エテポンゲの独り言

残したい瑣末な話し

人生の岐路

2007年11月05日 | 妄想

大学を卒業した直後の事です。今で言うJR、当時は国鉄です。乗車してすぐに女性に声を掛けられました。

顔を見て直ちに記憶が戻りました。高校の同級生のⅠさんでした。一年生の頃から女子の中でも少し目立つくらいの可愛い人でした。

成績も良く、なんと言っても明るい性格で当時の男子生徒の間でも密かに人気がありました。私もほのかに好意を懐く女生徒でした。

けれども高校を卒業して4年も経っています。在校時はすれ違っても声も掛けられない間柄でした。そんな彼女が話し掛けてきた事に驚いたのです。

                 「○○君、久し振り・・」

                「おう、△△久し振りやなぁ」

                  「どうしてるのん?」

            「うん、俺今度結婚するんで富山に行くねん」

こんな会話を交わしました。当初は久し振りの再会に感動していた彼女の表情に翳りが見えたのを感じました。

それは、私が結婚する事を話した時からです。30年経った今の記憶を思い返しての事ではありません。その時に直ぐに解りました。「あ、まずい事言ったかな」と。

あの時は私も自分の結婚で浮かれていたし、若くて周りを見る余裕なんて無かった。せいぜい「へぇ、Ⅰさんも俺に気があったのかな。」くらいでした。不細工な己を顧みずに、案外にもてたのかなと思いました。

しかし今、当時の事を振り返ります。そうすると彼女の事を色々想像するにどうも独り善がりな気がしてきました。

彼女は貧乏学生の私等とは違い優良企業のOLのファッションでした。それから思案を廻らせました。

大企業に勤めた彼女でしたが、やはり目立つくらいに可愛いもんで上司との不倫愛になった。しかしそこにはお定まりの結末しかなかった。所詮正妻には勝てません。

そんなOL生活に疲れたⅠさんがたまたま出逢った高校の同級生に暗夜の曙光を見たのかもしれません。ごめんなさい、Ⅰさん貴女を愛恋地獄から救い出せずに。

 

勝手な妄想を書き綴りました。しかし前半は30年前の事実です。都会では知己が偶然に出逢う事なんか殆どありません。だからあの時の事はよく憶えています。もしあの場面で私がまだ婚約していなかったらと思うと不思議です。ひょっとすると私はそのⅠさんと恋に落ちていたかもしれません。だから未だにあれは私の人生の岐路だったと思っています。    だって今なら間違いなくフラフラと行ってますもん・・・


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