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シオンをもたらす

2021-10-29 04:56:40 | 日記
シオンをもたらす

ゲレット・W・ゴング長老
十二使徒定員会

回復された福音の祝福にあずかっている末日聖徒として,わたしたちは教会を強め,シオンを築くために召されています




地図/Getty Images

昔から常に主の民は,主が住まわれる場所として福音に根ざした社会を創り出そうと努めてきました。そのような聖徒の集まりとなるために,わたしたちは心と思いを聖めて一つにすること,争いや論争をすることなく公正に振る舞うこと,義のうちに住んで自分たちの中に貧しい人がいないようにすることを学ぶ必要があります(モーセ7:18参照)。


例えば,ジョン・リンフォードとマリア・リンフォードは,1842年にイギリスのグレーブリーで末日聖徒イエス・キリスト教会に加わり,その後,ジョンはその地の支部の会長になりました。しかし親戚や友人たちは,リンフォード夫妻が回復の業に見いだした喜びを共にすることはありませんでした。彼らは新しい信仰を捨てるようジョンを説得できなければ,ジョンの製靴事業に対する不買運動によって「信仰の放棄に追い込む」つもりでした。

1856年,ジョンとマリアは永代移住基金によって,ソルトレーク盆地に移住する機会を得ました。夫妻は3人の息子を連れてニューヨークに航行します。そこからアイオワ州アイオワ・シティーに旅し,不幸な運命を迎えるジェームズ・G・ウィリーの手車隊とともに,その地を1856年7月に出発しました。

10月21日の早くに,ジョンはワイオミング州のスウィートウォーター川のほとりで最後の言葉を残します。

イギリスを離れたことを後悔しているかとマリアから聞かれ,ジョンはこう言いました。「一緒に来られたことをうれしく思うよ。僕が生きてソルトレークに着くことはないけれど,君と子供たちは無事に到着するだろう。子供たちがシオンで成長して家庭を持つことができるのなら,これまで一緒に経験してきたことにいささかの後悔もないよ。」


シオンとは何か



主イエス・キリストの降誕を除き,末日におけるイスラエルの家の集合と,救い主の再臨に備えてシオンを築くことほど,古代と現代の預言者たちや聖徒たちに霊感を与えてきたテーマというのは,ほとんどありません。


当時も今も,どこに主の民がいようとも,末日聖徒にとってシオンがそれほど重要であるのはなぜでしょうか。


十二使徒定員会のブルース・R・マッコンキー長老(1915-1985年)は次のように述べています。「アダムの時代から現在まで,主が御自身の民を持たれたとき,また主の声を聞き,主の戒めを守る民があるとき,そして聖徒たちが十分に固い決意をもって主に仕えたときに,必ずシオンは存在しました。」


聖文にはシオンの社会について述べられています。ノアの時代の預言者であり深い信仰を持っていたエノクは,「一つの町を建て,それは聖なる都,すなわちシオンと呼ばれ」ました(モーセ7:19)。主は御自分の民とともにそこに住み,民とその地を祝福されました(モーセ7:16-18参照)。主はエノクに,「見よ,わたしは神である。聖なる人とはわたしの名である」と言われました(モーセ7:35)。


シオンで目指すのは,天の日の栄えの諸原則に基づく,信仰により民が一つとなった場所を築くことです。そこは神の民が神とともに歩むことができ,神御自身が住むことのおできになる場所です。


モルモン書は次のように証しています。復活した救い主が新世界を訪れられた後,「民は……皆,地の全面で主に帰依した。……
また,彼らはすべてのものを共有したので,物持ちも貧しい者も,束縛された者も自由な者もなく,皆自由となり,天の賜物にあずかる者となった。……
そして,民の心の中に宿っていた神の愛のために,地の面にはまったく争いがなかった。」(4ニーファイ1:2,3,15)


義と力とをもって武装する

エノクの時代は戦争,流血,恐怖,暗闇,憎悪の時代であり,「サタンの力が地の全面にあった」時代でした(モーセ7:24。16,17,33節も参照)。しかしエノクは忠実であり,主から悔い改めを叫ぶよう召されました。


主はエノクに,御自分の再臨の前に同様の「ひどい艱難」があると言われました(モーセ7:61)。「わたしが生きているように確かに,わたしは終わりの時に,すなわち悪事と報復の時代に来て,わたしがノアの子孫に関してあなたに立てた誓いを果たそう。」(モーセ7:60)


現代において,ラッセル・M・ネルソン大管長は最近,次のように述べました。「わたしは現在の〔新型コロナウイルス感染症の〕パンデミックを,世界をむしばんでいるたくさんの病の一つに過ぎないと捉えています。ほかにも憎悪や暴動,人種差別,暴力,不正,礼節の欠如といった多くの病が存在しています。」しかし,わたしたちには預言者の約束があります。ネルソン大管長は次のようにも言っています。


「わたしたちは『先祖が切なる期待をもって待ち望んできた』時代に生活しています〔教義と聖約121:27〕。わたしたちは最前列の席で,預言者ニーファイが示現だけで見た出来事を生で目撃しているのです。ニーファイはこう述べています。『神の小羊の力』は『地の全面に散っている……主の聖約の民のうえに下る……。彼らは義と神の力とをもって,大いなる栄光のうちに武装していた。』〔1ニーファイ14:14〕


皆さん,兄弟姉妹の皆さんは,ニーファイが見たその男女子供たちの中にいるのです。」


幕の両側の人々を集めて祝福し,シオンを築き,わたしたちの救い主の再臨に世を備えるようにという招きには,わたしたちの一人一人が含まれています。ネルソン大管長はこう言っています。「これまで地球上に暮らしてきたすべての民の中で,わたしたちがこの最後の偉大な集合の業に参加するのです。

どのようにしてそこに至るか

回復された福音の祝福にあずかっている末日聖徒として,わたしたちは「〔主〕のぶどう園で働き,〔主〕の教会を築き上げ,シオンをもたら〔す〕ために召されて」います(教義と聖約39:13)。その業には,愛,一致,信仰,奉仕,犠牲,従順が求められます。



人々が心を尽くして主を愛し,義にかなった努力をして主のようになろうとするとき,社会の中の対立や争いは少なくなり,一致することの方が多くなります」と,十二使徒定員会のクエンティン・L・クック長老は言っています。クック長老はさらにこう述べています。「一致〔は〕幅広い意味を持つ言葉ですが,神を愛し,同胞を愛するといういちばん大切な第一と第二の戒めの実践を表す言葉であることは確かです。これは,一致で固く結ばれた心と思いを持つシオンの民を表しています〔モーサヤ18:21参照〕。」


その愛と一致をもって,わたしたちは信仰を働かせて救い主の贖罪にあずかります。主の贖罪は,わたしたちが心と生活を清くするとき,わたしたちを変えてくれます(モーサヤ3:19;教義と聖約97:21参照)。わたしたちは進んで主のもとに来ようとする人たちを義のうちに集めます。神聖な儀式と日の栄えの諸原則を通して,わたしたちは神性の力を自分の生活に招きます(教義と聖約84:20-21;105:5参照)。神と互いとの聖約によって聖別されたわたしたちは,シオンを築き,再臨に備えます。


「慈愛は,キリストの純粋な愛です」と,大管長会第二顧問のヘンリー・B・アイリング管長は言っています。「そして,長い間待ち望み,約束されてきたシオンに住むという高貴な賜物に,皆さんの愛し仕える人々や皆さん自身をふさわしくしてくれるのは,主を信じる信仰と,主の無限の贖いの完全な力です。」


来るべき日に備える

救い主のもとに来ることは個人の献身の問題であり,物理的な場所の問題ではないと,現代の預言者たちは教えています。


「教会初期の時代,改宗はしばしば移民をも意味しました」と,ネルソン大管長は説明しています。「しかし今日では,それぞれの国に民が集められます。主は聖徒たちに,各々の生まれた国においてシオンを打ち立てるよう命じられました。」


家庭,支部,ワード,ステーク,地域においてシオンを築くというチャレンジと祝福を受け入れるとき,わたしたちはジョン・リンフォードとマリア・リンフォードとともに,自分たちの子供や孫があらゆる国民,部族,国語の民の中にあって「シオンで成長して家庭を持つことができる」日を待ち望みます。


まず主と主の義を求めるとき,わたしたちは「主の王国が地上に進み行くように……,地に住む者がそれを受け入れて来るべき時に備えられるように」と祈ります。「そのとき,人の子は,地上に建てられた神の王国に会うために,その栄光の輝きをまとって天の中を降って来る」でしょう(教義と聖約65:5)。


※本日もお読みいただいてありがとうございます。

このお話は、末日聖徒イエス・キリスト教会2021年9月号リアホナからご紹介しました。

赤字は、追加しています。

(再掲になります。)

良い1日をお祈りします。