エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

中千軒岳 (1020m)~前千軒岳 (1056m)

2022年10月25日 | 山紀行 (道南)
道南贅沢遠征・未踏1000mシリーズ・・・
中千軒岳(1020m)前千軒岳(1056m)
■ 山 行 日     2022年10月24日 (月)    日帰り
■ コ ー ス     知内川コース (奥二股コース)
■ メ ン バ ー      夫婦登山 №21
■ 登 山 形 態      登山道+藪漕ぎ (長靴&登山靴)
■ 地 形 図     1/25000地形図  「大千軒岳」
■ 三角点・点名    中千軒岳・・・三角点も標高点も無し
            前千軒岳・・・三角点無し、標高点のみ

■ コースタイム    登り 5時間25分   下り 4時間15分
<登り>
06:40           知内川コース登山口出発
07:55           「広い川原」
08:30           「石崎越の沢」
08:50~09:00     「金山番所跡」
09:42           「休み台」 C650
10:23           「ガンバレ岩」
10:40           「千軒平」 (分岐)
11:20           「中千軒岳 (1020m)」初登頂!
12:05           「前千軒岳 (1056m)」初登頂!

<下り>
12:15           下山開始
13:20           松前旧道コース出合
13:23           「千軒平」
13:55           「休み台」
14:10           沢出合
14:28           「金山番所跡」
15:20           「広い川原」
16:30           登山口


★ 中日悪天承知で決行の意味・・・
23日~25日までの夫婦で三連休は今月最後だった。
期待していた天気予報がまた中日に☂マークが付き、山行を諦めかけたが、その量も多くは無いと
分かり、多少の☂でも決行するつもりで出発する事にした。また、当初は無難な知内川コースから
登り、中千軒岳の肩から大千軒岳には行かず、未踏の前千軒岳を目指し往復する予定だった。復路
で時間と体力に余裕があれば、大千軒岳にも寄るつもりだった。
しかし、知内川コースのコースタイムが意外に掛かる事を危惧して再考する事にした。すると2年
前にヤマッパーのみなみんみんさんが「松前旧道コース」から登っていて、コースタイムも往復な
ら3時間も違う事が分かった。

中千軒岳の肩から前千軒岳へは、笹の藪漕ぎを強いられるので、未知のコースタイムはまだ読めな
い。そうであれば、少しでもコースタイムが短い方を選択して登る事が、よりピークハントの確率
は上がり、下山のタイムも早まるかもと思ったところだ。

☂でも登る覚悟を決めたもう一つの理由がある。
それは、無事登頂・下山したご褒美に函館・湯の川温泉で一泊すべか!と洒落込んで見たのである。
丁度、「全国旅行支援割引」が適用される期間であり、宿泊の5,000円引きと地域応援クーポ
ン3,000円が付いて来るので、実質一人8,000円の割引でホテルに泊まれる。普段は絶対
にありえないが、層雲峡に続く贅沢な山旅第二弾をここで決行しようとなった訳である。


★ 大誤算、前泊は夷王山キャンプ場のはずが・・・
前泊は、上ノ国町の「夷王山 (いおうざん) キャンプ場と決めて自宅を出発した。
5時間強、300km越えのドライブだった。キャンプ場に行く前に明日の林道を偵察して置こう
と更に10数キロ走って上ノ国町石崎から道道607号線に入る。少し走った所に立て看板があり
「この先4kmほどで通行止め」とあり・・まさか?と思いつつ4km走るとしっかりしたゲート
で道路を塞いでいた。近くに交番があったので、事情を聞くと出口となる松前側も含め通行止めだ
と言われ大ショックの「大誤算」。

事前に調べる時間も無く安易に来てしまった事は悔やむも「まさか通行止め」とは夢にも思わなか
った。一時は打つ手を見失うもここまで来て諦め切れず、最後の登山口となる知内まで走る事にし
た。ここから更に80km、本日400km越え約9時間のドライブを強いられ、ようやく着いた
知内だったが、更に追い打ちとなるハプニングが発生した。

最後の砦となる「道の駅しりうち」の近くにある「農村公園」というキャンプ場に行くと、なんと
閉鎖中のゲートと看板。内容は「熊出没のため閉鎖」とあった。時間はもう16時30分過ぎ。
車中泊が出来ないのでテン泊しかない。

もう最後の緊急避難処置として「どこでもテント~・・」ではないが、とある閉店した店の裏とな
る敷地内に日没と同時にテントを張る。



まさかの通行止め・・・上ノ国町石崎から入った道道607号線のゲート

★ 16年ぶりの再訪・・・
緊急避難処置として張ったテン場は快適だったが、夜遅くになって物音で目が覚めた。
閉店してるはずの店の中から音がする。テントを張っている事が見られたらどうしようとドキドキ
だった。しかし、気が付かれない内にまた静かになったのできっと帰ったのだろうと少し安心。

ここは、「道の駅しりうち」のすぐ隣のお店の裏。道の駅からは見えない場所だが、立ち寄って行
く車や人の声は聞こえる距離で、また目が覚める。そして、知内と言えば、北海道新幹線が地上に
出る出口でもあり、テントは線路のすぐ近くである。新幹線や特急列車や貨物列車が通過する度に
ゴォーと轟音が響くのでまた目が覚めた。極め付きは夜中の雨・・店の軒下にテントを張ったが、
雨粒がテントを叩き、何度も目が覚めて熟睡出来なかった・・・。そんな前夜である。

朝4時過ぎには起きて、すぐに撤収。5時には道の駅を出て登山口に向かった。
誰にも見られる事なく足を伸ばして泊れた事に感謝かも知れないが、チョイ寝不足気味なのが辛い
ところだ。

登山口には、ようやく明るくなった5時半頃に着く。そこはキャンプ地であり「奥二股キャンプサ
イト」で簡易トイレと登山ポストがあった。トイレにはペーパーもありきれいだった。

登山口でもう少し明るくなるのを待つ間に外でモーニングコーヒーと朝食を食べたが、急に雨が降
り出して車に避難する始末。青空が見えているのにここだけ雨っていう感じだった。

知内川コースは、2006年11月01日以来、16年振りの再訪だがほとんど記憶は薄れ覚えて
いる事は少ない。ただ、以前は渡渉に苦労した記憶は無く登山口近くから吊橋を渡った事だけは覚
えていた。しかし、その橋も無いようだ・・・。



キャンプサイトに車を停めて歩き始める。右側にあるのが簡易トイレ。


林道を少し歩いて奥二股登山口へ。そこからすぐ渡渉となる。

★ ご褒美のためにも・・・
登山口の気温は2℃だった。晴れているのに雨が降る天気。上空を流れる雲も速かった。
ここまで来ても心の中では「行くか行かないか」と自問自答している。
しかし、今夜のご褒美を無駄にしたくない気持ちも強く「決行」と決める。

上下のカッパを着て、足元は長靴。登山靴もザックに括り付けた。
ガイド本のコースタイムは大千軒岳まで登り4時間で、分岐となる千軒平までは3時間だった。
そして、大千軒岳には行かず、前千軒岳を目指すが一応片道1時間30分くらいと踏んでコースタ
イムを予想する。予想通りなら下山は15時前後。16時にチェックインの予約をしたホテルにな
んとか間に合う時間で遅れた場合は電話をすればOKだろうと心配はしていなかった。



登山口からいきなりの渡渉となる。登山靴でも可能かも知れないが長靴ならジャブジャブして渡れる。


この手前で長靴から登山靴に履き替えているが、靴を濡らすような渡渉は無かった。


ルートは知内川の右岸を大きくトラバースするアップダウンのコース。途中にあったブナの巨木で一枚。

★ 少しずつ遅れるコースタイム・・・
途中の「金山番所跡」まで2時間10分も掛ってしまった。歩き方が特段遅いとは思わなかったが
これでは3時間で分岐に着くのは不可能だとコースタイムを見直す。

その前に何故これほど遅いのか振り返る事に。
原因は、① 渡渉がある事で長靴と登山靴を持ち、履き替える事に時間を取った。
② コースが不明瞭なところ、特に渡渉の場面で対岸にあるはずのピンテがすぐに発見出来ず、ルー
ファイに慎重になった。
③ コース自体が荒れていて、小沢が崩壊している場面では、通過にも時間が掛った。
④ 自分の加齢と体力不足・・等と見る。

そんな自己分析で予定より1時間は遅くなるもピッチは上げられない・・。

最終的には「ダメなら下山・・」という判断も視野に入れて登行を続けた。



最初の目標でもあった「金山番所跡」にようやく着いたて休憩・・・


「金山番所跡」毎年ここで追悼ミサが行われていると言う


千軒銀座付近から望む「前千軒岳」をズーム・・・まだ遠い。


尾根の中腹 C650付近にある「休み台」テントが張れそうなスペースがある。


天候はコロコロと変わる。カッパを脱いだり着たりする場面多し。

★ 雄姿に背中を押される・・・
初日から幾つものハプニングに惑わされながらも、なんとか登山口まで辿り着く。
そして、当日も急変する天候にまた不安が募るも決行し、歩き始めた。ブナの黄葉を楽しむ余裕も
無く、登ったり降りたり渡ったりを繰り返す。遅いと分かっても歩みは止めず歩き続けた。すると
どうだろう目標が手の届くところまで近づき、未踏のその雄姿が目の前に聳えているじゃないか。

「ここまで来たらもう引き返す事は出来ない。」と雄姿を見て、背中を押された気持ちになった。

背丈を越える笹藪に突入し、なかなか前へ進まなかった時、「やっぱりダメか?」と弱気になりそ
うだったが、こんな遠いところに何度も来れないぞ!と奮起する。



「ガンバレ岩」を越えて千軒平も近い。そんな場所から前千軒岳の雄姿を望む・・待ってろよ!


またまた急変、激しいアラレが降り始めた。これが続けば山行中止だが、数分で止んだ。


アラレ降る中を登るチーヤン・・・


ようやく辿り着いた分岐の「千軒平」。実質、ここが自分たちの出発点だ!


薄い藪を見付けて中千軒岳の肩を登り始める。振り返り「大千軒岳」を望む。


まだ元気なチーヤン・・・大千軒岳を背に。

★ 一歩を重ねて近づく頂上・・・
千軒平から中千軒岳の肩に登るまでは薄い藪で良かったが、そこからが久しぶりの藪漕ぎを強いら
れた。それでも藪漕ぎは20分位と記憶する。ルートを見極め「中千軒岳」を目指してまた笹漕ぎ
するとGPSの現在地は頂上と重なった。ただのコブ、標識も何もない笹藪の中。登頂感はまった
く無い場所だが、何故かカウントした1000m超峰だから写真は撮った。



「中千軒岳」頂上から望む「前千軒岳」の雄姿


頑張って辿り着いた「前千軒岳 (1056m) 」夫婦初登頂!写真だけ撮ってすぐに下山。


帰路の中千軒岳直下で撮った自撮り・・・が、最後の写真になった。

★ 教訓は反省ではなく肥しに・・・
「行く行かない」「タイムアウトで登行中止」「また来ればいいっしょ!」「お父さん、止めても
いいよ」・・・等、どうするこうするの夫婦協議は、厳しい山になると付き物のように行われる行
事のようなものだ。今回も前日の重なったハプニング劇で山行自体を中止にする事も考えざる負え
ない状況にあったが、片道400km越えの山旅を簡単に諦め切れず、当初に考えていた知内川コ
ースで登れる手段に切り替えて行動した。緊急避難のテント泊も止む無く、登山口での雨にも負け
ず、タイムオーバーもギリギリまで登行を続け、そしてピークを踏む事が出来た。

結果オーライだからなんでも良いと言う訳では無いが、少なくても自分たちの力量を考えながら判
断した行動であり、教訓と言える出来事は反省ではなく今後の肥しにする事でカバーしたいと思っ
ている。夫婦だからの行動、夫婦だからの判断で誰にも迷惑を掛けずに下山した事を良しとしよう。

予定より1時間遅れの下山もホテルに電話して一安心。
無料の高速を飛ばして約1時間で湯の川に着いた。夕食まで1時間の余裕が出来て、先ずは大浴場
で汗を流す。そして、豪華な料理と待ちに待った生ビールで乾杯!!!は、最高だった。




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