lunas rotas

いつまでも、完成しないことばを紡いでいこう

「移民政策研究」からの論文

2011-09-28 04:54:33 | Weblog
  前回に続き「移民政策研究」学会誌の中の論文について。論文「結婚移住女性の適応過程と農村社会の変化」は、アジアの女性が日本人男性と結婚して農業を担いながらその社会に入っていく過程を研究しているが、受け入れる地域の変化にも着目して論じているところが大変興味深かった。来日した年代によってアジア女性が来日後の人生において何をしたか何ができるかが異なることを描くことで、その地域社会の土壌が変化していることが見えてくる。
  在留資格の分類によって、来日する外国人は期待も分類されているように思う。そのような区分けが外国人に何らかのアイデンティティを押しつけることになっていると思う。このような外国人妻に対してはとくにそれが強烈に存在するように思う。しかし、この論文からはたくましく生きる移民女性の姿が見える。周りの「嫁」としての役割を期待という段階から脱却し、女性の自己実現のあり方までも示唆するかのような論文だ。
  日本語教室はこういった問題に気付き、立ち向かえる立場にあるような小さな光も見える。
  また、この論文の研究手法もとても参考になる。このような描き方もあるのだと知った。

「移民政策研究」

2011-09-26 05:01:12 | Weblog
  移民政策学会の学会誌最新号。どれも興味深い論文。その中の「リベラルな移民国家における難民保護の質的変容―ドイツの事例から」は、ドイツの移民受け入れの体制や概念の変化がつづられている。「われわれは移民国会ではありません。われわれは多文化・多民族社会を得ようと努めるわけではありません」との論理は、これをヨーロッパの中の一国と考えて読むと、さらにいろいろな示唆を感じる。しかし現在、社会統合という意味ではドイツは他国より一歩進んでいると私は理解している。

フィリピンン大統領とEPAの候補生達

2011-09-19 07:07:22 | Weblog
 フィリピンのアキノ大統領が来週来日する。アキノ大統領はEPAの受け入れ緩和に力を入れたいと考えているようだ。天皇に会われたり被災地の石巻に行かれたり忙しいようだが、25日には日本で研修中のEPAの候補生達も招待したミーティング(?)が東京で行われるようだ。彼らは大統領に会うと言っていたが、チャンスはあるだろうか。いずれにしろ国を挙げての大事業という意識づけが候補生たちのモチベーションを更に高めることになれば嬉しい。 http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/9/0916_01.html


定住者介護就労訓練

2011-09-15 07:49:02 | Weblog
  友人の紹介で、神奈川県が実施する標題の訓練に協力することになった。訓練は来年1月開始だが、訓練内容について打ち合わせなどがぼちぼちと始まっている。受講生はまだ分からないので、当然日本語使用をどの程度する方々なのか不明。そういうときはテキストなどを決めても、変更することもあるという前提で決めておくのだが、今回は変更できないらしい。人数、国籍、性別、日本語力、生活スタイル等あらゆるバックグラウンドに対応できるよう、しかし焦点がぶれないよう、どんな内容にするか頭を悩ませている。分かっているのはその時点では日本に住んでいること、定職には就いていないはずということぐらい。さて、どうしましょうか、楽しみでもある。

「協働」の先にあるもの

2011-09-14 07:22:42 | Weblog
  買ってからずいぶん日がたってしまったけど、やっと「プロセスで学ぶ レポート・ライティング」(細川・舘岡・小林)を読んだ。
  「教室の中の協働」というのは、その先に何があるのだろうか。自分の考えを表出して、そこから対話が起こって、そういう過程が協働であるとは思うが、それは何を目指しているのかというのが教室の中の何かに限定されているとしたら、それはやっぱり協働概念なく教室活動をしていたときと同じ虚しさを感じることになる。その先に何があるのか、それが少し見える著作だ。特に第1部の書き方は視点が面白くて斬新さがある。
  姫ちゃんのイラストも妙に味があるね。

学会誌

2011-09-13 07:38:06 | Weblog
  「日本語教育」最新号に山本冴里さんの報告が掲載されている。相変わらず目の付けどころに感心してしまう。国会の発言をテキスト化して分析し、整理している。こういうことは気になることはあっても、なかなかデータ化しようという行動には移せないものだが、冴里さんはやってくれている。さすが。時系列的に分けて、その年に頻繁に見られる名詞がネットワークとして概念化されている。政治の世界では日本語教育がどのような文脈で語られてきたのかが分かって興味深い。
  

介護職員のボランティア日本語教室

2011-09-12 07:29:59 | Weblog
  錦糸町界隈を歩いていたら、偶然2人の知人に会った。外国人介護職員のためのボランティア日本語教室を担当している知人で、その教室の帰りだったよう。その方々と話していて、無料の日本語教室というのはありがたいことではあるけれど、継続性ある参加という点では難しいのだなあと思った。日本在住の外国人介護職員というのは、仕事があって、子どもがいて、忙しい日常を過ごしているので、かなり意識が高くそしてそれが維持できないと、介護福祉士になろうという気概を持つことは困難。そういった気概を期待するよりも、彼らの生活や気持ちに寄り添って日本語教室を進めていくことが求められるのかもしれない。