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「幼保一元化」の実現に向けて、省庁再編に着手か

2010年01月28日 09時56分03秒 | 子ども手当・子育て
鳩山首相が参院予算委員会で、「省庁の体制が古くなっているので、できれば参院選の後、省庁全体の在り方を見直していきたい。しっかり研究する必要がある」と述べた。文部科学省が所管する「幼稚園」と厚生労働省が所管する「保育所」を統合する「幼保一元化」についても「2011年度ということで考えている」と述べ、参議院後に検討を開始し、2011年度の通常国会に関連法案を提出する考えを示した。
その後の記者会見では、「幼保一体化の話は子どもの立場というものを重視していく必要がある」などと、国民の視点の視点を採り入れた「新しいあり方」の検討を始めるべきだとの考えを改めて述べ、厚生労働省を分割して文部科学省と一緒にするといった「旧来型の省庁再編」を想定しての発言でないことがわかった。

参院選後に中央省庁再編、首相が表明
http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/politics/20100127-567-OYT1T00584.html

首相、参院選後に省庁再編の考え 幼保一元化法案提出も
http://news.goo.ne.jp/article/asahi/politics/K2010012701730.html

民主党は、マニフェストで「子ども家庭省」の設置を検討すると掲げている。まずは「子ども家庭局」を立ち上げて、厚生労働省と文部科学省などから子どもに関する部局を集めて「省」に昇格させる考えだった。切り離される側の省庁側も分割・再編が進むことになり、その結果として、省庁再編が機動的に行われることになる。
このような再編構想が「旧来型」だとすれば、参議院選挙後に始められる検討は、そもそも「幼稚園」と「保育所」の機能の違いは何か、目的が違うものを一緒にできるのか、一元化にしたときに子どもや親、地域社会にどのようなメリットが生まれるのかということだろう。その検討を進めて、そもそも「幼保一元化」がなぜ必要なのか、どのように進めるべきなのかを検討し、厚生労働省と文部科学省の一部を再編すべきならばする、ということだろう。これが、国民視点・子ども視点の「現代型」の構想だろう。

国民視点・子ども視点での議論は簡単ではない。例えば、「延長保育」は、子育て中の親にとってメリットがあるといえるが、夜遅くまで、なかなか来ない迎えを待つことになる子どもにとっても同じメリットがあるかといえば、そうともいえないだろう。親が大変だから延長保育を広めよう、「待機児童」が減らないから幼保一元化しようという考え方は、どちらかといえば、行政視点・親視点。説明にあたって、国民視点・子ども視点が足りないともいえる。様々な立場からメリット・デメリットを出しあい、総合的に捉えて評価していく必要があるだろう。また、省庁再編に踏み込まなくてもできることは多くある。「目的」と「手段」を考えれば、省庁再編が先にあってはならないだろう。


なお、「幼保一元化」の検討は、仙石行政刷新担当大臣を中心に既に進められている。子育て支援の目玉政策として、幼稚園と保育所を一元化した「認定こども園」の認定基準の緩和や手続きの簡素化などを行政刷新会議にて検討。必要ならば、文部科学省と厚生労働省の縦割りや二重行政の解消にも踏み込むことになっている。

鳩山内閣「幼保一元化」を加速へ 子育て支援の目玉に
http://www.47news.jp/CN/200910/CN2009101101000415.html

今回の鳩山首相の発言を受けて、「幼保一元化」の検討が一段と加速するものと思われる。まずは、行政刷新会議における「認定子ども園」の検討を注視していきたい。