さぁ､これからどうしようか…

　５年前の2010年春４月､俺は悩んでいた｡
　中旬まで｢病休｣扱いだったのが､下旬正式な｢休職｣になる｡給料は一応出るものの､10割勤務の三分の一＋天引きで､その不足分を補う傷病手当給付金は休職になってから３ヶ月は出ない｡
　手元には満期で支払われた簡保の保険金がある｡しかし好きな金失は止められないから､今のペースでやってたらすぐに底をつくだろう｡

さぁ､コレからどうしようか

　てっぺんにひょいと雲を載せた鳥海山とニラメッコして､ウンウン悩みながらEF81 129牽引の4096ﾚを撮った｡
　帰りは陸西線回りで､ウォークマンに入れた拓郎とムッシュの『シンシア』を聴きつつぼんやりと田んぼを眺めながら｢明日はどうしよう？｣と色々考える｡

｢まあ､なるようにしかならんでしょ｣

　結果､夏は何時までもお天気が続いて此方も消耗戦になり､当然あれほどあった簡保の保険金も稲刈り前に消えて､その年の秋・冬は肝心処で一歩も出られなかった｡
　アレは仕挫ったと後悔しても仕様がないし､まぁなるべくしてこうなったのだから文句は言うまい､そう心に決めて黙って耐えることにした｡

『まぁあのときはぼんやりとしてて､何にも見えなかったしな』

　それなりにしんどい思いをしたからこそみえたものがあって､今こうして仕事も金失も『無理せずやれる範囲で』やってる訳で｡いいんでないですか｡
　尤も､痛い目に遭わないと分からない俺のバカっぷりは相変わらずだけれど｡