益田森林・林業普及情報

島根県西部農林振興センター 益田事務所

小川 眞先生と一緒に海岸マツ林を歩きました。

2008年02月15日 | 森づくり
 2/8の午前中は、
 翌日の「海岸マツ林のつくり方研修会」の下見も兼ね、
 小川眞先生と県立緑化センターのS調整監と一緒に
 益田市中島町大塚及び中須町の海岸マツ林を歩きました。

  
 次の写真は、昨年6月に撮影したものですが、
 林内は、常緑広葉樹等が繁茂し、鬱蒼としています。

 この辺りは、海岸の最前線に近く、
 割とクロマツが枯れずに残っている箇所です。 


 写真1 海岸マツ林


 ところが、小川先生によると、
「ここのクロマツは、すごく弱ってる。」
 らしいのです。

 クロマツの芽を見られて、
「全然、芽が伸びてないでしょ。」
「普通、今の時期、白い芽が伸びてるんですよ。」
 とおっしゃいました。
 

 写真2 大塚地区に残っているクロマツの芽


 地面を掘ってみると、
 黒い腐葉土が10cm以上も堆積しています(写真3)。
 

 写真3 海岸マツ林内の厚く堆積した表土

 小川先生によると、
 この表土が、マツの成長に悪いということです。
 表土が堆積すると、
 マツの根にショウロ等のキノコ(菌根菌)が付かず
 根が腐ってしまうそうです。

 
 次に中須に移動し、
 中須地区でマツの植林が始まって間もない頃
 植えられたマツを見ました。

 この辺りは、表土がほとんどなく、
 落葉が薄く散らばっている程度で、
 コツブタケという菌根菌のキノコもよく生えます。

 芽を見てみると、白い芽が良く伸びており
 このマツは、健全な状態だということです(写真4)。
 この白い芽は、その形を見立てて、
 通称“ロウソク”と言うそうです。


 写真4 中須の健全なマツの白い“ロウソク”


 私は、単純に腐葉土がある方が、
 樹木の成長に良いと思っていましたので、
 正直、意外なお話でした。

 他にも、意外な話をされました。
「枝の伸びすぎは良くありません。」
「枝が1mも近く伸びて、葉っぱが疎らにしか
 付いていないのは、徒長です。」
「徒長したシュート(新しい枝)は、
 マツノマダラカミキリの良いエサです。」
「最近のマツの伸びは、全国的におかしい。
 窒素過多で伸びすぎなんですよ。」 

 私は、成長が良いのは、樹木が元気な証拠で
 良いことだと信じていましたので、大変驚きました。

 目からウロコの話ばかりです。
「これは、絶対、午後の講演は聞き逃せない!」
 と思いました。

 
 投稿者 島根県西部農林振興センター益田事務所林業普及グループ 
     主任林業普及員 大場寛文

 ~清流高津川、山の緑に映える柿色の瓦屋根の町並み~ 
  なつかしの国石見(いわみ)





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