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蝦式電影生活(新館)

ずっとほったらかしやったんですけど、ブログ人のサービスが終了するらしいんで、ここを作って過去のデータを引っ越しました。

三尊一体の秘仏開帳@長命寺。

2009-10-26 01:06:25 | 仏(ブツ)を見る。

うぉー、背筋痛てェ!!

最近、連日のライブ参戦で鍛えてるつもりやってんけど、
やっぱホルモンは変な筋肉使うわ。
他のアーティストでは痛くならんよな、背筋…

さて、そんな体に鞭打ち今朝は6時出発。
制服の自衛官と警察官と消防隊員が数百名ずらりと整列する仲を、
一人スーツにメガネ、ブリーフケースで携帯肩にはさんで動き回るという、
ハリウッドの戦争映画に出てくる厭味な大統領特使みたいな仕事。
…春の異動以降、不思議な仕事多いよなー。

で、お楽しみは午後のお仕事。
西国三十一番札所、長命寺の秘仏開帳に行って来ました♪
琵琶湖に面した急峻な山の上にある近江八幡市の長命寺。
お寺に向かう参道では、白装束に「同行二人」ロゴの入りメッセンジャーの
お遍路さん、いわゆるオヘンローラーも結構目に付きました。
800段余りの石段を上がった所に開ける伽藍の中では、
丹塗の色がシャア専用を思わせる三重塔と、
大ぶりの屋根にぐっと括れたウェストラインが不思議な鐘楼がステキ。

05463

で、今回何と61年ぶりにご開帳されているのは、本堂にあるご本尊。
ここの内陣にいたはる本尊は少し珍しく、聖観音、千手、十一面の
三人揃って本尊です♪という「Perfumeスタイル」なのです。
(普通は三人いても、両側は「脇侍」というサポートメンバーなんよな。
 ちなみに、三人がいる厨子の両脇に毘沙門と不動明王がいたので、
 こいつらがワキジーズを務めている様子。)

上手の十一面は、園城寺(三井寺)の十一面を思わせるちびっ子。
下手にはシンプルで正統派美人の聖観音。
そして中央の千手は、やたらと写実的な42臂(やったかな?)の腕に
衣にはくっきりと残った黄金の切紋が。
この切紋がペンライトの光を反射し、厨子の中でキラキラ輝く姿は、
まさに長命寺ディスコッ!!コッ・コッ・コッ♪

この本堂には、本尊以外にも面白い客仏も多く、
また隣の三仏堂には阿弥陀・薬師・釈迦と
過去・現在・未来をつかさどるお三方が。
ブツも盛り沢山で建物も素敵。
森に囲まれた長命寺、この季節は最高に快適な場所です。

この秋、滋賀県では石山寺、岩間寺、三井寺などの名刹で秘仏開帳が相次ぎます。

これ逃すと次は何十年後かわからへん、という
外タレの来日公演みたいなもブツもザラですので、この機会お見逃しのないように。


『阿修羅展』に見るロケンロー。

2009-05-05 10:55:46 | 仏(ブツ)を見る。

武道館での「亀の恩返し」を目的に上京したついでに、
上野・東京国立博物館での『国宝 阿修羅展』に行ってきました。

奈良・興福寺で見慣れてる八部衆ですが、
わざわざ東京に来てまで見に行くのは、
この国立博物館の展示、いつもいつも見せ方が実に上手いので。

寺では見えない側面や背後からの鑑賞も可能で、ライティングも見事、
阿修羅像の持つ草食系男子的な中性っぷりが一層引き立っていました。

しかし、過去の『国宝 薬師寺展』や『仏像 一木にこめられた祈り』といった
最近の仏像系大規模フェスでは、ヘッドライナーを務める仏像が
2~3m強の中規模仏やったのに大して、
今回のキラーコンテンツ、阿修羅像は五尺(150cm)程度の小兵。
しかも、360度のオールビューからの鑑賞が可能ということで、
阿修羅の周囲にはかなりの人の群れが!!

阿修羅の立つ円形のステージを観客が取り囲み、
じりじりじりと時計回りに回転しながら鑑賞するスタイル、
GW中でもあり、満員で入場規制中の場内は大混雑。

このステージ周りの密集感と熱気、オーディエンスの恍惚感、
スポットを浴びるステージと、そこに一転に注がれる視線とレスペクト、
「どこかで経験がある」と、ふとデジャブを感じたと思ったら、
そう、これスタンディングのライブとシチュエーションがそっくり。
(というか、もう全く同じ。)
ステージを囲んだ群集が、押し合いへし合い、円形に回遊する姿は、
一種のサークル・モッシュ状態でありました。

みうらじゅんの「仏像はロックだ」説はやはり正しいと、
今にも泣き出しそうな表情の阿修羅の前で、身をもって感じた次第。

…しかし、ここ東京国立博物館ですよ?
みうらじゅん作詞・高見沢俊彦作曲の阿修羅FC公式ソング、
「愛の偶像(ラブ・アイドル)」が流れる日が来るなんて、
数年前は想像もできひんかったなぁ…

みうらじゅんのことを、
「平成の柳宗悦である」と評する友人がいるのですが、
これはなかなか達見ではないかと思います。

民藝を掘り起こした柳宗悦のように、
とんまつり、見仏、ゆるキャラ、勝手に観光協会…
光の当たっていない地域の資源を再発見するみうら先生の偉業、
今はサブカルですが、将来的には違った評価を得るのではないでしょうか。


命名、せんとくん。

2008-04-16 00:59:01 | 仏(ブツ)を見る。

Sent
例の鹿坊主の名前が決まった。
「せんとくん」らしい。
「遷都くん」なんでしょうが、「St.くん」の音は、
仏教徒のみならず、他教徒の反感まで買いそうな…

追加公表されたデザインも、案の定気持ち悪い。

これはもう、どげんかせんとくん。
(ごめん、これ言いたかっただけ。)

ちなみに周囲ではずっと、
「きもいくん」ないし「カスガシカオ」で通ってました。


湖東三山、秘仏開帳。その2。

2006-10-16 23:53:39 | 仏(ブツ)を見る。

<前回よりつづく>

さて、この日二つ目のお寺は金鋼輪寺

黒門をくぐったすぐ横にある歴史資料館の前に
「顔出し看板」があるのが目に入りましたが、
顔を出したい思いをぐっと堪え、国宝の本堂を目指し
参道の石段を駆け上がります。

金剛輪寺の見物の一つが、参道沿いにずらりずらりとならぶ
小さなお地蔵さまと赤いかざぐるま。

Jizou
地蔵。

風が吹いてくると、風上から順にからからと回りだすのです。
今回は参拝客も多く、愛宕念仏寺のような不気味な感じは
ありませんでしたが、普段の夕暮れに一人で訪れるとかなりびびるので要注意。
今回、お地蔵様のシルエットがキューピーの「たらこ」
似ていることを発見。

Gallery3_01
たらこ。

無言でぞろり、と並んでおられる様子に、
脳内にはいずこからともなく「た~らこ~♪、た~らこ~♪」の
歌声が響いてまいりました。

今回公開されたのは、「生身の観音」と呼ばれる木彫りの聖観音。
何でも、あの行基が像を刻んでいると、いきなり像から血が流れ出したとか。
そこで行基は彫るのを止め、荒彫りのまま完成品とし、仏像を祭ったといいます。
(・・・そや、こんどから納品に間に合わなさそうな時はこの手を使おう。)

先の聖徳太子作に続き、今度の秘仏本尊は行基作。
東京国立博物館で開催中の仏像展にも負けないオールスターぶりですな。

ノミの跡を残したボディに、こけしのような形の輪郭。
全体的に簡素化されたラインが、
なんか「レゴの人形」みたいなイメージを持ちました。
Legondex_pickup_1 ←顔の形が、この人に似ている。

あ、今度レゴにパテ盛って観音作ってみよ!

金剛輪寺には、普段から魅力的なブツがたくさん。
外からは見えない後陣もワクワクしまっせー。
本堂内陣の左隅におられた、彩色の毘沙門がまたがる獅子は、
色といい形といい、「ドラえもん」にしか見えません。
体は青でお腹だけ白、しかもご丁寧に、赤い首輪と金の鈴まで!
柄の悪いおとっつあんみたいな半跏の大黒像も珍しいです。

その中に、端整なオトコマエの坐像の写真が。
この金銅製聖観音菩、何でも廃仏毀釈の折、
アメリカのボストン美術館に亡命してしまわれたそうです。
(なんでも、あのビゲローが連れて帰ったんやとか。
 どうもビゲ郎氏、何万点もの日本美術を守ったのか、
 それとも買いあさったのか、微妙なトコあるよなー。
 でも、ここで逐電させとかんと後世に残ったかどうか・・・
 バーミヤンの石仏しかり、もとに戻せんもんは壊したらアカン。)

舞台上手(?)の持国天、後やサイドから観たら
ケツがばばーんとでっかいのに、前からは結構スラリと見えて。
この持国天の着こなしをマスターすれば、
体形のコンプレックスにもオサラバじゃなくって?
ファッション雑誌の表紙を持国天が飾る日も近いでしょう。
「ハードな素材をシックに決めて
 2007冬の着こなしは持国天スタイルでキマリ!!」
みたいなん。
そして、ジコちゃん系の女の子が街に溢れたり。ないか。

もう少し秋も深まれば、「血染めのもみじ」として名高い
真っ赤な紅葉も楽しめるでしょう。
…うーん、しかし「地蔵の群れ」「生身」「血染め」
不気味なイメージが拭えない、不思議なムードのある寺です。

湖東三山の最後は、西明寺
本堂の近くまで車でのぼることもできますが、
ブツにアプローチするプロセスを楽しむ為にも、
ぜひ国道沿いの山門からの入山をお薦めします。

駐車場から山門へは、国道307号線を横切る必要があります。
見通しが良くないので、十分に注意してください。
山門をくぐって驚くのは、その先、参道が何と名神高速道路の上を通っているのです。
砂利や石垣で、一見違和感のない風景ですが、
まわりをよく観ると、そこは名神高速を横切る陸橋の上。
山を切り開いて高速道路が開通した、ってのがよく分かると思います。
(名神を走っている時も、甲良町に入ったら頭上を気にしてみてください。)

山門すぐの庭園にある天然記念物「不断桜」は、
11月に満開となる珍しい桜。もう花をつけていました。
(金剛輪寺の本堂前にも、少しだけ花をつけた桜がありましたよ。)
西明寺の参道は、コケの美しさも秀逸。
でも、持って帰ってしまう心無い輩も多いのでしょう。
この寺のお気に入りの立て札が、
「この苔は、西明寺が好きです。」
うーん、「とるな」というメッセージを、上手く婉曲して表現していますね。

さて、本堂前。あまりにも美しい国宝五重塔を多聞塔に見立て、
「多聞天ごっこ」などに童心にかえるえびと仏友マスカット。
Tamon_1  P1000047_2
左:えびと国宝三重塔。  右:多聞天。

薬師瑠璃光如来と日光、月光の「薬師三尊」スタイル。
西明寺の秘仏本尊、開帳は住職一代に付き1回限りなんだとか。
厨子の中のお薬師さんは、全身のバランスの取れた、
実にスタンダードな美しさの仏像でいらっしゃいました。

この周囲を、四天王と十二神将が固めております。
この十二神将が、個性的で表情も実にユーモラス。
長浜にある海洋堂フィギアミュージアムで売ってても
フルコンプ目指すよな、コレ。やっぱ鎌倉の躍動感は素敵。
闘神なのに頭上は耳ピン立ちのうさちゃん、
右手の形も乙女チックな安底羅(あんちら)と、
ウィンクばっち~ん☆の毘羯羅(びきゃら)がステキ。

Anchira Bikyara
乙女な安底羅と、ばっち~ん☆な毘羯羅。

後陣にいらっしゃる白塗りの弁天坐像も、
頭にじいさまなどを乗せ、実にファニーでいらっしゃる。
役行者+前鬼・後鬼、のジオラマは、
やはりそのまま海洋堂フィギアミュージアムで展示してそう。
逆立つ前鬼の髪型に「スーパーサイヤ人入ってますね」と、
だんだんコツが分かってきた模様の初心者ポンジュース氏。
(あれ、役行者いたのは金剛輪寺やったっけ?)

その後、多賀大社の名物「糸切り餅」を求め
更に北へと走ったものの、到着時には5時を回っており
既にタイムアップ、多賀大社周辺のお店は閉まっておりました。
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巻き寿司の要領で餡を餅でくるみ、
この細長いロールを糸を使ってひと口大のサイズに
切り揃えた「糸切り餅」、あっさりしてて美味いんやけどな~。残念!

腹いせ(?)に、そこから湖北まで走り
ご当地B級グルメの雄、つるやの「サラダパン」をゲット。
ついでに、彦根城築城400年を控えた彦根で
巷で話題の「ひこにゃん」ピンバッチも入手。あいかわらずゆるい!
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一生に一度の、湖東三山秘仏ご開帳は、
湖東~湖北のローカル名物借り物競争みたいな
幕引きとなりましたが、1日3寺でお腹イッパイのプチ旅でした。

特別開帳は10月27日まで。急いで急いで!