
映画『ウォール街』が公開された1987年当時は私はまだ中国にいたが、同映画の噂を聞い
ていた。そしてやがて海賊版のビデオを手に入れたのは来日直前の1991年頃だったと思う。
マイケル・ダグラス演じる投資銀行家のゴードン・ゲッコーは悪役であったにも関らず格
好が良すぎて、若い頃の自分がすっかり魅了されたことを今でも鮮明に覚えている。
そのような思い出もあって、続編「ウォール街Ⅱ、MONEY NEVER SLEEPS」が出たと聞き、
一日も早く見たかった。先日海外からDVDがやっと届いて、一気に見終わったが、ちょっと
がっかりしている気分だ。
なにしろ、リーマンマンショックによる混乱を映画の背景として撮影されているが、おそら
く脚本も監督も金融危機の本質を完全に理解し切れておらず、全般的には力不足というか、
歯がゆいというか、何らかの物足りなさを強く感じる。前作の背景となるインサイダー取引
は比較的に単純な物語であったのに比べ、続編の背景となる金融危機は複雑だから、映画の
限界がどうしても出てくるだろう。そのせいか、復活したゴードン・ゲッコー氏の存在感も
やや薄かったし、主役のジェイコブ・ムーアは印象さえ残っていない。
ところで、続編のタイトルとなる「MONEY NEVER SLEEPS」は実に気に入っている。そのシン
プルかつ強烈な言葉は金融マーケットの本質をすばり射止めている。人間の欲望が無限であ
る以上、ホットマネーは決して休むことはなく、常にリターンを追求しつつあるから、その
動きも常にオーバーとなり、常にバブルとその崩壊をもたらしてきた。皮肉にもIT技術の発
展はこういったホットマネーの動きを加速させる引き金となり、かつてないほどの規模とス
ピードで金融危機のタネをワールドワイドに撒き散らし、またその影響力を増してきた。
だから、危機は去りぬ、また次なる危機が発生すれば、その源は間違いなく米国の量的緩和
策であろう。なにしろ、すでに溢れ出しているマネーの奔流に米FRBはさらに暴雨を降らせ
ているから、寝るばかりが、これからはホットマネーが暴れ出してくるだろう。
「ウォール街Ⅲ」があれば、その副題は「 Noah's Ark」となってほしい。

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陳 満咲杜 | |
扶桑社 |