制度改正Watch

自立支援法・後期高齢者医療制度の「廃止」に伴う混乱を防ぐために

子ども手当、来年6月後半から支給開始

2009年10月13日 19時04分46秒 | 子ども手当・子育て
政権交代の「目玉」である、子ども手当の概要がおぼろげながら見えてきた。
子ども手当は、中学卒業までの子ども1人あたり月額2万6千円を支給する制度で、2010年度は半額。2011年度からは全額となる。必要な財源は2.7億円。2011年度からは、倍の5.4億円になる。

一部では、子ども手当制度の「創設」となっているが、実のところは、児童手当法の改正・改題である(二重で支給されるわけではない)。詳しくは、民主党が数年前に提出して廃案になった「児童手当法一部改正案」(子ども手当法案)が参考になる。

「児童手当法一部改正案」(子ども手当法案)
http://www.dpj.or.jp/news/?num=625

児童手当法は、以下に全文があるが、民主党サイトの新旧対照表をみるほうが早い。

児童手当法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S46/S46HO073.html

特筆すべきことは、新聞などで報じられているように「所得の制限が無くなったこと」と「手当の額の区分が無くなったこと」。子どもがいれば、所得などに関係なく、一律の額が支給されるようになる。
制度的に特筆すべきことは、「子ども手当の全額と市町村の事務費の全額を国が負担すること」と「年金保険者からの拠出金を無くし、扶養控除の廃止などにより財源を確保すること」である。複雑化した費用負担の考え方がリセットされ、わかりやすくなった。高齢者医療にかかる費用の負担を現役世代の医療保険者からの拠出金でまかなう仕組みも、この法案のようにリセットしていただきたい。
注)廃案になった子ども手当法案では、暫定措置として拠出金を徴収することになっている(附則第五条)。

なお、子ども手当法の目的は、「児童の養育に係る経済的負担の軽減」とされている。
経済的負担の軽減が、この法案を含む大きな政策課題である「少子化問題」に歯止めをかけられるのかに注目していきたい。マニフェストは、「子ども手当を創設できたか」というアウトプットで評価するのではなく、「少子化に歯止めをかけられたか」「子育て世代の生活がどれほど楽になり、次代の社会を担う児童の健全な育成に寄与したといえるか」というアウトカムで評価したい。

なお、実質的には「改正児童手当法」である「子ども手当法」の「子ども」は何とかならないものだろうか。
「子ども」は、「子供」の「供」が「大人のお供=所有物」を連想させるからと「ども」と平仮名にしている。「障害者」を「障がい者」と平仮名混じりにすることと同じ発想である。しかしながら、これは法律の名称である。「改正児童手当法」のみを「子ども手当法」にして、児童福祉法などはそのままにするのは、あまり美しくない。「改正児童福祉法」の通称名を「子ども手当法」にすればよいと思うのだが、いかがだろうか。