「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」とは言うけれど

今月中旬、韓国の李 明博（LEE Myung Bak：이명박）大統領が「日王（天皇陛下）が韓国を訪問するなら、謝罪するべき」という趣旨の発言をした。
・天皇訪韓には「謝罪が必要」＝竹島訪問への反発に当てつけか－韓国大統領（2012年8月14日 時事ドットコム）

で、自称法学者こと八木 秀次氏（not 工学者）が、この件について妙なことを述べてたのだが・・・。
・高崎経済大学教授・八木 秀次　日本人の怒り理解できぬ韓国人（2012年8月30日 MSN産経ニュース）

八木氏は、韓国メディア（・・・）からこの件について取材を受けた際の様子について語っていた。
しかし、その発言には色々問題があった。
以下、2012年8月30日分MSN産経ニュース『高崎（略）』から、序盤部分を（略

---- 以下引用 ----
（中略）
≪天皇を最高政治権力者と誤解≫

　東日本大震災の被災地や、被災現地を訪問された天皇皇后両陛下について取材した経験から、李大統領の発言は竹島や慰安婦の問題とは次元の異なる、触れてはならない日本人の神聖な部分に触れたような思いがする、解説してほしい、という趣旨であった。

　韓国では王室がなくなって久しいこともあって、天皇を政治権力の最上位の存在と理解している。
韓国で天皇を「日王」と呼ぶのはそのためで、李大統領もそのような認識で発言したはずだ－。
記者は、そう問いかけてきた。

　私は、天皇はそうではなく、国家・国民のために「祈る存在」である、と強調した。
天皇は実際の政治とは遠いところから、国民生活の安寧や国家の発展、世界平和を祈る宗教的な存在であり、そして、そのような立場からその時々の権力者に対し、その地位を認める存在であると説明した。
（以下略）
---- 引用以上 ----

実際の所、現在の日本国憲法下における天皇（というか皇室）は制度面で非常に捉えづらい部分があるのは確か。
この辺は、象徴天皇制の形成過程について調査を行った 瀬畑 源（Hajime SEBATA）氏の博士論文の概要と審査要旨を参照（手抜き）
・博士論文要旨：論文題目：象徴天皇制の形成過程―宮内庁とマスメディアの関係を中心に―（2010年11月30日？ soc.hit-u.ac.jp）
・博士論文審査要旨；論文題目：象徴天皇制の（略）（2010年11月30日？ soc.hit-u.ac.jp）

日本国内ですら天皇（というか皇室）の実態を理解してる人が少ないんじゃ、国外の人達がその実態をほとんど知らないのは当然？


・・・話を続ける。

この後、八木氏は、日本の歴史について Sea Shepherd の総帥こと Paul WATSON 船長が自ら某国の日本大使館に出頭する勢いの意味不明発言をかましていた。
以下、2012年8月30日分 MSN産経ニュース『高崎（略）』から中盤部分を（略
読む前に、コンタクトレンズを外しておくのを忘れないように！（謎）

---- 以下引用 ----
（中略）
日本では老舗が多いのを知っているか、と問い返しもした。
百年以上続く店や企業は１０万以上、千年続く会社もある。
その間、技術が伝承されている。
勤勉でこつこつ努力し、努力はやがて報われると考える国民性もある。
それはどうしてかお分かりか、と。

そのうえで、日本では、韓国と比較すれば政治が安定してきたからであり、何百年も家業が続けられ、技術も伝承できてきたのである、と答えた。
そして、それは、どんな実力を持つ者であっても超えてはならない、その地位を侵してはならない「天皇」という存在があったればこそだ、と。

天皇は初代から一系の血筋で継承されており、誰も取って代わることができない。
そして、その天皇から折々の権力者が自らの地位を認めてもらうシステムを日本人は作ってきた。
その点で天皇は李王朝の王とは違う。
権力の最上位の存在ではない。
天皇は日本の国柄のまさに中核をなし、日本の国民性も天皇の存在を前提として形成されてきたものだ。
その天皇を李大統領の発言は侮辱することになってしまった、これは取り返しのつかないことをしたのではないか。そのように解説した。
（以下略）
---- 引用以上 ----

・・・正直、どこから突っ込めばいいのか迷う酷さだ。

「どんな実力を持つ者であっても～」と述べた直後に「権力の最上位の存在ではない」って、正直意味がわからないんだけど。
時の権力者が自分達の正当性を天皇に証明してもらってる時点で、天皇が権力の最上位の存在ってことになるはずなのに・・・。

何より問題なのは、「天皇は初代から一系の血筋で～」って下り。
八木氏が、日本国内だけならともかく、日本国外にまでとんだ（公式の）作り話を言いふらすとは予想してなかった。
語り継がれてきた天皇の血筋云々ってのが、人々によって嘘で塗り固められてる可能性を全く信じてない八木氏が少し哀れに思えてくる罠・・・。

日本に老舗が多い云々の理由については面倒なんでパス（何）
（経済や流通制度による所が大きいんだろうが）


で、八木氏は 3K新聞の記事の終盤で妙なことを述べていた。
以下、2012年8月30日分 MSN産経ニュース『高崎（略）』から最後のオチを（略

---- 以下引用 ----
（中略）
≪日本は抗議と同時に説明を≫

記者は、私の解説を聞いて自分なりに納得したこの思いを一般の韓国人に分かるような記事にするのは大変難しい、ため息しか出ない、気が重い、などと語って、電話取材を終えたのである。

私に対する取材などを基に書かれた記事は、その後、韓国のメディアに掲載されている。
その記事には、天皇皇后両陛下が東日本大震災の被災地で黙祷（もくとう）を捧げられている写真が付けられていた。

　天皇については、日本生まれの李大統領でさえ分かっていない。その後も、韓国では閣僚やメディアによる天皇侮辱発言が相次いでいる。
彼らは、なぜ日本人が怒っているか理解できず、不思議に思っているのかもしれない。

　取材を受けて、日本政府は韓国側に対し抗議すると同時に、そのあたりを平易に説明すべきだと改めて痛感した次第である。
---- 引用以上 ----

正直、この件で「李大統領は謝罪しろ」って騒いでる人達の心境が俺には理解不能だ。