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沖縄の人達について 2001年8月の時と同じ見解を日本政府が示してても驚かないが

2012-02-15 20:54:30 | おかしな人たち
2010年のことになるが、国連の人種差別撤廃委員会(国連人権高等弁務官事務所の一部門、Committee on the Elimination of Racial Discrimination:CERD)が日本政府に対し沖縄の人達への差別的扱いを(人種差別撤廃条約に基づき)改善するよう求める勧告を出していた。
これに対し、外務省は「沖縄に住んでる人達は人種差別撤廃条約の対象外」なんて見解を示したのだが・・・。
・差別撤廃条約 外務省「沖縄は対象外」(2012年2月15日 琉球新報)

いろんな意味で非常にリアクションに困るこの見解。
以下、2012年2月15日分琉球新報『差別撤廃条約~』を全文(略

---- 以下引用 ----
国連の人種差別撤廃委員会(CERD)が、2010年3月、人種差別撤廃条約に基づき沖縄への過重な米軍基地の集中を「現代的形式の差別」として日本政府へ勧告を出したことについて、外務省は14日、「沖縄県居住者は日本民族」などとして、沖縄は同条約の対象ではないとの見解を示した。
 人種差別撤廃NGOネットワーク、琉球弧の先住民族会が14日、参議院議員会館で開いた関係省庁への要請の場で外務省が明らかにした。
 人種差別撤廃委員会は2010年勧告で沖縄のコミュニティーを「人種差別撤廃条約の適用対象」と明記している。
 それに対し外務省は「沖縄県居住者、出身者は日本民族であり、一般に他府県出身者と同様、社会通念上、(差別の対象となるような)生物学的または文化的諸特徴を共有している人々の集団とは考えられておらず、本条約の対象にならない」とする同省の見解を説明。
「言語、宗教、慣習、文化などが日本本土との関係で異なっているという認識が必ずしも一般にあるとは認識していない」と述べた。
 外務省が「社会通念」という曖昧な基準で日本本土との差異の有無を判断していることに対し、市民団体から批判の声が出たほか、山内徳信参議院議員は「沖縄県民が皆と同じ日本国民なら、なぜ70%以上の基地が沖縄に押し付けられているのか。これは差別だ」と指摘した。
 人種差別撤廃NGOネットワークなどは10日にも国連人種差別撤廃委員会に沖縄における米軍基地建設の動きを人権侵害と差別の視点から検証するよう求める要請文を提出している。
---- 引用以上 ----

「沖縄県居住者、出身者は日本民族~」、か。
つまり、これって、沖縄県に住んでる人達は出自がどこであろうとも日本民族ってことか?(違)
なんという自民族中心主義・・・(呆)

つか、外務省が示した見解ってのは、2001年の時点から変わってないのだが。
・人種差別撤廃員会の日本政府報告審査に関する最終見解に対する日本政府の意見の提出(2001年8月)(2001年8月?日;2012年2月15日最終アクセス mofa.go.jp)

上の意見は、1997年と1999年に CERD が出した勧告への反論という意味合いも含まれていた。
以下、mofa.go.jp『人種差別撤廃委員会の~』から、セクション1 の(2)を(略
ただし、[] 内は俺が加えた補足。

---- 以下引用 ----
(中略)
(2) 他方、本条約の適用範囲については、次の通り考えている。
(イ) そもそも本条約の適用対象となる「人種差別」とは、本条約第1条1において、「人種、皮膚の色、世系[血統]又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別・・・」と規定している。
このことから、本条約は、社会通念上、生物学的諸特徴を共有するとされている人々の集団、及び社会通念上、文化的諸特徴を共有するとされている人々の集団並びにこれらの集団に属する個人につき、これらの諸特徴を有していることに基づく差別を対象とするものであると解される。
沖縄県に居住する人あるいは沖縄県の出身者は日本民族であり、一般に、他県出身者と同様、社会通念上、生物学的又は文化的諸特徴を共有している人々の集団であると考えられておらず、したがって、本条約の対象とはならないものと考えている。

(ロ) 更に、本条約第1条1に規定する"descent"については、本条約の審議経緯において、"national origin(民族的出身)"という語が「国籍」という法的地位に基づく概念も含み得るかのような誤解を招くとの問題があり、その問題を解決するため、"national origin"に代わる語として"place of origin"とともに提案されたものである。
しかし、その後、文言の整理が十分になされず、そのまま本規定中に残ったものであると承知している。
 このような審議経緯を踏まえれば、本条約の適用上、"descent"とは、過去の世代における人種若しくは皮膚の色又は過去の世代における民族的若しくは種族的出身に着目した概念を表すものであり、社会的出身に着目した概念を表すものとは解されない。
 他方、同和問題については、日本政府としては、同和対策審議会答申(1965年8月11日)の通り、「地区の住民は異人種でも異民族でもなく、疑いもなく日本民族、日本国民である」と考えている。
(以下略)
---- 引用以上 ----

沖縄に住んでいる人達は生物学的又は文化的諸特徴を持ってない、か。
過去に本土側が沖縄にしてきたこと(文化の抹殺とか)を踏まえると、何の冗談だと言わざるを得ない。

つか、人種差別撤廃条約において "descent" ってのは、第1条に定義されてるんだよな。
その定義については、2002年になって再び勧告が出されていたけど・・・。
・General Recommendation No. 29: Article 1, paragraph 1 of the Convention (Descent) : . 2002/11/01. Gen. Rec. No. 29. (General Comments)(2002年11月1日 unhchr.ch)

この勧告には、"Strongly reaffirming" という言葉を前置きした上で、"descent" による差別について述べてる部分があるのだが・・・。
以下、2002年11月1日 unhchr.ch『General Recommendation No. 29~』よりその部分を(略

---- 以下引用 ----
(中略)
Confirming the consistent view of the Committee that the term “descent” in article 1, paragraph 1, the Convention does not solely refer to “race” and has a meaning and application which complement the other prohibited grounds of discrimination,

Strongly reaffirming that discrimination based on “descent” includes discrimination against members of communities based on forms of social stratification such as caste and analogous systems of inherited status which nullify or impair their equal enjoyment of human rights,
(以下略)
---- 引用以上 ----

日本政府の "descent" に対する「社会的出身に着目した概念を表すものとは解されない」見解と反する勧告だわさ。
にもかかわらず昨日の見解、である。
まさか、日本政府が2002年の勧告を無視した、とは思いたくないが・・・。

まるで成長していない・・・


それにしても。
今回問題にした日本政府の見解って、色んな意味で汎用性が高い気がしないでもない。
そもそも、「社会通念上、生物学的又は文化的諸特徴を共有している人々の集団~」を決めるのは、基本的に権力側(+それを支持する人達)がやることだし・・・。


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