
カウンター友の会は、どちらかといえば個性的な人が多かった。
っていうか、アクの強い客ばかりで、よくも仲良くやれたもんだと今更ながら感心する。
もちろん客同士好き嫌いはあったが、事が起こればひとつになり、
真っ先に駆けつける団結力の強さは見事であった。
遠藤さんが四旬季を引き継いだのは、オープン6年目、
ちょうど市ちゃんが病に倒れた年だった。
この年は店主不在の期間が半年以上続き、
常連客も少しづつ遠のいていった。
どんな商売にも波がある。
オープン7年目がまさに冬。
市川を励まそう! 四旬季を盛り上げよう!
カウンター友の会から声があがった。
歩くことすらできない市ちゃんも、みんなに一目会いたいと、
ゴボウのようならだを押して、激励会に顔を出した。
このとき彼のからだは最悪の状態を迎えていた。
食事も喉を通らず、歩く事もできない状態になっていた。
病名は大腸がん。 すでに末期だった。



「祝 四旬季7周年 ガンバレ市川」
イベントは盛大だった。
参加者200人。
店には入りきれない人集りができた。
しかし、残念ながらその数週間後、市ちゃんは帰らぬ人となった。
「ありがとう」と言葉を残して・・・・
涙があふれた。
今でもその時のことは鮮明に覚えているが、
市ちゃんに寄り添い、懸命に看病した明美ちゃんの姿が印象的だった。
そして、その一年後
今度は追い討ちをかけるように、カウンター友の会で板橋メンバーのひとり、
近所のNさんが突然逝った。
享年55歳 友の会にもぽっかり穴が空いた。

Nの野辺送りをやろう!
このときも誰かが発起人になり盛大にイベント(偲ぶ会)を開いた。
悲しい時こそ、笑え!
映画『神様はバリにいる』ではないが、
イベントは笑いと涙に包まれた。
つづく