陳 満咲杜の「為替の真実」

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相場は相場に聞け

2007年12月04日 22時55分48秒 | 相場心理の真実
毎回「東京外為売買比率統計」を読むのは楽しい。個人投資家の考えとその行動パターンを通じて相場の主流が鮮明に見えてくるからだ。

今日オフィスに着いたら、早速3日調べのデータを読んだが、案の定、小幅ながら円売りポジションが総じて減っていた。一方、英ポンド/円のロングポジションの減少が特に目立つことに興味を引かれた。11月26日の78.1ポイントと比べ、7.3ポイントも減少し、英ポンド買いは70.8ポイントとの数字を示している。具体的には買い建玉が12%減、売り建玉29%増だった。

23日の終わり値と比べ、30日(それぞれ調べ日の前日を取る)の終わり値が概ね2円以上も高いので、明らかに8月の急落の状況とは違う。なのに、個人投資家がロングポジションの決済を急いでいたのも明らかに別のところに理由がある。言い換えれば、値動きよりもファンダメンタルズに起因する「喚起材料」があったに違いない。

ありがたいのは、日経金融新聞の同記事には理由をきちんと書いている。即ち「英国利下げ観測からストレートのケーブルでショートにしやすい」と、外為どっとコム資金為替部の方のコメントが載せていた。(ちなみに、ケーブルはGBP/USDのことだが、なぜこの方がここで使うかは不明)

やはりそうだったか。ある意味では非常に納得できる。個人投資家らはまるで銀行のアナリストのように、金利動向を予測し、行動する。(いや、銀行のアナリストより偉い。アナリストらは予測のみである)だが、肝心なのは、為替はテクニカルなり(一)にも書いていたように、「ファンダメンタルズ自身よりも市場参加者の予測と思惑が大事であることが挙げられる。市場のレートは皆の予測と思惑で形成される以上、常にファンダメンタルズの内容より早く反映する」。この理論が正しければ、次の疑問も自然に湧いてくる、即ち、利下げ観測がすでに市場のコンセンサスである以上、誰が今の英ポンド相場を支えているかである。

言い換えれば、もし誰もが利下げを理由に英ポンドを売りたい、あるいはすでに売ったのであれば、相場がすでに大きく崩れているに違いない。が、目下の小康状況は明らかに違うことを言っている。「相場は相場に聞け」との精神を貫けば、利下げコンセンサスが共有されている中、英ポンドの底堅さが今後の上昇傾向を逆に示唆している、といった解釈もできよう。勿論、主に対ドルの話であるが、対円のレートでもすぐ崩れることはないと見ている。

おもしろいのは、本日の日経金融新聞には、英ファイナンシャル・タイムズ紙の社説「ポンドは脆弱、ドルつれ安」を載せており、あるブログにも「英国の銀行がまたかなり損失を出しているという噂」といち早く伝わっている。情報は結構だが、肝心なのは相場の反応だ。情報や噂だけに頼み、むやみに売買したら、「早耳の早倒れ」との相場格言のように、逆に損失を招くことに。

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