この曲は美空ひばりさんが越後獅子の少年を演じて主演した松竹映画『とんぼ返り道中』の挿入歌としてヒットさせた曲です。
越後獅子とは新潟県新潟市南区(旧西蒲原郡月潟村)を発祥とする角兵衛獅子のことで、7歳以上、14、5歳以下のこどもが、しま模様のもんぺと錏(しころ:兜(かぶと)の鉢の左右から後方に垂れて頸を覆うもの)の付いた小さい獅子頭を頭上に頂いた格好で演じる大道芸です。
もともとは、洪水に悩まされた月潟村の人が堤を造る費用を得るために、子供に越後の獅子踊りをさせて旅稼ぎをさせたのが始まりのようで、江戸に登場したのは宝暦5年(1755年)のこと。
以来、明治初期まで続くわけですが、義務教育の定着などの社会の意識の変化により、児童に対して親方と呼ばれる大人が鞭を用いた体罰で芸を仕込むことや学校にも通わせないことに対する嫌悪感が生まれ、次第に忌避の対象となっていきます。
そして昭和8年(1933年)の「児童虐待防止法」によって、児童を使った金銭目的の大道芸そのものが禁止となり、『大道芸』という形態としては姿を消すこととなりました。