歴程日誌 ー創造的無と統合的経験ー

Process Diary
Creative Nothingness & Integrative Experience

樂者天地之和也 禮者天地之序也-美にして善なる価値の実現のために

2008-07-05 | 美学 Aesthetics

樂者天地之和也  禮者天地之序也 和故百物化 序故群物皆別

yue4 zhe3 tian1 di4 zhi1 he2 ye3, li3 zhe3 tian1 di4 zhi1 xu4 ye3. he2 gu4 ba3i wu4 hua1 xu4 gu4 qun2 wu4 jie1 bie2.

楽は天地の和なり 礼は天地の序なり 和なるがゆえに百物みな化し 序なるがゆえに群物皆別あり

古典時代の中国の思想には様々な側面があったが、私が注目するのは、超越的なるものと内在的なるものとの統合である。すなわち天とは超越であり、地は内在である。両者は互いに求め合う。天を陽、地を陰として単なる陰陽思想のみでこの一節を理解するものは浅薄の謗りを免れまい。超越的内在、内在的超越こそ孔子の詩的直観、倫理的洞察の根本にあるものである。そして超越と内在の調和を美学的に表現するものが「音楽」であり、倫理的に表現するものが、「礼」である。この宇宙に倫理的な「善」の実現をもたらすと共に、「美」をも実現しなければならない。倫理的価値にほかならぬ「善」には、「序」すなわち一定の規律に従った実践が不可欠であり、「多様性」への配慮がなければならぬ。これにたいし「美」は、超越と内在の「一」に帰するところをハルモニアをもって表現する。それによって、善という価値と美という価値の統合が成立し、此処において「仁」という人間的な徳に基づく教養が完成するのである。
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