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キリストにあってさらに大いなる者となる:傾きのたとえ

2021-10-11 04:42:06 | 日記
キリストにあってさらに大いなる者となる:傾きのたとえ

クラーク・G・ギルバート長老
七十人

  主の定められた時に,どこから出発するかではなく,どの方向に向かうかが最も重要です。

  少年のころ,わたしは大きな望みを抱いていました。ある日,学校から帰ったわたしは言いました。「お母さん,ぼくは将来何になればいいかな。プロバスケットボール選手,それともロックスター?」残念ながら,「歯の抜けた」クラーク少年には,将来スポーツや音楽で成功する見込みはありませんでした。そして幾多の努力にもかかわらず,学校の勉強では上級クラスへの選抜に落ち続けました。とうとう先生から,普通クラスで地道に頑張るよう勧められてしまいました。時がたつにつれ,力不足を補う学習習慣が身につきました。でも,自分の知的および霊的な可能性が見え始めたと感じたのは,日本で伝道していたときです。わたしは熱心に努力し続けました。しかし人生で初めて,自分の成長に意識して主にかかわっていただき,すべてが一変したのです。





  兄弟姉妹,この教会では,わたしたちは神のすべての子供たちに神聖な可能性と,キリストによってさらに大いなる者となる能力があると信じています。主の定められた時に,どこから出発するかではなく,どの方向に向かうかが最も重要です。

  この原則を示すために,基礎的な数学を用いましょう。総大会で「数学」と聞いて,うろたえないでください。BYUアイダホ校の数学の教員たちが,この概念は初学者でも理解できると保証しています。直線の式から始めましょう。切片が,今回の話の中では出発点です。出発点である切片は,位置が高いことも低いこともあります。直線の傾きは,上向きの場合もあれば,下向きの場合もあります。

  人生において,わたしたちの切片はそれぞれ異なります。——異なる場所から出発し,境遇も異なります。生まれたときに切片が高く,機会に満ちている人がいます。最初の時点で,困難の多い,不公平に思える状況の人もいます。その後,人は個人の成長という傾きに沿って進歩します。わたしたちの将来は,出発点ではなく,傾きによって大きく左右されます。イエス・キリストは,わたしたちの出発点がどこであろうと,神聖な可能性を見ておられます。主は,貧しい人,罪人,心身の弱さを抱えた人,漁師,取税人,さらに熱心党の人の可能性を御覧になっていました。どこから出発しようと,キリストはわたしたちが与えられているもので何を行うかを考慮されます。この世はわたしたちの切片を重視しますが,神は傾きを重視されます。主は御自身の計算法で,人が傾きを天に向けられるように最善の助けを与えてくださいます。

  この原則は,苦しむ人々に慰めを,そして恵まれている人々に立ち止まって考える機会を与えます。まず,難しい状況を出発点としている人にお話しします。貧困や少ない教育の機会,また困難な家庭環境等が含まれるでしょう。身体的な障害,心の健康に伴う制約,強い遺伝的傾向を抱えている人もいるかもしれません。出発点が難しい状況で苦しんでいる人は,救い主がその苦しみを御存じであることを心に留めてください。主は「御自分の心が憐れみで満たされるように,また〔わたしたち〕を〔わたしたちの〕弱さに応じてどのように救うかを……知ることができるように,〔わたしたち〕の弱さを御自分に受けられ」ました。

  難しい状況を出発点としている人に,二つの分野において励ましの言葉をお伝えします。まず,出発点ではなく,どこに向かうかに集中してください。自分の状況を無視するのは正しくないでしょう。——それは現実であって,対処する必要があります。しかし,困難の中での出発に意識を向けすぎると,それがあなたを閉じ込めて,あなたの選ぶ能力を制限してしまうことさえあります。



  何年も前にわたしは,マサチューセッツ州ボストンで,福音も教会の期待事項もよく知らない都心部の青少年たちとともに過ごしました。彼らの状況に対する理解と気遣いを,神の標準を下げてあげたいという思いと混同してしまいそうになりました。最終的に,愛を示す最も強力な方法は,決して期待を下げないことであると悟りました。知るかぎりのすべてのことを行い,ともに彼らの持つ可能性に焦点を当てていくと,青少年の一人一人が自分の傾きを高くし始めました。福音において,彼らは緩やかに,しかし着実に成長しました。今日,彼らは伝道に行き,大学を卒業し,神殿で結婚し,私生活でも仕事でもすばらしい人生を送っています。



  次に,あなたの傾きが上に向くよう主に助けを求めてください。わたしがBYUパスウェイ・ワールドワイドの学長を務めていたとき,ペルーのリマで大規模なディボーショナルに出席しました。

  カルロス・A・ゴドイ長老が話者でした。ゴドイ長老は集まった人々を見渡し,多くの忠実な第一世代の大学生を見て圧倒されたようでした。自身のかつてのつらい境遇を思い起こしたのでしょう。ゴドイ長老は気持ちを込めて語りました。主は「皆さんが自分で行えないところは助けてくださるでしょう。〔ですから〕このプロセスで主に助けを求めてください。」預言者ニーファイは,「わたしたちが自分の行えることをすべて行った後に,神の恵みによって救われる」と教えています。わたしたちは,悔い改めを含め,最善を尽くさなければなりませんが,主の恵みによってのみ,自分の神聖な可能性を実現できるのです。





  最後に,高い地点から出発している人に二つのことを助言させてください。

  まず,自分で生み出したのではないかもしれない状況で,謙遜でいられるでしょうか。BYUの元学長であるレックス・E・リーは,学生たちに次の言葉を引用しました。「わたしたちは皆,自分が掘ったのではない井戸から飲み,自分が起こしたのではない火で暖まってきました。」そしてリー学長は学生たちに,得たものを還元し,先駆者の築いた教育の井戸を満たすよう呼びかけました。ほかの人が植えた畑に種をまかないことは,タラントを増やさずに返すのに等しいことになりかねません。

  次に,出発点が高いことに意識を向けすぎると,実際には内なる傾きがかなり下降していても,自分は成功していると感じるわなにしばしば陥ります。ハーバードのクレイトン・M・クリステンセン教授は,最も成功するのは最も謙遜な人たちである,なぜならほかの人から誤りを正してもらい,学べるだけの十分な確信のある人だから,と教えています。

  D・トッド・クリストファーソン長老は,「喜んで改善の勧めを受け,さらには自ら勧めを求める方法を見つける」よう助言しています。物事が順調にいっているように見えても,祈りをもって請い願い,改善の機会を探さなければなりません。

  出発点が恵まれていようと厳しい状況であろうと,神をパートナーとするときにのみ,人は自分の最高の可能性を達成することになります。最近,全国的に有名なある教育者と話をし,BYUパスウェイの学生たちの成功について尋ねられました。彼は聡明で,質問は心からのものでしたが,明らかにこの世的な回答を求めていました。わたしは定着プログラムとメンターの取り組みを紹介し,最後に次のように言いました。「これらはどれも優れた制度ですが,学生たちが進歩しているほんとうの理由は,彼らに神聖な可能性を教えていることです。もし生涯にわたって,あなたは成功できないと言われ続けたらどうでしょうか。では,あなたはほんとうに神の息子あるいは娘であって,神聖な可能性を持っていると教えられたらどのような影響があるでしょうか。」彼は少し間を置いてから,短く答えました。「それは力になりますね。」

  兄弟姉妹,この主の教会がもたらす奇跡の一つは,わたしたち一人一人がキリストによってより大いなる者になれることです。奉仕し,還元し,悔い改め,より善い人になる機会を会員にこれほど多く提供する組織を,わたしはほかに知りません。出発点が恵まれていようと厳しい状況であろうと,わたしたちの目と傾きを,天に向け続けましょう。そうするときに,キリストはわたしたちをより高く引き上げてくださいます。イエス・キリストの御名により,アーメン。

※お読みいただいてありがとうございます。

2021年10月総大会末日聖徒イエス・キリスト教会から、ご紹介しました。

良い1日を。