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雇用を生み出すなら最低賃金制度を廃止しろ?またまた御冗談を・・・(Dec 2, 2012)

2012-12-02 20:20:06 | おかしな人たち
今度の衆議院総選挙には、なんとか維新の会だか太陽の党だか日本維新の会という政党も候補者を出すらしい。
その会の政策の1つに、「最低賃金制度の撤廃」なんてのがあるらしいが・・・。
・「最低賃金撤廃」「解雇規制の緩和」 「維新の会」公約は「暴論」なのか(2012年11月30日 j-cast.com)

正直、この政策で誰が得するのかと小一時間問いたくなるこの話。
とりあえず、2012年11月30日分 j-cast.com『「最低賃金撤廃」~』から気になる部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
日本維新の会が2012年11月29日に発表した「骨太2013-2016」は、橋下徹代表代行が中心となってまとめた「維新八策」の理念を政策面から再整理し、作成したという。
「経済・財政を賢く強くする」の項目で、「労働市場を流動化させる」と掲げられており、その政策実例の一部として解雇規制の緩和、さらに最低賃金制の廃止と、給付付き税額控除など「負の所得税」の考え方で一定の所得を保障することがセットで記されている。
橋下代表代行は11月29日の記者会見で、細かい数値目標や工程表は示さず、「行政官僚では絶対できないポイントをまとめた」と説明した。
(中略)

ただよく読むと、単に最低賃金を廃止するだけでなく「負の所得税の考え方で一定の所得保障」という補足がある。
ネガティブな部分だけが独り歩きしている感は否めない。
人事コンサルタントの城 繁幸氏はJ-CASTニュースの取材に、「維新の公約のように、最低賃金を撤廃して、生活のための最低限の保障を公的に行うのは北欧をはじめ、先進国のトレンド。出てきてしかるべき政策です」と話す。

長引く不況下で、経営者が最低賃金を支払い続ける余裕がなくなれば、該当する従業員を継続して雇い続けるのは違法となるので解雇せざるを得ない。
経営側は安い労働力を求めて海外進出するか、体力がなければ廃業することになろう。
一方、国内の労働市場は雇用が減って失業者増につながり、それに伴って生活保護の受給者も増大するに違いない。

いっそ最低賃金の枠を外せば、低賃金ではあるが仕事は増える。
もちろん劣悪な雇用条件を放置するのではなく、低額の業務の場合は公的な経済的補助を設けることで一定の収入を約束すれば就業者が増える半面、「生活保護に頼る人も減るでしょう」と城氏。
(以下略)
---- 引用以上 ----

・・・j-cast.com には、問題の案について質問する相手をよく選べって言いたい所だわさ(謎)。
そもそも、城氏の見解は、あまりに問題の案について楽観的過ぎって話だし。
ついでに、最低賃金の枠を外しても、仕事が増えるとは限らないし。
本当に何考えてるの?


・・・こんな問題含みの「最低賃金廃止」案だが、何故か賛同する人がそれなりにいるというね。
特に、色んな意味で悪名高いことばかりのたまってる "wasting time?" (以下WT氏)は俺と同じ時空に生きてるのか疑いたくなる見解を示していた。
・やっぱり圧倒的にまともな維新の政策 -最低賃金なんて必要ない(2012年12月2日 ロンドンで怠惰な生活を送りながら日本を思ふ 「東京編」)

この中で、WT 氏は維新の会の政策について一番マトモと評価した上で、「最低賃金廃止」を「当然」なんてのたまっていた。
そして、この後読者を平行世界にぶっ飛ばす勢いの論をかましていた・・・。
以下、2012年12月2日分 ロンドンで(略)『やっぱり~』から中盤部分を(略
読む前に、診療の際に受け取った領収書の確認を忘れないように!(謎)

---- 以下引用 ----
(中略)
言うまでもなく最低賃金法は必要のない法律である。
というのは少し経済学を学んだ人なら誰でも分かる常識だ。
特に若年労働者は本来ならば仕事を学ぶと言う意味において給料などゼロでもいい存在である(インターンが存在する理由はそこにある)。
若者にしてみれば極端に言えば給料ゼロでもいいからスキルと経験・経歴を身につけたいところだから、最低賃金法で就労機会を奪うことは現在働いている労働者の既得権益の保護に他ならない(詳しくはこちら→負の所得税と最低賃金(注:WT の記事) )。

「そんなこと言ったって給料が安すぎては生活は出来ない。机上の空論はいらない」という人もいるだろう。
が、まず働けなければ全く給料も得られず生活保護などに頼って生きていくことになるだろう。
どのみち最低賃金法の存在で所得を得られない人が存在する。
また、最低賃金法が撤廃されて労働者を雇うコストが少なくなればより多くのビジネスが生まれ働く場所もできる。
しかもあらゆる商品やサービスの値段が安くなることが考えられるから大半の労働者の生活は楽になるだろう。

しかも、橋下氏は負の所得税やベーシックインカムのようなものを給付することで最低限の生活に対するセーフティーネットを守ると言っている。
だから「給料が安すぎる」という心配はあまりいらないだろう。
しかも維新の会は年金制度を含めた大胆な改革を提唱している。
最終的に年金・失業保険などをすべて廃止し負の所得税などに置き換えるのならば効率的な行政・効率的で経済活動をゆがめない社会保障制度が確立できる。
生活保護も廃止してしまえばいい。
そうすれば負の所得税が壮大なるばら撒きになる可能性は少ない。
(以下略)
---- 引用以上 ----

・・・俺は、大学1年生の時、少しだけ(教養レベルで)経済学の授業を受けたのよね。
が、残念ながら、最低賃金法は必要のない法律だと理解することができない。
一体どういうことだ?(謎)

つか、WT 氏の論は、城氏以上に経済活動について楽観的というか能天気としか思えない。
だいたい、「若者にしてみれば極端に言えば給料ゼロでもいいからスキルと経験・経歴を身につけたいところだから~」って何だよ?
給料がなければ、生活する費用をどうやって賄えって言うのか?
まさか、負の所得税やベーシックインカムがあれば(略)ってオチじゃないよな?
どんだけ能天気なんだか・・・。

それと、「商品やサービスの値段が安くなることが考えられる~」って何?
「最低賃金撤廃」が実現しても、コストが削減されるとは限らないんじゃね?
削減された人件費(・・・)を企業がどう使うかってのは、それこそ企業の裁量次第だし、ね・・・。


なお、経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)は、2006年に出した『雇用見通し2006(OECD Employment Outlook 2006)』の第3章で最低賃金に関して色々触れていた模様。
・OECD雇用見通し2006の最低賃金論(2007年5月22日 hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳))
・3. General policies to improve employment opportunities for all(2006年6月13日? oecd.org;.pdfファイル)

参考までに、2007年5月22日分 hamachanブログ『OECD雇用見通し~』から、最低賃金に関して触れた部分の結論部分(?)の訳文を(略
ただし、原文からも対応部分を(略

---- 以下引用 ----
[以下原文]
(中略)
Lessons

Recent experience confirms the importance of policies to assure that wages adjust flexibly in response to supply- and demand-side pressures, so as to support high levels of employment in a constantly changing economic environment.
The detailed policy recommendations for reforming wage-setting institutions remain largely valid, but there appear to be grounds for introducing some modifications:
(中略)
*Minimum wages.

Recent experience suggests that a moderate minimum wage generally is not a problem, but that adequate allowance for sub-minima for youth and possibly other vulnerable groups is essential.
Another insight is the potential for a well-designed minimum wage to contribute to a broader strategy to foster higher employment by guaranteeing that work pays better than remaining on social benefits.
However, the danger posed by negative policy interactions has also been confirmed, particularly that between a too-high minimum wage and high rates of labour taxation.
(以下略)

(中略)
(結論として)
近年の経験が示唆するところでは、穏当な最低賃金は問題ではない。
しかし若者や他の脆弱な集団の(最賃より低い)特例最賃への十分な手当が不可欠である。
他の洞察は、良く設計された最低賃金が社会給付にとどまるよりも働く方がペイすることを保障することによって、高い就業率にむけた広範な戦略に貢献するという点である。
しかしながら、否定的な政策の相互作用による危険性もまた確かであり、特に高すぎる最低賃金と高水準の労働課税の間にそれが見られる。
(以下略)
---- 引用以上 ----

なんつ~か。
最低賃金制度ってのは、「一番捨ててはいけないモノ」な気がするのは俺だけ?(謎)
つか、WT 氏は、何を考えて「最低賃金制度廃止賛成」なんて言い張るのやら・・・。


最後に。
WT 氏に対する以下のコメントで、今回の記事を〆ることにする。

『名前を "wasting time" に改名するのはいつ?』


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