秩序的に下落するリスクが残る」、国際決済銀行が7月1日のレポートで述べた懸念は最早杞憂に終わっただけではなく、英ポンドをはじめ、いくつかの主要外貨サイドから見れば、目下の状況は寧ろ「ドルが無秩序的に上昇するリスクが残る」とさえ危惧されてもおかしくない状況だ。紙一重、為替マーケットの醍醐味と怖さは共存している。

さて、当方はユーロ、ポンドの下落をいち早く予測していたものの、ここまでの下落スピードには正直ついて行けなくなっている。(そろそろサラーリマンを辞めて、トレーダーに復帰しないとやばいかもしれない)英ポンドの1.7700、ユーロの1.4割れといったシナリオはもはやすぐ達成できそうな市況に鑑み、苦笑しかない心境である。

同じく英ポンドの日足を取り上げるが、2回も「マド」を空け、ほぼ一本調子の暴落を説明するには、やはり市場の内部構造に答えを求めたい。(ファンダメンタルズ的な解釈を無視したいから)そのため、同じ図の左下側に小さいチャートも同時掲載した。

このチャートはある国際大手マネーブローカーが集計している個人投資家のポジションのネット(相殺)データで、所謂センチメント指数の一種である。同チャートは英ポンド/ドルの日足ライン線とネット・ポジションの状況を重ねて表示しており、すこし観察すれば、個人投資家の総計は市場において一貫して負けている、といった「残酷な結果」が分かる。何故なら、マーケットのトレンドと逆な方向にポジションを増やす習性だけではなく、トップとボトムと合わせて彼らの間違ったポジションの量も膨らんでいたことをチャートが如実に語っている。

因みに、同業者が8月29日に発表した英ポンド/ドル指標に関するコメントは、市場の内部構造と今回のポンドの「秩序なし暴落」をうまく説明している。以下はそのまま翻訳した文章となる。

「今週英ポンド/ドルのセンチメント指数は1.31に達し、57%に近い投機者がロング・ポジションを持つ。先週同指数は1.29だった。先週以来、一般人の投資家らは積極的に英ポンド買い/米ドル売りを行い、ロングポジションは18.9%増加した。過去の経験では、一般投資家らは継続的にロング・ポジションを増やしていた場合、対象通貨のレートはその後の数日のうちに下落し続けるケースが多い。実際、ロング・ポジションの増加は個人投資家が目下のトレンドを把握できていることを意味するものとは限らない。よくある現象として、すでにトレンドと相違したポジションを持つ個人投資家は往々にしてさらにポジションを増やしていく傾向になる。その目的はよりよいレートを掴み、一気にその前の損失を取り戻そうとするからだ。しかし、ベア相場におけるロング・ポジションの量が多ければ多いほど、新たなロング・ポジションのリスクも増大していく」

ただ、本日この文章を載せるかどうか正直やや迷っていた。なぜなら、ここまで来て、「懲りない個人投資家」が退場したかどうかは微妙であり、「ドル買いさえすれば儲かる」といった雰囲気も出ている。指標は常に市況より遅れていることも忘れてはいけない。


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