陳 満咲杜の「為替の真実」

陳満咲杜のFXブログです。ブログ引っ越ししました。新ブログはhttp://chinfx.blog136.fc2.com/

ドル/円相場の示唆(一)

2007年09月28日 18時40分55秒 | ドル/円の真実
ドル/円相場は6月22日に付けた高値(124.14)から、8月17日の安値(111.68)まで、実に12.46円の下げ幅を演じた。米サブプライム問題が端を発した混乱に起因した相場の急変などファンダメンタルズ的な説明をとりあえず無視し、テクニカルの視点から問題を再考したい。

まず、2005年1月からの上昇トレンドが12月5日高値(121.39)を以って終了し、翌年の5月17日まで大幅調整した。17日の安値は108.96円であり、下げ幅は12.43円だった。二回の急落が同じ下げ幅を形成したことは、偶然でしょうか。では、2005年1月安値から、ボトムを数え、値動きをサイクルとして捉えてみよう。2005年1月14日~2006年5月17日~2007年8月17日、つまりドル/円が15.16か月のサイクルを以って安値を形成してきた。言い換えれば、時には相場が結構リズムをとって、わかりやすいものだ。仮にわれわれが一回目のサイクルの周期と下げ幅を注意深く利用すれば、7月以来の下げ相場を概ね予測できた上、下げ幅もあらかじめ計算できたはず。例えファンダメンタルズを一切無視しても。

相場の美学との表現もあるように、神の見えざる手によって探られる値動きが神秘的な美が潜める。その美しさを感じ取れることは所謂「相場師の感」である。

センチメント指数から市況を読む

2007年09月27日 16時09分23秒 | 相場心理の真実
相場は理外の理、この格言のように、金融市場における価格形成が外部の供給要素よりも内部構造に主導される場合が多い。センチメント指数は究極の形で内部要因を説明しようとするもの。基本的には、為替相場のセンチメント指数は概ねブルとベアのバランスを測り、コントラリー・オピニオンのトレードとして使われる。簡単に言えば、投機市場のおける買いポジションと売りポジションのバランスが崩れば、相場が大きく動くが、皮肉なことに、少数派の勝利になるケースが圧倒的に多い。言い換えれば、「庶民」が圧倒的な強気を示した際、すでにトップアウトした場合が多く、彼らが積極的に売りポジションを積み上げている時、往々にして相場が高値を更新しがちである。
 
為替の世界では、ある大手ブローカー(グローバル業者)が統計したセンチメント指数が有名で、示唆に富む。21日東京時間午後6時発表された同指数の内容は以下の通り:
ユーロ/ドル -1.66(ー1.38) 英ポンド/ドル -1.35%(-1.07%)
ドル/スイスフラン 2.74(2.75) ドル/円 1.95(1.94)

ここでのマイナスはこの業者で取引している投資者のトータルポジションを相殺させた場合、売りポジションが余るといった状況を意味し、逆にプラスは買いポジションが多いと指す。()内の数字は14日での統計数字。

前述のように、相場が投資者の少数派に見方を持つ傾向にあるので、簡単に言うと、同指数がユーロ/ドル、英ポンド/ドルが上がる、逆にドル対スイスフラン、円が下がると示唆した。21日午後6時前後のレートとその後の展開と対照すれば、その正確さが概ね証明された。現時点(27日午後3時46分)のレートと21日終値と比べても、ドル/円以外、正確である。(ドル/円はほぼ同じ水準)。

より精密で見ると、未決済ポジションの増減も配慮しなければいけないので、英ポンド/ドルとドル/スイスフランが2、3割減っていたのに対し、ユーロ/ドルとドル/円が増えていた。ユーロの売りポジションが増加したから、ユーロの上昇が続くと読むので、本日のユーロ高値更新は間違いなし。1.4200大台を達成、1.4235/40まで高値打診と見る。

反面、ドル/円のポジションが増加したが、64%がキャリートレードに属すると見られたので、この効用が後でじわじわ効いてくるはず。言い換えれば、ドル/円センチメントにおけるコントラリー効果がタイム・ラグをおいてから浮上する傾向にある。

このブログの最初の記事円安派の修羅場はこれからだ も日本の統計を用いて同様な分析を行われたので、ご参考ください。因みに、最近の「東京外為売買比率統計」を見ると、ユーロ/ドルにおけるポジションが依然圧倒的に売りに傾いており、私のユーロに対する強気を一層引き立てたもの。

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監修記事

2007年09月26日 12時23分07秒 | 市況の真実
東京のオフィスに戻ったら、机が書類の山と化している。サラリーマンとは、いろんな書類と格闘しながら、仕事をこなしていく者だね。

ドル安がやはり進んでいる。丁々指摘しているように、ユーロ/ドルはまた高値を更新した。一方、ドルインデックスのモメンタムが低下しており、ユーロの1.4200達成を以って、ドル安がとりあえず一服する可能性も浮上。が、来年1.45/1.46台乗せると見る。つまりメイン・トレンドとしてのドル安は不変。ドル/円の話になると、ユーロ/円の動向もリンクしているだけに、やはり頭重いだろう。言い換えれば、ユーロ/円のリバウンドがそろそろ終了し、ベアトレンドへ復帰しよう。

さて、月刊ビッグトゥモロウ 11月号(9月25日発売)のFX関連記事、私のアドバイスなどを参考されたそうで、具体的なテクニカル手法やドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円に関する見通しを掲載している。興味のある方はご覧ください。因みに、8月の取材だったので、その際の「ユーロ/ドル、1.4大台乗せ」との予測がすでに達成され、少しつまらない気もするが・・・・・・。

明日帰国

2007年09月24日 22時22分04秒 | 市況の真実
長い出張がやっと最後となり、明日帰国の便に乗る。今回のセミナーでは、やはり日本の政局について多くの質問があった、個人的な意見を少し述べたが、基本的には相場に大した影響がないことを強調した。相場の本質とかけ離れた問題に余計なエネルギーを使うな、と論じたが、果たして理解されたかどうか。


今日の相場は膠着状態。あるグローバル・ブローカーが統計している「投機指数」を見ると、短期的にはドル安がもう一段進む可能性が大きい。特にユーロ/ドルにおいては、ユーロ売りポジションが積み上げているようで、ユーロ上昇のエネルギーとなろう。詳細はまた今度詳しく検討する。

ちなみに、最近アダルトサイド絡みのコメントが何回も貼られたので、コメントを一応チェックしてから載せることに。基本的には、人身攻撃でない限り、私の見方に対する正論、反論を問わず、コメントは大歓迎である。

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公開!私のポートフォリオ

2007年09月23日 18時48分48秒 | ポジションの真実
私は常に前線に立つ兵士になりたいとの願望を持つ。つまり、所謂アナリストよりも、優秀なリアルマネー・トレーダーと言われたい。この意味では、もっぱら評論だけで、相場を張らない連中を軽蔑している。彼らの存在が物事を複雑するだけで、的を外したものが実に多い。無理もない、実践なしでは本質をわかるはずがない。

が、今回公開したポートフォリオが本物の口座ではなく、デモ口座のもの。というのは、業界に務めている身で、FXやその他金融先物取引を一切禁止されている。仕方はなく、デモ口座で取引しかできなかったが、法律のおかしさに憤慨する。証券会社の方が証券取引をできるのに、なぜ為替がダメなのか。これと同じく、なぜ課税の面も投資者にとって厳しい総合課税を取るのか。この前為替取引の脱税で捕まった方に同情さえ感じてしまうほどの理不尽だ。

ポートフォリオの損益は21日終値で計算したもの。デモとはいえ、常に真剣勝負の気持ちで相場を臨んでいるし、「利を伸ばす」との原則を忠実に実行している。私の感覚では、「損切り早く」と同時に「利を伸ばす」を愚直にやらないと、相場での成功は難しい。「素人」の失敗は損切りできなかったに起因し、「プロ」の失敗は微々たる利益に満足したことにある。

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仕掛けられたドルの反発、115後半限界か

2007年09月21日 22時16分34秒 | 市況の真実
当方の想定よりドルのリバウンドが値幅を拡大した。調べたら、どうやら三連休前に実需筋の決済需要がドルに集中しがち、これと相まって、銀行ディーラーらはショート筋のストップロスを狙って一斉に仕掛けたらしい。銀行の連中らは他人のオーダーを見れるから、優位に立つという事実を否めない。(だから、銀行ディーラーといっても別に腕があるとは限らない)ただ、この類の仕掛けは基本的に短期間に行われ、メイントレンドへの影響が少ないものと見られる。私の計算では、115.73近辺が限界で、誤差があっても10ポイント、即ち115.83前後でドルが頭打つ展開に。売りポジションを再開したい。

ドル/円 売りトリガー引かれ、112円台へ

2007年09月20日 23時35分18秒 | 市況の真実
丁々指摘していたように、ドル/円の売りトリガーは114.80割れである。先ほどブレイクしたので、売りポジションを作りたい。ストラテジー的にはドル売りとのスタンスに全く疑問ないが、テクニカル的なポイントが浮上しないとやはり出動できない。整合性とはこのようなもので、逆にいざチャンスが来たら、躊躇なく行動に移るべきだ。「風林火山」、相場にも通じるね。

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ユーロ/ドル、 1.4200レベルを目指すへ

2007年09月20日 23時12分13秒 | 市況の真実
ユーロ/ドルが1.4大台に乗せ、予想通りの展開となった。私は常にユーロについて強気であった。(もちろん対ドルの話で、対円ではない)、テクニカル分析以外、市場心理がつねにユーロ高を支持するものがあった。即ち日本の個人投資家の大半が一貫してユーロ/ドルに対する弱気である。この辺の解釈は11日の記事円安派の修羅場はこれからだを参考してください。


目下では、おそらくユーロ買い損ねた方が様子見にしているか、押し目を待っているかのどっちかに転じているが、この場合、往々にして「まだはもうなり」、即ち押し目ないの展開になる公算が大きい。逆に、1.4200台になれば、頑固なショート(売り)筋が怖くて狼狽な買い戻しをするでしょう。これでユーロ高もやっと一服するではないか。この意味では、ドル/円もしっかり。元ディーラーの某氏のブログでのコメント欄を読むと、ドル高の「原理主義者」達の気炎(?)の凄さに脱帽するもので、市場心理分析では円高になるに違いない。今年108円台になるかな・・・・・・・。



相場の真実を語る事例 

2007年09月20日 11時23分44秒 | 相場の真実
昨日昔の広告記事の内容を載せたので、恐らく多くの方が見てくれたと思うが、私の考え方と結論に違和感を感じる方も多くいるかもしれない。自分では、一番肝心な論点が文書の最後にあると考えている。しつこいようだが、もう一回繰り返す。

「巷で話題のキャリー・トレード、即ちスワップ金利を狙う投資ブームは既にバブル化しています。その正当性をファンダメンタルズ(主に金利差)で説明しようとする評論家達の予測に反し、これから主に米国側から様々なマイナス要因が続出するでしょう。つまり、今後2,3年間に渡るドル安が「宿命的」である以上、ファンダメンタルズも後追いで円高の材料となる方向に展開すると予想します。」

その時点(4月初、私は全く米サブプライム問題の深刻化を想定していなかったし、想定する力もなかった。自信を持って、自分の名前と写真まで公表したのは、あくまで前記の相場の真実に気付いていただけだ。現実はまさにこのように展開してきたことは、世間の一般的な考え方、即ちファンダメンタルズが相場の動きを決定するという原則は必ずしも正しいと限らない。

この問題は奥深い。世界観と哲学も絡んでくるだけに、一朝一夕で論議を尽くせない。今日はこの辺と関連する3つの事例を紹介し、今度話の材料にしようと考えている。皆さんもご感想があったら、コメントをください。

相場の真実を語る事例 その一

1906年、イギリスの科学者Francis Galton 氏による実験が行われた。ある家畜博覧会において、参加者全員に一頭の牛の処理された後の重量(内臓を取った後の重さ)を測ってみることに。計787個の回答が集まり、その787個の数字を足して787を割ると、平均値としての数字が得られた。因みに、回答者の中には農民と畜産関係者も含まれたが、大半は全く牛など家畜になんの専門知識も持たない一般人だった。
統計の結果では、平均値は1197パンに対して、実際牛の重量が1198パンだった。誤算は0.08%しかなかった。

相場の真実を語る事例 その二

1986年1月28日11:38分、米宇宙飛行機のチャレンジャー号が発射されたが、74秒後爆発し、墜落した。テレビの生中継もあり、事故はすぐに知れ渡った。

株式市場はすぐ反応した。数分後、宇宙飛行機事業を手掛ける大手製造会社の4社の株が強烈に売り浴びせられた。パフォーマンスは以下の如き:
事故発生後21分: Rockwell社(エンジンと機体を製造)は6%安、Lockheed社(発射台や地面設備を製造)は5%安、Martin Marietta社(機外メイン燃料装置を製造)は3%安、Morton Thiokol社(固体燃料補助エンジンを製造)はストップ安。同日終値では、前3社の株は揃って約3%安に留まったに対してMT社は12%安だった。

その後の調査では、当日憶測やうわさも含め、特にMT社製品の欠陥が事故の原因であるとの指摘がなかった。また、各会社の経営陣によるインサイダー取引の痕跡もなかった。6カ月後、事故調査委員会はやっと調査結果を発表し、MT社製品の欠陥が事故の引き金だったとの結論を付けた。

相場の真実を語る事例 その三

米財務学教授のTack Treynorが授業である実験を行った。彼はグラス容器に850個の飴を入れて、授業に参加した学生全員にその数を当てさせることにした。その結果、全員の平均値として871個となり、誤差は2.47%しかなかった。56名参加者の中、ただ一人の答えが平均値よりもっと正確だった。

Treynorj教授は直ちに2回目の実験を実施した。今回は彼が容器がプラスチェック製であることを強調した上、容器の中には空気が存在すると注意した。その結果、参加者全員の平均値は15%の誤差を示し、個別学生の予想よりはるかに不正解だった。

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相場の最終決定要因を考える

2007年09月19日 20時28分10秒 | 相場の真実
相場の最終決定要因とは何か、この問題についておそらく永遠に共通な認識が得られないと思う。結論から申し上げると、私はファンダメンタルズが相場の最終決定要素にはなれないと経験上の実感を得ており、東西を問わず、歴代の相場師らはこのような真実を強調している。今回、まず以前の広告記事の内容を載せ、改めて皆さんと一緒に考えたいと思う。記事内容は広告代理店の方が私の話を纏め、今年4月25日発売の「ビッグトゥモロウ」誌に掲載したもの。以下は記事本文。

長期為替動向の最終決定要素は金利差ではなく「宿命的」サイクルである!
―円高はまだまだ続く。1ドル100円割れもアリ!?

 すべての金融商品の値動きにはサイクルがある、というのが私の持論です。もちろん、為替相場もそう。短期的には、ファンダメンタルズ(経済・政治など基礎的な要素)の変化によって、値動きも千変万化していますが、基本的には主要サイクルの構造によって値動きのトレンドは決まっていきます。

 サイクルには強気の「ライト・トランスレーション」と弱気の「レフト・トランスレーション」の2パターンがあり、これらが連続したり入れ替わったりしながら、一定間隔で相場を作っているのです。すべてのサイクルはより大きな、長期的なサイクルに内包・支配されます。短期的なサイクル構造が強気でも、より長期的なサイクルが弱気構造であれば、結果的に値動きは下へ向かいます。サイクルの長さは完全に同じではありませんが、おおまかな期間は予測できます。

 では、為替相場がこの先どう動くか、サイクル理論から分析してみましょう。下図を見てください。ドル/円の動きを月足で測ると、ドルは約8年(96カ月)ごとに値動きのトップを形成する傾向にあります。これが1つ目のサイクルです。1990年4月のトップ(160.20円)から1998年4月のトップ(147.63円)までは約100カ月あり、その前のサイクルは89カ月と98カ月でした。今年1月の高値(122.19)まですでに101カ月が経過しており、すでにこのサイクルはトレンド転換した公算が大きい。

 また、2つ目のサイクルは1995年4月安値~1999年12月安値~2004年12月安値の5年周期サイクルです。 これを見ると、2006年1月についたドルの高値をトップとして、2010年前後次のボトムを形成する機運が見受けられます。つまり、2009年末、2010年頭まで、ドル安・円高に進展する可能性は高いと思われます。

 さらに、1995年における歴史的安値からのサイクルでは、ボラティリティ(変動率)の縮小に伴って「トライアングル」パターンを形成しており、この安値を起点とする周期変動を一つのサイクルと見なせば、明らかに弱気のパターン(そのサイクルの高値は既に1998年に出現)と考えられます。従って、今後ドルは再び101前半まで続落の公算が大きく、100円割れもおかしくないと予測できます。

 巷で話題のキャリー・トレード、即ちスワップ金利を狙う投資ブームは既にバブル化しています。その正当性をファンダメンタルズ(主に金利差)で説明しようとする評論家達の予測に反し、これから主に米国側から様々なマイナス要因が続出するでしょう。つまり、今後2,3年間に渡るドル安が「宿命的」である以上、ファンダメンタルズも後追いで円高の材料となる方向に展開すると予想します。

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リスク許容度にリンクするドル/円の上昇は短命

2007年09月19日 11時52分40秒 | 市況の真実
米FRBはFF金利を4.75%に引き下げた。これを受け、米株式急伸、ドル対ユーロ、英ポンド、スイスフラン、豪ドル、カナダドルなどメジャー通貨に対し大幅に下落し、対円だけ逆に上昇した。ユーロの史上最高値更新やカナダドルの30年来高値更新に鑑み、円の軟調は極めて異例と受け止められ、この背景にはやはり市場のリスク許容度の高まりに起因すると見る。

即ち、米FRBの機敏な決定を受け、米株大幅高が示唆するように、市場関係者のリスク許容度が再び高まった。利下げによって大分目下の危機を和らげたのではと考えている投機筋は円キャリートレードを再開した模様。また、米利下げによって、日銀は一層利上げしにくくなるとの思惑も強いようだ。

一方、ニューヨーク市場の12月限金先物が27年来高値を更新したように、市場はドル安をヘッジするため手を打っている。米金利先物の値段も10月の再度利下げをほぼ織り込む。従って、円の独歩安も長く続かないであろう。

リアル取引では、昨日も指摘したように、ストラテジーとテクニカル・シグナルの整合性がないと、積極的に仕掛けられない。やはり114.80割れを待ってから出動すべきだ。

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米利下げ観測を織り込もうとするドル/円相場

2007年09月19日 00時25分32秒 | 相場心理の真実
皆さん、今晩は、先ほど台中から台北のホテルに帰ってきた。

台中市の講演では、主にドル危機の本質や日本の一目均衡表について話させていただいたが、やはり台湾投資者達もドル/円相場に対する関心が高く、参加者の質問攻めに遭遇した。私の前の予測が的中したこともあり、すっかり「預言者」扱いされた。プレッシャー大!

さて、肝心のドル/円相場をチェックすると、ドルが一時115.87まで上がった。確かに私は円高トレンドが続くと見ているが、かと言って目下のドル反騰にサプライズを感じることもない。というのは、相場は往々にしてこのような一見「おかしな」値動きをする、特に重要な発表がある前に。

言うまでもなく、今晩米FOMC会議の結果を市場関係者らは固唾をのんで待っている。市場の予測の大半では、今回0.25%利下げありと見ているようで、ドルの上昇はこのような予測を織り込んで上昇している。もっと突っ込んで言うと、ほとんどの人が「利下げ」---[ドル安」との発想でドル売りポジションを作ったので、大口投資者(銀行ディーラーなど)は仕掛け的にこれらのポジションの損切りレベルを狙って買い進め、ドルのリバウンド幅を拡大させた。但し、このような反応は毎回決まっているわけではなく、素直な反応をも見せる場合も多い。私も今回は素直に反応してくると思ったので、ケース・バイ・ケースで割り切るしかない。

ここで指摘したいのは、この様な「仕掛けられた」相場が何かを示唆していることである。基本的に、今晩のFOMCの決定は以下の4つのシナリオが想定される。即ち、1、金利据え置き、2、0・25%利下げ、同時に声明文の基調は中立、3、0・25%利下げ、同時に声明文は次回の利下げを暗示、4、0.50%利下げ。基本的には、足元の状況に鑑みれば、1の可能性が少ないので、排除してもいいだろう。残った3つのシナリオはすべて利下げだから、目下ドルのリバウンドに照らし、相場は割とやや楽観的な2つ目のシナリオに傾いていることが示唆されよう。そうでないと、いくら銀行ディーラーの仕掛けでも、ドルを今のレベルまで押し上げることはないはずだ。

もっと大事なのは、これからの相場をどう見るかにある。私はやはりドルに対して弱気だ。なせなら、相場はすでに比較的な楽観的なシナリオに基づいてドルを押し上げたので、例えシナリの通りの決定になったとしても、ドルの更なる上昇余地が限られる。そしてもし第3、4のシナリオとなれば、失望や反動もあって激しい値動きを見せてくれるだろう。即ち、ドルの再び急落である。物理的な例えとすれば、跳ね上がってくれたボールほどよりスピードを伴って下落していくようなものだ。

ただ、今回市場の予測が分岐しているだけに、波乱も予想されるので、一時にせよ、最大117.86まで上昇する可能性も完全に否定できずにいる。特に、14日レポートにも指摘した「7月9日高値(123.66)から引かれた抵抗ライン」がブレイクされたことや5日線と20日線の接近と傾向に鑑み、目下積極的に売りポジションを作るには躊躇するもの。私としては、ドルが再び114.80(本日の安値)を割り込んだ時点で仕掛けるほうがよほど確実でテクニカル的客観性のあるトレーディングだ。詰まるところ、相場は我々の誰よりも賢く、相場は相場に聞けしか勝利の方程式はないである。

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短期見通しーーー「相場は相場に聞け」という見方

2007年09月14日 12時36分09秒 | 市況の真実
ドル/円  今週ドル一貫して反騰、米株式に追随する姿勢が鮮明。一方、利下げがほぼ確実と見られる足許では、米株式市場にプラス、ドルにマイナスと見るのが自然だ。従って、最近見られた米株式のパフォーマンスと連動する値動きはそろそろ終焉に向かう。7月9日高値(123.66)から引かれた抵抗ラインの健在、5日線と20日線の乖離や方向、RSIのレベルと横ばいなどに鑑み、本日ドルが再び頭を打たれ、下落に転じる公算が大きいと見る。再び114レベルを割り込めば、113.30/35など下値を打診しよう。

上記は私が毎日書いているレポートの本日のコメントの部分である。ドル/円に関する短期見通しは正しいかもしれないし、間違っているかもしれない。但し、ここで指摘して置きたいのは、相場予測の根拠をテクニカルのポイントなしでは、全く客観性を失うことである。つまり、相場は相場に聞け、という格言のように、世の中のすべてのファンダメンタルズ、消息と思惑の集大成が値段(レート)とその動きに反応される以上、値動きの分析に集中したほうがはるかに効率的だ。これはテクニカル・アナリシスの原点となるが、私は誠に正しいと思う。CPの転換の有無、政局混乱、財政赤字云々・・・・・このような個人投資者が把握しきれないものを専門家と評論家にお任せ、値動きにもっと専念しよう。もちろん、所謂専門家と評論家達も把握しきれないので、彼らはよく間違う。特に相場の大転換が生じた際。

ちなみに、テクニカル分析が難しいと感じている方が多いようだが、そんなことはない。前記のコメントの中に使っているテクニカル分析ツールは誰でもできる。プロと呼ばれている連中も実にこれぐらいしか使っていない。これを悟れば、皆さんも立派なトレーダーになれる!

私のレポートは以下のURLを参照。
http://www.easthillfx.co.jp/market/report.html

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温故知新ーーー昨年の講演内容

2007年09月14日 10時48分15秒 | FXの真実
昨年9月、初心者向けに行ったセミナーの原稿を見つかったので、営業宣伝の部分を削除して載せた。古いものだが、原則論としてはいつでも通用すると思う。


こんにちは、イーストヒル ジャパンの陳と申します。本日お休みのところ、お越しいただきまして、誠にありがとうございます。お話する前に、お断りしておきたいことが2点ほどあります。まず、今回サブテーマとしてお話させていただきますが、所謂為替証拠金取引その物の説明ではなく、あくまで為替市場に臨むためのあるべき視点や原則といった話が中心となりますので、次は、説明に当たって、具体的例を挙げる場合、弊社の金融商品や取引システムに触れますから、金融先物取引法の対象となる為替取引の説明、勧誘行為となる点も予めご承知ください。

 さて、今回私がお話するテーマは「グローバルスタンダードで見る外国為替取引」でございますが、そもそも、なぜグローバルスタンダードの視点を強調するのが必要かと疑問をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。実は、為替という金融商品の性格上、どうしてもこの点を強調しなければなりません。株式などローカル的、単一金融商品と比べ、そもそも為替レートは二国間の通貨ペアの比較で成り立つのですから、ドル/円のように、ドルの上昇=円の下落といった相違関係をかならず持っています。ですから、一国、一企業の成長や業績に連動する形で上下する株式と比べ、通貨は相対的な優位性で高安が決められます。そのため、往々にして、日本だけ、円サイドだけで為替の動きを考えると、なかなか市場の動きを理解できません。極端な言い方をすると、ドルが基軸通貨である以上、どうしてもアングルサクソン型な見方や考え方で臨まないとうまくいきません。グローバルスタンダードやそのような視点はとても重要です。

 今まで自分の経験も交えて、トレーダーとしての感覚を纏めると、マクロ的な視点とミクロ的な視点に分類するいくつかのポイントがあります。まずレシピの2ページをご覧になってください。五つのポイントがありますが、マクロ的に見ると、まず米ドルを基準に相場を考えることが大事です。先にも申し上げたように、米ドルは基軸通貨で、英語で言うとキー・カレンシーとなります。つまり、ドルがベースで、他のあらゆる国の通貨の価値はすべてドルと比べて決められます。我々普段で言う円高、円安というのもドルと比べ、円の価値が高いか、安いかを指します。実際、今年以来(5月17日まで)一時円高が進行したが(109まで)、円対ユーロ、対ポンドなど通貨レートが逆に円安の傾向を強めた。それなのに、あまり円安、円安と言わないのもそのためです。

より重要なのは、歴史で見ると、米政府主導の通貨政策や思惑によって、ドル高やドル安が誘導され、ほとんどが外貨サイドの事情を無視する形で相場が形成されていく。(6ページを参考、周知のように、85年のプラザ合意による大幅ドル安/円高、95年以降クリントン政権、ルーピン財務長官の「ドル高政策」によるドル高/円安などは好例である)ですから、相場を考えうる場合、円サイドで見るよりもドルサイドで測るのは分かりやすくかつ有効です。

 また、それ故、為替市場の値動きを予測するのも実にシンプルです。つまり、これからドル高かそれともドル安か、それだけを考えればよいのです。なぜなら、ドルが強く、上昇していく期間において、すべての主要外貨(ドル以外の通貨を外貨と呼ぶのもグローバルスタンダードの視点です)は程度の差があるものの、総じて下落傾向に当たります。反対に、ドルが弱くなると、外貨が上昇します。3ページと4ページをご覧にいただければ、一目瞭然ですが、ドルインデックス(ドルの強弱を表すベンチマーク、主要の6つの通貨をそれぞれの比率で包括的に指数化したものです。株式に例えるとすると、日経平均やTOPIXみたいな指標です)の傾向が外貨と全く相違、反対な傾向を示しています。日本円を含め、主要通貨の価値がドルによって決められる以上、ドルサイドの事情や材料をより重視し、相場に関する判断もドルサイドに立って下したい。繰り返しますが、外貨サイドの要素よりもドルサイドの要素が重要です。ここは為替の世界のグローバルスタンダードとしてもっとも重要な部分です。

次に、メジャー通貨ペアこそトレンドの要と書いていますが、三番目のクロス円との区別をまず説明したい。簡単に言うと、所謂メジャー通貨ペアというのは通貨同志の中にドルが入っているペアです。(ドル/円、ユーロ/ドル、ポンド/ドルなどなど)、逆に、通貨ペアの両方にドルが入っていないのはクロスレートです。その片棒が円(ほぼ後ろに付くが)である通貨ペアがクロス円となります(ユーロ/円、ポンド/円、豪ドル/円など)。日本では、為替というと、どうしてもクロス円の取引に連想しがちですか、グローバルスタンダードでみると、やや異例です。はっきり言う為替取引を言えば、まずメジャー通貨であり、クロス円は二の次です。その根拠として、5ページを見てください。このページにはユーロ/円のレートの計算方法を示しています。例示のように、ユーロ/円のレートはドル/円とユーロ/円のビット(売値)とオファー(買値)を交差(クロス)して掛けて得られます。実際もユーロ/円のレートもほぼその計算方式で得られたレートとほぼ同じ水準刻々変化していきます。ですから、メジャー通貨ペアの値動きがクロスレートを決定しており、反対にクロスレートの強弱でメジャー通貨にも影響を及ぼすが、どちらかというとその影響力は主導的ではありません。そのため、たとえクロス円(ユーロ/円。ポンド/円)のみを取引する場合も、ドル/円の動向は勿論、ユーロ/ドルやポンド/ドルの値動きやトレンドを見極めないと、取引自身が客観的な判断基準を得られません。メジャー通貨ペアを分からずにはクロス円を語らずと言えるように、日本の個人投資家の方々もその辺のセンスを是非、持ち合わせていただきたいと思います。

 あくまで個人的な見解ですが、私は、短期取引、或いは差益を重視する場合、クロス円よりもメジャー通貨ペアの値動きがわかりやすいのではないかと思います。今年2月から5月下旬のようなメジャー通貨ペアが大きく動き、逆にクロス円レートが揉み合い変動にさらされた局面では、クロス円だけの取引ではなかなか利益を上げられません。また、メジャー通貨ペアが明確なトレンドが発生している以上、指を銜えて見ているだけでは、非常にもったいないものです。他社との区別としては、弊社が扱っている通貨ペアには、クロス円通貨ペア以外、主要メジャー通貨が含まれます。(ドル/円の他、ユーロ/ドル、英ポンド/ドル、ドル/スイスフラン、ドル/カナダドルや豪ドル/ドル)です。お客様にとっては、取引の際、非常に選択肢が広げられます。

 次に、為替相場に臨む場合、心構えとして「先入観を持たず、定説を確信せず」が大事ではないかと私は思います。私の経験では、なぜか普通の投資家ほど実に先入観が強く、また頭でっかちなロジックを持っています。たとえば、為替レート=国の実力の鏡、またレート自身が国力を反映しているといったものです。それは非常にリスキーな考え方で、はっきり言って誤りです。6ページを見てください。71年以来のドル/円の長期チャートで示したように、95年1ドル80円を切って、最安値をつけましたが、わずか3年後の98年一転147.64まで上昇しました。95年にしても、98年にしても日本がバブル崩壊後の真只中で、金融システムの不安、国債格付けの切り下げなど、不況にあえいでいる時期でした。本来95年に日本の国力から考えるととっても80円台まで円高を持っていく実力がないのは明白です。また、ファンダメンタルズでは98年と大差がないのに、98年のレートとの雲泥の差を国力との基準でとっても説明できません。その辺、冒頭で申し上げた米国サイドに立って考えると事情がおわかりかと思いますが、それでも国力うんぬんとは無関係です。
 それに、所謂定説にも確信すべきではないと思います。例としては、よく素人投資家が言うように、株価と為替レートの相関性が高いという定説ですが、歴史データで検証すると、極めて短期的な相関関係があっても、中期や長期で見ると、相関性が非常に低いということがわかります。7ページで見られるように、ドル/円と日経平均の比較チャートでは、殆どそのような相関性がはっきり検証されていないのも一目瞭然です。米国の場合もしっかり。特に最近、むしろ米国高になると、ドルは必ず売られていました。なぜかというと、最近の米株高がインフレの低下と利上げ休止といった観測に起因するものが多く、利上げ休止自身が短期的にドルにとってマイナス要素となります。

 では、為替の変動や方向を予測する場合、複雑な経済、政治や市場の思惑や投機筋の動向が絡み合う中、どうやって判断するかという問題になります。実は私としては、申し上げる答えも極めて単純でシンプルです。つまり、予測するな、対応せよということです。先入観を捨て、定説も妄信せず、ひたすらトレンドに集中すべきであります。「相場のことは相場に聞け」という格言があるように、トレンド・フォロー(つまり逆張りせず、順張りすること)こそ為替相場で成功する真実です。為替マーケットと他の金融商品相場に比べると、サイクルやトレンドが明確であることが大きな特徴です。時間の関係で、具体的な検証を省略しますが、チャートを載せている各ページを参照すれば、一目瞭然ではないかと思います。特に11、12ページで示されたユーロ/円、ニュージーランドドル/円の週足チャートは綺麗なトレンドやサイクルを描いていますので、時には為替相場における神の見えざる手の力によるではないかと感心するほどです。シンプル・イズ・ベスト、複雑な要素が絡み合い、交互的に影響し合う為替相場こそ、シンプルなスタンダードを以って望むべきではないのでしょうか。

この辺の説明に例を挙げると、まず2001年9月11日の米同時多発テロ後のドル/円の動きを見たい。普通で考えると、米国建国以来未曾有の大規模なテロがあったから、ドルは間違いなく下落していくはずだが、実際、テロ発生後、一時116円割れたが、すぐに上昇に転じ、2002年2月に135円の高値をつけました。そのとき、変な先入観を持っている方はなかなかドルを買えず、チャンスを失うことになります。頭でっかちな考え方をもっていると、逆にドル売りに動いて、大損したかもしれません。が、余計なことを考えず、トレンド・フォローすれば、かなりのリターンを獲得したはずです。手前味噌になりますが、私も当時順張りして、儲けさせていただきました。

 また、2002年2月から、ドルは大きな下落トレンドに突入しました、135円から2005年1月安値の101.67まで、実に33円の値幅を越える暴落でした。その間、2002年7月から2004年7月まで、日本政府はなんと累計35兆円もの資金を投入し、円高を阻止するため、市場に介入しましたが、見事に失敗しました。当時、日本政府の力や介入の効果を信じてトレンドを逆にして、ドル買いに走った投機者が後を絶たなかったが、結果は当然惨憺たるものでした。結局、テロであれ、介入であれ、一切無視して、トレンド・フォローしていた者は成功しました。シンプル・イズ・ベストというように、トレンド・フォローな考え方や原則は為替取引において有効であります。


さて、ミクロ的な視点に転じてみますと、同じく五つのポイントでございますが、まず、個人投資家だからこそキャリー・トレードからマスターしてほしいです。簡単に説明すると、キャリー・トレードとは、円やスイスフランなど金利の低い通貨で資金調達して、金利の高い通貨で運用して利ザヤを稼ぐ手法です。現在各国の政策金利を見てみますと、日本円が0.25%、スイスフランが1.5%に対し、米ドルは5.25%、英ポンドは4.75&、ユーロは3%、豪ドルは4.25%、ニュージーランドドルに至って7.25%もあります。当然、高い金利の通貨を買い、安い金利の通貨を売れば、その金利差を享受できます。キャリー・トレード存在の基礎はそこにあります。実際、歴史的に見ると、金利が高いといって、その通貨が買われ、上昇していくとは限らないが、最近の為替相場が割と素直に金利差を反応して、概ね金利の高い通貨が買われる傾向にあります。グローバル的に見てみますと、ヘッジファンドに代表された機関投資家らも近年キャリー・トレードを盛んにやっており、その背景で、英ポンド、豪ドルなど高金利通貨や利上げ余地のあるユーロが買われ、その対象として売られているのは当然金利が一番低い円です。ユーロ/円は史上最高値を達成し、150.70を今週につけました。英ポンド/円も8年以来の高値圏にあります。但し、金利差があると言って高金利通貨の上昇を絶対視してはいけません。

為替取引では、その金利差をスワップポイントと読んでいます。たとえば、弊社では、ドル買い/円売りを1枚(1契約単位、10万ドル)のポジションを持っている場合、毎日約1580円の金利収入が確実にもらえます。一年365日で計算すると、57万6千7百円となります。もちろん、高いレートでドルを買って、その後ドルが下がり、為替差損が膨らんで、スワップポイントの利益を吹き飛ぶリスクがありますので、スワップ金利のみを狙う取引には要注意です。

また、スワップポイントの設定基準について、グローバルスタンダードでは、毎日LIBOR(ロンドン銀行間貸し出し金利レート)に基づいて計算されるはずです。10ページで示されるように、弊社と他社さんの区別としては、LIBORで毎日スワップポイントを計算していますから、当然毎日スワップポイントが変動します。例えば、先程、申し上げたドル/円のスワップポイントが買いの場合、一日1580円だったり、LIBORの変動で1597円だったりします。

ミクロ的に見ると、為替取引において、一般な投資者にとっては、ファンダメンタル分析よりもテクニカル分析に専念したほうがより有効ではないかと思います。なぜかというと、私の経験では、為替市場におけるテクニカルアナリシスが実にシンプルで、他の金融商品と比べると、わかりやすい、利用しやすく、また有効であります。前にも申し上げたように、ファンダメンタルズから入ると、どうしても頭でっかちになりやすく間違いを犯しがちです。ですから、取引に当たって、是非基礎的なテクニカル分析の考え方の理解やツールの習得をお勧めします。うしろから2ページ目をご参照ください。ドル/円の年間日足チャートですが、例えテクニカル分析で一番基本的な手法の高値、安値から引かれたラインや移動平均線を利用しても、十分効力が見られます。
(チャートの節目やサポート・ライン、レジスタンス・ラインの役割などを説明)

このように、実にテクニカル手法が為替取引において有効であることをご理解いただけたと思いますが、実際、銀行のディーラーらも殆どそういった基礎的なテクニカルの方法で相場を張っています。弊社のホームページでは、各テクニカルツールを詳しく説明しており、私も毎日テクニカルアナリシスとのコラムを出していますので、是非ご参照ください。

最後に、ニュースや経済指標の利用方法に少し触れたいと思います。まず、一般的には、初心者ほどニュースや指標の好悪に素直に反応する傾向が強いですが、実は為替市場における情報には旬というものがあります。つまり、市場はニュース(突発事件を除く)や経済指標の発表される前に、その好悪を予測し、早め早めに織り込もうとする傾向が強いです。よほどのサプライズがない限り、むしろ発表と同時に、反応しなくなるか、その前にポジションを取っていた投資家の利食い(反対売買)でニュースや指標の指示方向と逆の方向に行きます。

例としては、今年7月14日の日銀金利解除です、事前市場のコンセンサスとなっただけに、円が買われ、6月27日の116.70円から7月10日の113.45まで下げました。が、そこから下げなくなったというのは、市場はすでにそのニュースを消化済と示唆しています。実際14日ニュースが発表された後、ドルは一時下げたが、すぐ買われて、19日117.87まで上昇しました。

このように、ニュースと指標そのものよりも、事前のコンセンサスやサプライズの有無及び、どの程度織り込まれたかが重要です。弊社取引システムのHORIZONでは、ロイター社のニュースをリアルタイムで流れており、そういった市場の予想やコンセンサスも多く取り上げられますので、ご利用、ご参照されるようお勧めいたします。

 そろそろ時間ですので、この辺で話を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。


ドルインデックスで測る先の「円安バブル」の異常さ

2007年09月13日 18時39分01秒 | 市況の真実
結論から申し上げると、今年7月までの円安はバブルだった。つまり、足許は円高ではなく、単に先の円安バブルを修正し、あるべき価値へ戻っただけだ。

厳密で言うと、一国の通貨の価値は相対的で、何か基準で定めるものではない。但し、基軸通貨のドルと比べれば、その価値の測定はある程度できる上、逆にドルの価値も測れる。このツールはドルインデックスである。ドルインデックスは主要な6カ国通貨(ユーロ、円、英ポンド、カナダ、スウェーデンクローネ、スイスフラン)の対ドルレートを加重平均して計算された数値で、そのウェイトは下記の通りである。 ユーロ 57.6%、円 13.6%、ポンド 11.9%、カナダドル 9.1%、スウェーデンクローネ 4.2%、スイスフラン 3.6%。このように、ユーロのウェイトは最も大きく、円は二番目になる。ここで導かれる二つの法則は以下の通りである。1、ドルの対極として、ドルが売られたら、ユーロがほぼ間違いなく買われる。ユーロサイドの事情を無視する形で現れることもある。2.ドル安のトレンドが進行中であれば、円安はいずれ修正される。

特に2番目の法則を以ってドルインデックス(黒)とドル/円(赤)の比較チャートを見れば、今年7月までの円安バブルがいかに異常かに気づくだろう。2002年から2004年年末までほぼ連動していたのに、2005年後半から両レートが乖離をし、2006年4月頃からドルインデックスが一貫して右下がりしているのに、ドル円のレートは逆に上昇していく。やがて6月に入って両者の乖離が極端に広くなり、その後円の急騰が生じた。つまり、ドル安がはっきりしている中、円だけ大幅に売られるのは不自然で、円安も自己増殖性によるバブルだった。例え、米サブプライム問題などファンダメンタルズの変化がなくても、、円安は必ず修正される。また面白いのは、テクニカル的な修正の必要がでれば、相場は往々にしてファンダメンタルの急変を登場させる。今回の米サブプライム問題の発生タイミングもしっかり。鳥先か、卵先かという論争があるように、相場の根本的な決定要素を単にファンダメンタルズでは解釈しきれないことろは一杯ある。

確かに偉い「先生」と呼ばれる評論家達と殆どの業者さんは円安を煽ったけれど、重要なのは、評論家達は評論で生計を立て、業者は手数料で稼ぎ、決して自己資金で相場を張っていないという事実を理解することだ。肩書きや経歴で「偉い」と思われた他人の話を鵜呑みするよりも自分の目と頭でこれぐらい簡単の理屈を確認すべきである。「シンプル・イズ・ザ・ベスト」、為替相場は本来わかりやすいものだ。
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