ドイツの巨匠、ヴィム・ベンダースの
ロードムービー、『リスボン物語』。
一度紀ノ国屋からDVDが販売されていたものの、すぐに絶版となり、
以降ヤフオクなんかでは高値で取引されていたのですが。
この度めでたく、再販の運びとなりました!
しかも廉価版!!(って、コレめちゃくちゃ安いし・・・)
ヴェンダースが、数作の低迷から立ち直ったともいわれるこの作品。
見所はなんといっても、リスボンの古い街並みと、
ポルトガルを代表するミュージシャン、「マドレデウス」の音楽。
(マドレデウスのメンバーは、この作品に俳優としても出演しています。)
全編を彩るマドレデウスの音楽は、当時の評に
「光が風と戯れるような・・・」という表現があって
まさにその通り、と感じたのを覚えています。
思えば、「映画にインスパイアされてその場所に行った」ってのは
この『リスボン物語』が初めてのことでした。
狭い石畳の坂道が続く、アルファマの街並み。
入り組んだ町の中をくねくね走る路面電車。
ビデオもDVDも持っていなかった当時、
滋賀会館のスクリーンでたった一度だけみた作中の風景と、
初めて訪れるポルトガルの、乾いた空気の街の様子は
記憶の中で、「そうそう、これこれッ!」という感じでぴったりと重なりました。
(うーん、DVDをコマ送りしてシーンを確認し、ネットで情報かき集め、
GPSで現在地を把握する今のロケ地巡礼とは隔世の感があるなぁ・・・)
100歳を迎えた、「映画」へのオマージュ。
『「映画」という表現技法、そのものが好きだ』という方以外には
ピンとこない物語かもしれませんが、
音楽と風景だけにでも、酔う価値のある作品です。