先週末、ニセコへ行ってきました。
北海道なら3月後半でもまだまだ…と期待してたのですが、山頂でも3度、ベース部分は10度近いという暖かさ。温度だけみると、西日本のゲレンデとほとんど変わらん状態でした。北海道、今年は観測史上記録的な暖かな3月だそうです。
もっとも、それでも雪は十分残ってたし、連日の好天にも恵まれたので、羊蹄山を望みながらの快適な春スキーに満足満足。(春の雪は重く、脚がぱんぱんになるので困り物ですけど。)
さて、5年ぶりのニセコで驚いたのは、オーストラリア人を中心に、外国人の姿が爆増していたこと。
ゲレンデでは英語を中心に、ハングルやマンダリン、広東語、ロシア語などが次々耳に飛び込んで来たし、リフトの相乗りはちょっとした雪山留学。ゲレンデはもちろん、麓の街中も案内看板は外国語だらけ。しかも、「日本語の案内に、英訳が添えてある」のではなく、「英語の看板に、片言の和訳が添えてある」とか、更には「英語だけ」なんてのもザラ。
いやはや、ニセコのパウダーが海外で人気だとは聞いてたけど、まさかこれほどとは・・・。ゲレンデもタウンも、これはもう内なる外国です。初めて新大久保に行ったときより驚いたかも。京都や奈良といったジャポネスク溢れる観光地で外国人ツーリストを目にする比ではなく、若干の誇張を交えていうと「外国人ばっかり」「外国語ばっかり」のニセコでした。
ところで、ニセコの外国語ですが、居酒屋や宿泊施設だけではなく、リゾートマンションや空きペンションなどのリアルエステート、不動産販売の看板も目に付いたのは斬新でした。ニセコは投資先としても人気なようで、道経済の不振を尻目に、昨年度の基準地価は前年比33.3%(!)と全国最高の上昇率だったとか。
「観光カリスマ」に認定されたアウトドアガイド、ロス・フィンドレーさんの存在や、ニセコユナイテッドの最北・花園エリアが、オーストラリア資本に買収されたことなどに加え、ニセコの雪質が口コミで人気を呼んで、ここ数年でのこの激変にいたるのだとか。
(ついでに、花園エリアを所有する日本ハーモニーリゾート社は、昨年香港系のPCCWグループに買収されたとか。…将来的には広東語飛び交うゲレンデになるのか?ゲレンデで美味い広東麺が食えたら、それはそれで嬉しい。)
政府の音頭取りで、訪日外国人観光客を増やそうという「ビジット・ジャパン・キャンペーン」が進んでいますが、政府や自治体、民間企業の思惑はよそに、期せずしてインバウンドが激増したニセコ。外国人でにぎわう一方で、地元の小さな旅館は廃業していたり、地元経済には正と負、両側面の影響があるのも確かでしょう。温泉で一緒になったおっちゃんは、「ガイジンにニセコの心が分かるか!」と、差別的発言満載の攘夷論をぶちまけてたし。
それでも、窮乏する地方の救世主として、「海外資本」というのは斬新な切り口かもしれません。
(そもそも国の総人口が減ってるんやから、地方で過疎化が進むこと自体は格差社会でも何でもなくって、ある意味当然では無いのか?と思っています。)
オーストラリアでのニセコ人気の秘訣は、パウダースノーや、欧米に比べて安い物価に加えて、時差が少なく季節が逆転していること、それに、航空機でのアクセスが楽なことだそうです。豪・カンタス航空も就航する新千歳空港からのアクセスは、このニセコも、財政破綻が話題の夕張もほとんど条件は同じ。・・・ここやったら、お得な空き物件がごろごろあるんやけど・・・。
北海道滞在中、夕張では、一度は中止の決まった「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」が開かれていました。クァク・ジェヨン監督が来ていたり、チャウ・シンチーの新作に、廃校となる小学校の児童が招待されていたり。
昔、破綻前の夕張に行ったとき、タクの運ちゃんが実に親しみを込めてクエンティン・タランティーノのことを喋るので不思議に思ってたら、過去の映画祭で、タラちゃんが夕張市民にめちゃめちゃフレンドリーやったそうです。(その後、『キルビル』で栗山千明の「ゴーゴー・ユウバリ」を見て納得!)
異文化交流の素地はある町やし、海の向こうのカネとヒトを、うまい形で活かしていけたらいいんですけどね。