命を看取る・・・。
数日前のガイド中、息継ぎに浮上したはずのアオウミガメが、突然、僕の目の前に落ちて来た・・・。
その異様な光景の意味が解らずに観察していると、アオウミガメはとても弱っている様に見えた・・・。
何かの病気なのか老衰なのかは解らないが、痩せ衰えた身体は、とても脆く見えた・・・。
体力の衰えの為に、水中では何とか支えられた自分の重ささえ支えきれずに水面から落ちて来た事に気が付いて、直ぐに息継ぎをさせようと甲羅を掴み、水面まで持ち上げ呼吸させた・・・。
喘ぐ様に何度も何度も首を伸ばし、貪る様に呼吸を繰り返すが、その息吹はあまりにも弱く感じた・・・。
掴む甲羅も脆く、強く掴むと握り潰しそうだった・・・。
・・・・悲しくて泣けてきた・・・・。
突発的に、数年前、肺癌で亡くなった妻の最後の光景が想い出された・・・。
「海亀館に連れて行くか・・・?」・・・・島のウミガメの施設に連れて行って治療してもらおうかと一瞬考えたが、ここまで弱っていては無駄であろうという考えと、
今まで必死に生きてきた僕の手の中の野生の尊厳を穢す様な気がして、今、出来る僅かな事だけした・・・。
エキジット時間になったので、そのまま再び、水深7mの棚上に返した・・・。
帰港後、ゲストのランチ休憩中に、再び、出航した。
彼女は、弱った身体を横たえていた・・・。
また、水面に連れて行き呼吸させたが、先ほどより更に弱っていた・・・。
呼吸させ、再び、海中に戻し、静かに横たわらせた・・・・。
何かの拍子なのだろうけど、正面に置いた彼女が、「もういいのよ・・・。」とでも言う様に、顔を何度も横に振った・・・・。
眼を閉じ・・・、そして、ゆっくりと開ける・・・。
それを繰り返し、身体が弛緩していった・・・。
次のダイビングの時間が近づいたので、エキジットした・・・。
次のダイビングポイントはそのポイントから、かなり離れていたが、ガイド予定でなかったので、その間に行ってみた。
逆の潮流という事もあり、40分掛かって着いた・・・。
仰向けになり横たわっていた彼女が、そこに在った・・・。
「産卵」・「孵化」・・・ダイビング中に生まれる命を見届ける事は多い・・・。
しかし、「命を看取る」事は、それほどない・・・。
ダイブ・エスティバン
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