lunas rotas

いつまでも、完成しないことばを紡いでいこう

識字教育と映画「プレシャス」

2011-04-28 08:27:27 | Weblog
  DVDで「プレシャス」を見た。話題になっているときは見る暇がなかったから「今さら」感があったし、虐待もので抵抗もあったが、マライア・キャリーのすっぴんや大好きなレニー様の演技を見てみようという低俗な理由でお気楽にDVDを再生。
  ところが、本当に驚いた。識字教育に力を入れたブラジルのパウロ・フレイレの思想にも通ずる内容で、文字を獲得していくことが社会を変革していくことにつながることを訴えかける映画だった。考えることを無意識のうちに剥奪され、将来像を表現することは封印されている、そんな貧困者はフレイレの言う「沈黙の文化」の中にいる。この「沈黙の文化」が権力や暴力や抑圧を生んでいるが、そのことに貧困者は気付いていない。そして多くの権力者や抑圧者もそれに気付いていない。しかしそこから解放する過程を識字教育が担うのだ。字を覚えるということは、単に本や新聞が読めるようになったり友達に手紙が書けるようになるということではない。自分の住む世界を根こそぎ変える力なのだ。
  昔の話、以前の話ではなく、今を生きる強烈な物語だった。そして主人公の母親役のモニークの演技に大きな拍手を送りたい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿