７年前の明日

　当然のことながらここは平常営業だった訳だが｡

　当日通った､｢(# ｀Д) ＜とんかつですかー！｣の有名店が､今月一杯で白山通りから姿を消すらしい｡
　三田線で通勤していた頃､初めて店の中に入って食べた時の愛想のなさと､対照的に分厚いとんかつ､それと山盛りのキャベツの千切りにショックを受けたのを思い出す｡まずとんかつが柔らかくてうまい｡富士山みたいにたんと載ったキャベツも､ソースをかけると水分が抜けて食い終わる頃にはシナシナになるからで､だからアレはアレでいいんだと納得した時は考え付いた人はスゴいと素直に思ったものだ｡
　とにかく食べることを楽しんでもらうのに集中するシステムだから､客も従う｡戸を開けたら閉める､混んでる時は順序よく長椅子に腰掛け荷物は窓辺に置く､そして

｢(# ｀Д) ＜とんかつですかー！？｣

と､訊かれるので即座に答える｡ヒレならヒレとちゃんと答える｡
　席は店員の指示に従う､出されたお茶は手元に置く､ケータイは外で､カップルの並びはナシ(近年解除になった模様)と色々注文の多いトコだが､とんかつがうまいからどうやってそれを食べて｢楽しんで｣帰るか､俺なんかはそればかり考えてた｡メシのペース､とんかつのペース､キャベツのペースとバランスよく食べて最後､メシの一粒､とんかつの一切れ､キャベツの一摘まみを口の中に放って好く噛んでから､お茶で飲み込んで｢ごちそうさまでした｣と挨拶して店を出るのがベスト｡勿論戸を開けて閉じていくのも忘れない｡まるで禅寺で修行して出てきたような感覚さえ覚えた｡
　震災の当日は､13時過ぎに店に入って揺れる１時間前に出たような記憶がある｡その辺は過去ログにあるのでアレだが､まぁ都内があの程度で済んだから､店の方もしれっと平常営業で20時ぐらいまで普通にやってただろうと思う｡それから７年､永遠にずっとやってるんだろうなぁと思っていたが､先月ネットで天ぷらととんかつ両方の店を閉じるニュースが｡地震には勝てても､うーん･･･
　最後の｢(# ｀Д) ＜トンカツデスカー！？｣､こんどグランデに行った帰りに聞きに行こうかと思う｡