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蝦式電影生活(新館)

ずっとほったらかしやったんですけど、ブログ人のサービスが終了するらしいんで、ここを作って過去のデータを引っ越しました。

ご当地映画?「忍-SHINOBI-」

2005-10-17 23:55:00 | 映画館へ行こう。
ここんとこ滋賀会館シネマホール
上映作品があまり登場してません。すんませんのぅ。

今日の作品は、大津パルコユナイテッドシネマで鑑賞。

ユナイテッドシネマ大津では、シネマホールとの共同企画、
<大津・秋の韓流シネマ大特集!>として、
今週はソン・イェジンの「ラブストーリー」と、
イ・ヨンエ&イ・ジョンジェの「ラスト・プレゼント」を上映中☆

22日からは「彼女を信じないでください」「同い年の家庭教師」と、
シネコンの大スクリーンながらも、ミニシアター系の韓国映画が続きます♪


さてさて、SHINOBI
甲賀者のえびてつにとっては、故郷が舞台の
ご当地映画です。

オダギリジョーだ仲間由紀恵だとか、
主題歌は浜崎あゆみだとか、
映画ファンドで個人投資家から資金を集めたとか、いろいろ話題になっております。


原作の「甲賀忍法帖」は、荒唐無稽も度が過ぎる、
ひっくり返るほどの面白さ。
どこをどう捻ったらこんなアイデアが出てくるのか。
山田風太郎、恐るべしです。

徳川家の後継ぎを決めるために、
甲賀と伊賀、双方10名づつの忍者たちが死闘を繰り広げる…

で、この「忍法」が凄すぎるのです。
水の上を走るとか、ドロンと消えるとか、
ニンニン言うとか、忍法エレキャットにゃりん!とかとは
次元が違う。違い過ぎる。

【忍法の例】
◆手足が無くて、芋虫みたいに地面を走る。
◆クモの糸みたいなねばっこい痰が吐ける。
◆体毛が針のようとんがるズラ。オーノーだズラ。
◆刀で切れないゴムゴムのデブ。
◆自分の汗で溶ける汗かきナメクジ。
◆あまつさえ、「死なない」なんてのは忍法なのか?


時間の関係もあったのでしょうが、
今回の映画化では忍の数が「双方5名」に数が半減していました。
しかも、キャラが立っているのが数人なので、
(室賀豹馬なんてただの占い師状態やもんな。)
「全面抗争!」のニュアンスが出ていないところが残念です。

また、やたら絵が暗かったりなど、
基本的な撮影スキルに「?」と感じてしまうのと同時に、
ちゃっちぃCGを乱発されるのもどうもなー。
学芸会みたいな衣装も、なかなか世界に入れなかった一因かもしれません。

大好きな原作で、オダギリジョーや仲間由紀江はもちろん、
「パッチギ!」の沢尻エリカに、薬師寺天膳には椎名吉平など、
旬の役者が揃っているだけに
作品の出来自体は非常に残念です。
(ていうか、原作が偉大すぎたか?)

月に向かって飛ぶ弦之介とか、
絵になるカットも散見されただけに、もっと上手く繋いで欲しかったと残念無念。


民間の映画ファンドで資本を集めた、
国内最初の作品ということでしたが、
オフィシャルサイトは非常に凝った作りだし、
広報にもかなり力がつぎ込まれていた様子。

あゆや仲間由紀恵、と話題性は十分でしたが、
制作費用が映画として肝心なところへ周っていなかったような気がしてなりません。

投資家の期待にこたえるには、
「外向き」のPRの方が大切だったんでしょうか。

「映画ファンド」という、初めての試みの第一作なだけに、
製作資金を集めるという作業が
作品の足を引っ張るという矛盾した結果に終わるのではないか、
システムの今後が非常に心配でもあります。

「蝦式電影生活」にしては珍しく、辛口な評価になってしまいましたが、
今後の「映画ファンド」のあり方を案じてのことだとお考えくだされば幸いです。



伝説の作品再び。「8月のクリスマス」

2005-10-11 00:13:23 | 映画館へ行こう。
「四月の雪」が公開中のホ・ジノ監督作品、「八月のクリスマス」。
ハン・ソッキュとシム・ウナ、韓国の名優が演ずる
ホ・ジノの長編デビュー作は、何度観てもその度に泣ける、
えびの最も好きな作品の一つです。

さて、この「8月のクリスマス」
滋賀県草津市出身のミュージシャン、山崎まさよし
期待の新進女優関めぐみのコンビで、
「八月のクリスマス」をリメイクした邦画。
京都シネマで鑑賞しました。
映画の日、ということもあってか、場内は満席。
ミニシアターで満席になっているのを観たのは久しぶり。

(なお、日本では
 韓国版「八月のクリスマス」
 日本版「8月のクリスマス」と書き分けられていますが、
 韓国版の原題は「8月? ?????」【パロレ クリスマス】と
 「8」の字が使われています。しかも「月」は漢字。
 以上、めちゃめちゃニッチな教養講座。)

で、いくらまさやんとはいえ。
いくら関めぐみとはいえ。

公開前は随分心配しておりました。
合格発表前の受験生のように。
初めて自転車に乗れた日の翌日のように。

だって、原作が素晴らしすぎるし、
個人的にも非常に思い入れのある作品ですから。

これを超えるのは容易ではないし、
しかもイメージ壊されたら嫌やな~、とかなり心配もしていました。
関めぐみ、役に対して可愛すぎる気もするし。


さてさて、実際の「8月のクリスマス」。
当初の懸念を払拭する、よく出来た作品でした。

映画の当初は、カット割から台詞回し、
出演者(特に関めぐみ)の細かな表情にいたるまで、
リメイク版というより、再現版ではないかと思うほど、
ホ・ジノ作品へのレスペクトを感じました。

中盤、「由紀子(=韓国版のタリム)が新人教師」という
「8月」独自の設定が生きてくると、ラブストーリーにフォーカスした
オリジナリティがぐんぐんと映えてきて。

結局。
「八月」を大切にしたいえびの想いは害しないまま、
4回見て4回泣いた「八月」と同様、
「8月」にも、終盤の台詞のない部分にぼろぼろ号泣。
(でも、隣の席のおねいさんのお腹がなっていたよ。このシーンで。)

「君は、神様がくれた最高のプレゼントでした。」

(って、この台詞、イ・ヨンエの「ラスト・プレゼント」の
 コピーにかぶってるのに今気付きました。
 「あなたは、世界が私にくれた最高のプレゼント」ってやつ。)

「八月」とは明らかに違う作品ですが、
「8月」独自の良さを持った、名作になったと思います。







「エレニの旅」@滋賀会館シネマホール

2005-10-10 23:15:09 | 映画館へ行こう。
滋賀会館シネマホールでの上映は
終わってしまいましたが、
やはり何か書かずにはいられません。

ギリシャの巨匠、テオ・アンゲロプロス監督の「エレニの旅」

前作の「永遠と一日」で、テオ・アンゲロプロス監督作品に
初めて接したのですが、
その時は思わず劇場でサントラを衝動買いしてしまいました。

映像と、音楽と、物語と。
その聖三位一体が紡ぎ出す作品。
その美しさに圧倒されました。

そして、「映画」というジャンルの芸術の
奥の深さを感じさせられた気がしました。

テオ・アンゲロプロス監督(長い上に舌噛みそうなので、以下「テオやん」と略)の
6年ぶりの新作となったこの「エレニの旅」も、
当時のような感動を与えてくれる作品でした。

6年間。
橋下を流れたたくさんの水に、
えびは随分スレてしまったにも関わらず。


物語だけを追いかけるなら、この作品は
迫害・追放と逃亡、流浪の物語です。

主人公・エレニは幼子の時に革命で孤児となり、
成長してからは養父の手を逃れ逃亡。
夫や子どもは、世界大戦や内線に巻き込まれ、
エレニ本人も獄中の生活を送る…

エレニは多分、「庶民」を代表する存在なのでしょう。
時代の激動に翻弄される無力な存在の、
悲劇を具象化した存在なのでしょう。

不幸にして「現代ギリシャ史」に通じていませんので
詳細は分かりかねますが、
20世紀にギリシャの地を生きた人たちにとって、
エレニの苦悩は、自分自身や、両親や、曽祖父の苦悩として
感じられたのではないでしょうか。
だからこそテオやんは、決して大衆ウケする作風ではないにもかかわらず、
テオやんはギリシャの国民的映画監督として評価されているのだと思います。


では、その苦悩を上手く共有できない我々にとって、
「エレニの旅」はどう楽しむべき作品なのか。

もちろんエレニの苦悩は、
人類にとって普遍のものだという側面もあるでしょうが、
悲しみの物語を綴る映像と音楽、その美しさに驚嘆しました。

まずはこの作品、ワンカットがとても長いのです。
しかも、カメラは固定されておらず、常時動いています。

町の中を舐めるようにカメラが動いていくと、
そこに息づく住人たちがつぎつぎとフレームに入り、消えていきます。

えびもいくつかの作品にエキストラとして参加し、
映画が生まれる現場を体験してきていますが、
こんな撮り方をするには、ボーダイな計算と
労力と人手が必要だと感じました。

また、物語中半で水没する村「ニューオデッサ」。
この村は、撮影のためにまるごと造営され、
実際にスタッフがそこで生活をした上に、
なんと本当に水の下に沈められた(!)そうです。

CG全盛のこの時代に、ホンモノが与える
インパクトを突き詰めたこの作品は、
舞台のように計算された、幾何学的な人物や建造物の配置ともあいまって
どのシーンを切り取っても、絵画的な美しさを感じさせてくれます。


そして、これまでからテオやん作品の音楽を担当する
エレニ・カラインドルーによる曲は、
劇中の多くの登場人物により奏でられます。


物語、映像、音楽。

映画というジャンルの特性を活かしきった手法を操る
テオやんの過去の作品も、ぜひ観て見たいと思っています。



ホワイトバンドプロジェクト

2005-10-04 09:15:00 | 心に通じる道は胃袋を通る。
ホワイトバンドも随分有名になってきました。
最近はそこいらへんで目にします。

貧困の解決を「ファッション」にしてしまうことには
賛否両論ありますが、
えび的には、放っておいたら絶対にドネイションとか
しない層を巻き込んだ「仕掛けづくり」は凄いと思う。

でも、考えたら「赤い羽根」とよく似た理屈なんやけど。
でも、寄附は嫌じゃなくても、あの羽根付けたいとは絶対思わへん。

ホワイトバンドも、一定以上普及するとそうなるんかなぁ。


えびてつの腕のバンドを観て、
「最近良く見るけど、それ何?」って聞かれることが増えました。

当初は趣旨を説明してたけど、最近は
「イカリング。フリッターにするとさくさくして美味しい。
 イカの好きな人がつけるシンボルやねん。」
と布教することに専念してます(するな。)

本人が疑問に思って、ホワイトバンドのことを
調べてくれたら、そのほうが理解も深まるかなと思って。

ま、イカも好きなのですが。